新(さら)のラシャが張られたテーブルで、
上図の1番をシュートして、
撞点下+右ヒネリの、いわゆる「順下マックス」で、
テーブルの右側に引っ張る出し方をする時、
ナインボール世界チャンピオンの
「カーリー」こと赤狩山幸男プロは
どこに手球が出ると思っているでしょうか?
……ということでした。
ちなみに、
ある程度以上使われてきた「普通のラシャ」だと、
X地点に出るというのがカーリーの見立て
(かなり良く出てY地点)。
この問題は、
「新しいラシャでは普通のラシャの時と
同じようには手球をポジションできないんですよ」
という話から派生した一例です。
…………
さて、カーリーの解答は…………!!!!
「C」……つまり、サイドスクラッチ。
から、
「B」……サイドポケット右側ギリギリ。
にかけて、でした。
皆さん、当たってましたか?
さらラシャでのプレー経験豊富な方なら、
理屈はともかく実体験と感覚で
わかっていたかもしれませんね。
でも、意外に思った方もいるでしょう。
「さらラシャってよく引けるんじゃないの?
だから、図の『Y』とか『A』でしょ?」と。
さらラシャだと、引き球、
特に真っ直ぐの配置やそれに近い厚い配置での
引き球がやりやすい(引きやすい)のはその通りです。
ラシャの表面が摩耗してなくて汚れもなく、
ツルッとしてるので、一度効力を発揮した
バックスピンは死ににくいのです。
じゃあ、なんでこの配置では、
頑張って引いてもヒネッても『A』の方向に
行ってくれないのか。
カーリー先生ー!
「まず、この1番と手球の位置関係は
真っ直ぐではないので、
手球は1番に当たった後、
当然上の長クッションに入りますよね。
で、この1番がクッションに近いため、
引き球の効果が現れるより先に
手球がクッションにぶつかってしまいます。
手球に掛けられた引き回転が
失われていなくても、
クッションに当たるまでに
その効力を発揮できずに
ただ横に滑ってしまっているんです」
ほほう。つまり、
引きの効果が出づらい1番の場所であり、
厚みなんですね。
これはさらラシャでなくてもそうで、
的球がクッションに近ければ近いほど
押し引きの効果が出しにくいです。
「そして、より大きな理由として、
クッションに張られているラシャも
当然新しいものになっている訳ですが、
新しいクッションラシャは
『ヒネリを噛みづらい』んです。
これも表面が摩耗してなくて
ツルッとしているからです。
普通のラシャと比べたら、
『滑っている』と表現しますね。
だから、この場合の右ヒネリも
普通のラシャの時ほどは効かないんです」
なるほどー。
「右ヒネリが噛んでない」、
つまり、クッションから広がって
出てくれないということですね。
「ということで、
この配置、さらラシャでは、
順下マックスで引っ張ろうにも、
『ギリギリサイドスクラッチを
かわせるかどうか』だと僕は考えています。
実際にさらラシャのテーブルで
試合をしててこの配置が来たら、
ちょっと悩みますね。
『順下で出したいけど、
スクラッチ……するよな?』と(笑)。
仮に、
1番があと少しでも厚い配置になっていたら、
だいぶ違う結果になるでしょうけどね
(=引っ張りやすくなる)」
…………
わかりやすい解説ありがとうございます!
……あ、あのぉ。
ついでに聞いちゃって良いでしょうか?
では、以上をふまえて……
さらラシャのテーブルで試合していて、
こんな8番と9番だったら、どう出すんですか?
3秒ほど「えー」とも「うげっ」とも取れる
顔をしたカーリーですが(笑)、
ちゃんと教えてくれましたので、
これまた別の機会に。
(恐らく1週間以内に!)
ちなみに、
「ラインは2つあるかな」とのことです。