2013年6月〜7月、
韓国の仁川で開催された
『第4回アジアインドア・
マーシャルアーツゲームズ』。
アジアオリンピック評議会が主催する
国際的なスポーツ競技大会である
同大会で、
日本スリークッションのエース、
梅田竜二が金メダルを獲得した。
帰国して間もない梅田をキャッチ。
2006年アジア大会以来の
2度目の「金メダル」について
話を聞いた。
試合写真提供:日本ビリヤード選手団
写真・文:B.D.
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――金メダル、おめでとうございます。
ありがとうございます。非常に嬉しいです。2007年の世界選手権(優勝)以来、久しぶりに君が代が聞けて良かったですね。
――ファイナルをKOZOOM(インターネット動画配信)で観ていました。良く当てておられましたね。
自分でも思った以上に良いプレーができたと思います。ただ、最後はもつれてしまったので、日本で観ていた方をドキドキさせてしまったかなと(笑)。視聴率は上がったのではないかと思いますが(笑)。
――ベトナムのグエン選手も執拗に食い下がってきていましたね。
ええ、彼はベトナムでNo.2、3ぐらいの若手で、あの場でも丁寧に撞いてましたね。僕は彼のペースに引き込まれないように我慢して撞いてました。自分のリズムを崩さないことを心掛けて。そうしたら、中盤かなり良く撞けたんですよ。上手く撞けすぎたと言っても良いぐらいに。ランが出て、それでパッと逆転できた。
――確かに迫力ある逆転でした。
正直言えば、最近の自分の調子は決して良いものではなかったんです。なので、自分がちゃんと撞けなければ今大会はお話にならないと思ってました。それだけに、ファイナル中盤、自分が大きくリードすることは想定してなかったです。それだけ集中できていたということではあると思いますけど。
――では、あと10点というところでの梅田プロの足踏みは?
あの辺りで初めてね、勝ちを意識しちゃったんですよ。あそこから金メダルの圧力を感じながら撞いてる訳です、やっぱり(苦笑)。
――先に梅田プロが40-37で上がって、相手の裏撞きがありましたよね。結局反撃は39点で終わりましたが、仮に40点まで行ってたらどうなってたんですか? PK的な何かが?
そうです。40-40になったら、お互いに初球から何点当てられるかという、サドンデスゲームです。サッカーで言うPKですね。最近になって世界連盟の関連で採用する大会が出てきたんですが……。
――それまでの過程とか実力差が正しく反映されるような感じではなさそうな……。
ええ、だからサッカーっぽいんですよね。「前後半と延長の計120分戦って、最後これ!?」みたいな(笑)。選手からしてみると、「うーん」というところもありますね。3C強国、韓国の趙在浩もそれでベトナム選手に負けちゃいましたからね。
――それも聞こうと思っていました。地元・韓国の名手2人(趙在浩&金京律)にとってはほろ苦い大会になったでしょうね。
先に趙在浩がPK戦で負けて、金京律に応援と期待が全部行ってしまった格好でしたね。金としてはその状態でベスト8で日本の竹島欧プロと戦うのは重圧がありすぎたと思います。
――見てわかるほどに?
はい。序盤から体のブレがわかるほどでしたし、簡単な取り方しか選びたくないというような感じでした。竹島プロがしっかり勝ってくれて、日本にとっては金銀メダル獲得に追い風な状況ができあがりましたね(※竹島プロは次の準決勝で敗退し、銅メダル)。
――梅田プロはこれまで、全日本選手権、ソウルオープン、アジア大会、世界選手権と数々のビッグトーナメントで優勝しています。今回のタイトルの重みとはどのようなものなんでしょう?
アジア大会の時とは違ってそんなに騒がれることはないですけど(笑)、名誉ある国際大会ですし、金メダルをもらって、日の丸が上がって行くのを見るのはやはり本当に素晴らしいものです。
――ファンも梅田プロの久々の国際大会での優勝を喜んでいます。
応援して下さっている方が日本にたくさんいらっしゃるのを感じました。「試合の映像観てたよ」という方も多かったです。それも含めて電話やメッセージを多く頂きました。ありがたいことです。日頃から様々な方に支援・協力を頂いているので、一つ恩返しができたように思えて嬉しいですね。
――いちプレイヤーとしても得るものもあったでしょうか。
はい。今回学んだことは、これは先日、小森先生(純一・元プロ)からも言われたことですが、「初心を忘れるな」ですね。今回は不調なまま韓国入りしたことが結果的には良かったです。
――不調だからこそ丁寧に撞けたということですか?
ええ、謙虚な気持ちでいられましたし、韓国やベトナムが強いのもわかってましたから、「今の自分がどれだけできるだろうか」と冷静に考えながら撞けたので。
――そうでしたか。
戦い終わってから思い出しましたよ、「あっ、この気持ちは世界選手権で勝った時以来だ」と。そう言えば2007年のあの時、こんな気持で撞いてたなって。
――では、様々なタイトルを獲っておられる梅田プロが、まだ一度も勝っていないビッグタイトル『ジャパンカップ』(※2013年8月末)が近付いていますが、そこへも謙虚なお気持ちで?
はははははは。いや、ホントそうですよね(笑)。優勝したいんですけどねぇ、ジャパンカップ。毎年勝ちに行っているんですが、今言ったように、今回はそういう気持ちではなく、謙虚な精神状態で臨んで、自然にナイスショットが出せるコンディションになれたら良いですね。
梅田竜二さんはこんな人→
JPBFプロ(1991年度入会)
2006年『アジア大会』スリークッション金メダリスト
2007年スリークッション世界チャンピオン
他、優勝多数
1968年10月22日生まれ。
A型・天秤座・東京都出身&在住
所属は『ヤマニ』
スポンサーは『ADAM JAPAN』『MOORI』『DORON』
プレー歴は約36年(3Cは約28年)
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