世界トップクラスのプレイヤーは、
己のプレーで極上のサウンドを奏でます。
混じり気のないクリアな音です。
ポケットビリヤード(ナインボール)で
世界一に輝いた「ミスター」こと
奥村健プロ。
2008年からはJPBF、つまり
キャロムビリヤード(スリークッション)
のプロとなり、61歳の今も
トーナメント活動をしています。
優れたプレイヤーは
ボールとキューにいい音をさせる、
というのは以前から僕の持論であり、
ミスターはその筆頭格の方なのですが、
プレーをしてない時でも
いい音を出していました。
シャリシャリシャリ……。
これはタップのメンテナンスの音。
タップ交換直後だったのでしょうか、
ミスターは金ヤスリをタップに当てていました。
一定のリズムで一定の力加減で。
シャリシャリシャリ……。
それは思わずレンズを向けてしまったほど、
美しい挙措でした。
ある平日の昼下がり。
『ホワイトハウス』内の空気は、
少し冷気が残っていて清々しかった。
そこに淹れたての珈琲の香りが混じります。
ミスターは手を動かしながら、
僕らの雑談に相槌を打ったり、微笑んだりします。
(余談ですが、ミスターはこの日行われていた
『プレミアム10ボール』のスコア速報や勝敗も
楽しそうに聞いていました)
穏やかなBGMと球の音、そして、
タップを均す音だけが響いていました。
その日の夜、
赤狩山幸男プロが『プレミアム10ボール』で
優勝を決めました
(On the hill !さん、写真ありがとうございました)。
彼もまた、
ボールとキューにいい音をさせるプレイヤーです
語っています)。
巧さと姿勢は音に出ます。