現在、イギリスで開催中の
ナインボールダブルスの国際マッチ
アメリカのプールキング、「スト様」こと
アール・ストリックランドも登場してきて、
盛り上がっていますね。↓
日本は初戦(ベスト32)でロシアに6-7で敗れました。
そのヒルヒル(6-6)の最終ラックを
テーブル図を用いて検証してみましょう。
大きな声では言えませんが、
この試合、丸々youtubeに動画がありますね。
権利的にグレーゾーンかなと思いますので
ここでは紹介しませんが、気になる方は検索を。
日本チーム
田中雅明&土方隼斗
ロシアチーム
K・ステファノフ&R・チナコフ
ナインボールダブルス・7ゲーム先取
場面は6-6の第13ラックのブレイクから
…………
●ロシア、ブレイクショット
6-6で迎えた最終ラック(第13ラック)、
ブレイクはロシア。
ステファノフのブレイクは1イン。
だが、9がギリギリジャマをしていて、
2は右上コーナーには狙えない。
…………
●ロシア、2番セーフティ
この試合、終始おかしくなっていたステファノフ。
ここはきっちりセーフティ成功。
手球を3番6番で隠す。
…………
●田中、2番空クッションイン!
初めは2クッションのラインを見ていた田中。
熟考して30秒(持ち時間)を使いきり、
エクステンション(時間延長)をコール。
合計1分を丸々使い切るその寸前、
残り1秒で放ったショットがこれ。
ワンクッションで2番をサイドポケットにイン!
拍手喝采とどよめきに包まれる会場、
「Oh, oh, oh !!!!」と笑う実況解説陣、
笑顔を見せる日本の2人。
手球は3番にも出ている。まさに起死回生の一撃。
…………
●土方、3番イン
土方、3番をコーナーに流し込み、引きを効かせて
6番を使った「当て出し」で4番へ。
4番はサイドポケットに取る狙いだ。
左上コーナーに取るように出すより、
こちらの方が確実だという判断だろう。
これもかなりのナイスショット。
…………
●田中、4番イン
田中、真っ直ぐに近い4番を軽いタッチで入れるだけ。
5番に対するフリはきっちり付けている。
それにしても30秒ルールは短い。
プレイヤー同士できっちり相談する暇はなさそうだ。
日本チームも、
ショット選択は最終的に撞き手に委ねているのだろう。
…………
●土方、5番イン
土方、5番を入れて2クッションで6番へ。
6番にもちゃんとフリは付いているが、
「より薄い方」を好むスタイルの田中にとっては
この6番はまだ厚かったのだろうか。
…………
●田中、6番イン、7番への出しはショート
田中、6番を入れて1クッション出しで7番へ。
しかし、この出しがショートする。
7番を左上コーナーに狙えるコースはない。
「ごめん」と土方の肩を叩き、頭をかく田中。
あとボール2、3個分転がってほしかった
ところだろう(赤矢印&赤ボール)。
この7番と9番の位置関係はなかなかの「罠」だ。
7番へのOKエリアは見た目以上に狭い。
6番を入れて押し球(や逆押し)を使って
2クッションで出そうにも8番が嫌な場所にある。
…………
●土方、7番ハラキリコーナーバンク、ミス
7番への出しがショートしたのを見て、
土方はすぐさま集中モードに。
時間をきっちり使って選んだショットは
ハラキリコーナーバンク。
恐らくわざと薄めに狙う「アンドセーフ」
(外れた時に渋い残りになるようなショット)も
考えて撞いただろう。
しかし、7番はわずかに厚めに走り、
左短クッションをなめてから、
コーナーの角で「カタカタ」して止まった。
万事休す。
昨日、土方本人も語っていたように、
「この場面でもう少し時間があれば」
より丁寧に狙って、
バンクの精度が高められていたかもしれないし、
別の手をセレクトしたのかもしれない。
…………
●ロシア、7番イン
さすがにこの残り3球の配置では
相手はミスをしてくれないか。
チナコフ、7番を入れて、1クッションで8番へ。
こういう穴前の球の処理は難しいものだが、
8番へのポジションはGood。
…………
●ロシア、8番→9番イン。勝利!
ステファノフが8番を入れて、
9番へナイスなポジション。
チナコフも丁寧に9番を入れて7-6。ロシアの勝利。
…………
田中プロの2番のスーパー空クッションインから、
日本が取り切り……ができたら最高でしたね。
7番への出しのショートと7番のハラキリバンクミスは、
そもそもが難しいショットだけに、
日本の2人を責めるのは酷というものでしょう。
それにしても、
ゲーム中は全員(4人)がクロックを見ていましたし、
全体的に急き立てられるようにして撞いていた印象です。
特に日本はこの試合の第3ラックで、
「エクステンション」コールのし忘れで、
ファウルを取られました。
(※自分でコールしなくても自動的に
エクステンションに突入するルールの試合が多いが、
今回は申告が必要だった)
それもあって時間のことは常に頭にあったでしょう。
それによって、冷静な判断力や、
構えに入って徐々に高めていくであろう集中力などは、
少しずつ削られていたのかもしれません。
いみじくも昨日土方プロが語っていた
「ロシアは時間が短かったからこそ
開き直って上手くいっていた印象」
というのはBDも感じる所で、
時間がない→冷静に考えられない→身体も硬い→
ええーい、攻めてしまえ→入った!
いいよいいよ、これで行っちゃおう
(※頭から繰り返し)、
……という状態になることは、
世界のトップ選手達にもあるということでしょうし、
それで勝つこともあるということです。
ワールドカップオブプールはまだまだ中盤、
他の国々がその辺りをどうケアして撞いているのか、
BDも観ておきたいと思います。
…………
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