〈BD〉今日は『全日本ローテーション』。ローテは「ツー出しからの現状ブレイク」が面白い。図あり

昨年度「全日本ローテーション」覇者・田中雅明
昨年度「全日本ローテーション」覇者・田中雅明


日付が変わって今日、

大阪の『高井田ビリヤード』では、


『全日本ローテーション』が行われます。


昨年は田中雅明プロが、

ファイナルで杉原匡プロを破って優勝しています。


USTREAM(ネット生中継)はこちらから。


…………


15個の的球全てを使って行う

このローテーションという種目。


「自分でプレーすることは少ないが、

観るのは好き」


という人もいると思います。


かくいうBDもその一人。


「1球の格差が最大15倍」

(ボールの番号がそのまま得点になるため)


というゲーム性が、

スリルとドラマを演出してくれますし、


特にテクニカルな部分でBDが好きなのは、


ローテーションならではの、


「ツー出しからの現状ブレイク」


です。


生観戦でもUSTREAMでも

ここを一番楽しみにしています。


このローテーションでのツー出しという技術、


プロやトップアマや各県クラブ員は

当たり前にやっていることですが、


知らない人には

なかなか面白い技術だと思います。


(※「5-9」や「ジャパン」という

ナインボールの多人数撞きゲームでも

ツー出しからの現状ブレイクという

ルールはありますが、


ローテーションという種目では

他とちょっと「出したい場所」が異なります)


…………


そもそもツー出しとは何かと言うと、


「ラストボール(多くの場合で15番)を入れて、

手球をブレイクエリアに運ぶこと」。


こういうことです。↓



ブレイクエリアのことを

「ツーポイントエリア」とも呼ぶことから、


そこに出すことが、「ツー・出し」です。


何のためにこのツー出しをやるかと言うと、

次のラックのブレイク権を保持するため。


ラストボールを入れても、

ツー出しに失敗してしまうと

ブレイク権は相手に移る――というのが、


日本のローテーションのルールです

(点はもらえますが)。


なので、

ラストボール(15番)にフリ(角度)を付けて、

手球を出すことが肝になります

(=真っ直ぐには出したくない)。


ローテーションにおいては

15番が最大のポイントボールなのですが、


その15番を「イレイチすること」が

できないこのツラさ。


最後まで気が抜けません。


(※戦略的にブレイク権を捨てて

15点を死守〈イレイチ〉することはあります)


相手にターンを渡さないためにも、

自分で連続得点(ラン)を重ねるためにも、

 

ローテーションではツー出しが

必須のテクニックとなる訳です。


なので、

このツー出しのライン(撞き方)には

多くの「パターン」があります。


…………


次に、「現状ブレイク」についてですが、


これは、ツー出しに成功した際、

その手球には触らず、動かさず、


そのままの場所から次ラックの

ブレイクショットを行う、という意味です。


先ほどの図で言うと、


15番を入れて、縦のワンクッション出しで、

ツー出しに成功したので、


手球はその場所にそのまま置いておいて、

ラックを組んで、ブレイクを打っています。↓



ここにもまたポイントがあるのですが、


ローテーションのように、

「三角形のラック」を組んで

ブレイクをする種目では、


ブレイクイン率(と取り切り易さ)を

高めるために、


「できる限り正面から打つ」

ことが望ましいのです。


正面から打つと、

特に2列目のボールがサイドポケットへ

入りやすくなる上に、


的球がテーブル上にまんべんなくバラけやすく、

取り切り(ランアウト)もしやすくなります。


以上をまとめると……、


ローテーションでは、


「ツーポイントエリア内の

真ん中辺りに手球をポジションしたい」


ということになります。


そこが、


ツーポイントエリア内の

端っこ(長クッション寄り)に

ポジションしたい

5-9やジャパンとの違いです。


では、ローテーションで、


意図的に真ん中辺りに

ツー出しをするにはどうすれば良いのか。


…………


下の図は、


「ローテーションにおける

ツー出しのラインの例」です。


15番がこんな場所にあった時に、


ツーポイントエリアの真ん中辺りに

運びやすいのはこんな2つのライン。


A:順下1~2クッション(撞点:左下)。↓



…………


B:順下3~4クッション(撞点:右下)。↓



いずれもきっちりとフリを付けておいた上で、


スクラッチの危険性の少ないラインで

手球を動かして、


ツーポイントエリアの真ん中辺りに

ポジションしています。


力加減的には、

Aはやや強めで、Bは結構ハード。


…………


ここで、もうちょっと考えてみましょう。


15番の位置はこのままだったとして、


仮に相手が14番でファウルを犯して、


自分がセンターショットから

リスタートするすることになった場合、


15番は、AとB、どちらのラインで

ツー出しをするのか???


この疑問については、


一昨日、40歳の誕生日を迎えた「カーリー」こと、


世界チャンピオン・赤狩山幸男プロが

判断基準を明かしてくれました。


赤狩山幸男
赤狩山幸男


「14番が左上コーナーに狙えるなら

(シュートコースが15番でふさがってないなら)、


14番を左上コーナーに入れて、

手球を右長クッションを使ってポジション。


そして、15番は『A』で狙います。


基本的にはまずこっちです」

(赤狩山。以下同)


こういうことですね。↓



↓↓↓



…………


「でも、

14番が左上コーナーに狙えないなら、


14番は右上コーナーに入れて、

手球を左長クッションを使ってポジション。

ノークッション出しでも良いです。


で、15番は『B』で狙います」


ふむふむ。こういうことか。↓



↓↓↓



「右利きの人の場合、

センターショットで右上コーナーに狙うと、


左の長クッションに左腕が当たって、

構えにくくて撞きづらい、


……とまで行かなくても

気持ち悪いと感じる時があるから、


あまりやりたくないんですよね。


だから、14番が左上コーナーに通ってるなら、


僕はそっちにセンターショットで取って、

15番は『A』の位置から撞いて、

ツー出しします」


なるほど、そういう判断基準なんですね。


この配置は、数あるツー出しの一つの例ですが、


やっぱり、

ローテーションではツー出しを踏まえた

ポジションプレー(組み立て)が面白いです。


…………


以上、大変長くなりましたが、


ローテーションをやる方、見る方は、


緊迫した空気の中で繰り出される、


知恵と技術が詰まった

「ツー出しからの現状ブレイク」にも


ぜひご注目ください。


…………

 

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