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こうして僕は、「指定席」=パソコンの前に戻り、「通常業務」=試合の観戦に滑らかにシフトしたのでした(この日だけの特別メニュー、カレーライスとハイネケン生を頂きながら)。そうこうしている内に、敗れた選手達が引き上げ始めます。師走ですから、皆、次の予定や仕事などがあるのでしょう。そんな中、ベスト8で敗退した「キヨシ師匠」こと鈴木清司プロは、じっと試合を観続けています。
「やむを得ない用事なら仕方ないけど、やっぱり負けた後も試合を観なきゃ上手くならないですよ。若い頃、僕も先輩に言われてイヤイヤ観てた時期もあったけど、年をとるにつれわかったよ。『観てないヤツはたいして伸びない』って」(キヨシ)
ぐわーんと胸に衝撃波。この一言を聞けただけでも、僕はここに来た甲斐がありました。他の人の球を「自分だったらどうする?」と考えながら観ること。さらに、もしできたら、上級者やベテランと一緒に喋りながら試合を観ると、一気に理解が深まるんですよね。これ、ホント大事。
余談ですが、キヨシプロは、AZ. Place店主・池西さんの恩師にあたります(※キヨシプロのお店『オンリーワン』〈江戸川区〉に池西さんが常連として通っていた)。いわば、弟子の独立1周年のお祝いに駆けつけた格好です。「でも、あの池西くんがビリヤード場やってるってのは今も現実味がなくて笑っちゃうんだよね(笑)」とにこやかに語るキヨシ師匠でした。
さて。試合の方は、ベスト4は全てJPBAプロ(嶋野聖大、川本比呂志、栗原信祐、東條紘典)が占めて、ファイナルでは嶋野プロが栗原プロを6-3で倒して優勝。セミ・ファイナルやファイナルは、もはやプロ公式戦レベルの内容。手に汗握るショートゲームのガチンコマッチでした(※普段のプロ試合は8~10ゲーム先取)。それにしても、マサプロは巧いし落ち着いていましたね。
最後に、無事に1周年トーナメントを終えた店主・池西さんのコメントを。
「自分のお店にこんなに多くのプロや有名アマが揃うのは初めてなので、壮観な眺めでしたし、嬉しかったです。参戦頂いた皆さんに御礼申し上げます。個人的には大変お世話になった鈴木清司プロが参戦して下さったこと、それから、初めて生で観た嶋野聖大プロのきれいなストロークが最高でした。お陰様で、当店もお客さんを始めとして色々な方に支えられ、多くの新しい出会いもあり、あっという間に1年が経ちました。秋に建物の漏水事件があった時には店が潰れるかと思いましたが(笑)、なんとか復旧できて良かったです。皆様、これからもよろしくお願いします!」
こうして僕はお店を後にしました。帰路で嶋野プロ・川本プロ・青木聖アマという面々で食事(←普段ない組み合わせだったんで楽しかったです)。こういうのもハウストーナメントの醍醐味ですよね。以上、現場からでした。……いやぁ、悔しいというか不甲斐ない負け方でした。もっと練習しなきゃですね……。
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