「パグやん」こと、
アレックス・パグラヤン
(フィリピン・カナダ)の名が出てきましたので、
この機会に
彼のスキルフルなショットを紹介します。
…………
参考映像は以下のもの。
これは、
カナダ・トロントの『Shooters』で行われた、
『Clash of Titans』
(クラッシュ・オブ・タイタンズ)という
イベントマッチの、
パグやん vs モラ戦です。
約4hと長いので、見所は後述します。
●試合フォーマット
この大会のフォーマットは
一般的なプロトーナメントと
ちょっと違っていて、それが面白いです。
まず、出場したのは、
アレックス・パグラヤン
ジョン・モラ
ジェイソン・クラット
シェーン・バン・ボーニング
という、カナダ3名+アメリカ1名の4名。
トッププロによって行われた
エキシビション的なイベントです。
MEZZキューなど複数企業が
協賛しています。
4名総当りのリーグ戦→決勝トーナメントで
争われたようです。
決勝戦はパグやんvsボーニングとなり、
パグやんが優勝しています
(※その映像はこちら)。
そして、そのフォーマットですが、
7フィート
(日本でよく見るのは9フィート)の
『ダイヤモンドテーブル』を使い、
CPA(日本で言う「JPA」)ルールの
ナインボールで戦っています。
CPA(JPA、APA)ルールでは、
1~8番は1点、9番だけ2点……と、
全ての球に点が付きます。
1~9番を全て自分が取れば「10点」ですね。
そして、今回彼らは、
「75点先取の3セット先取」で
プレーしています。
75点というのは、
いわゆる「スキルレベル9」の人の
ハンディキャップ。
相手に1点も与えない試合展開なら、
第8ラックの5球目で「上がり」です。
他、プッシュアウトなし、
スリーファウルなし、
ジャンプキュー使用禁止、
となっています。
要はこのイベント、
「アマチュアが多数参加する
あのCPA(APA、JPA)のルールで、
プロが撞いたらどうなるの?」
という仮定の話を、
実行に移したような設定です。
(※日本のJPAでも、
2006年の顔見世イベントで、
JPAルールでの
土方隼斗vs大井直幸というプロ対決が
実現しましたね)
…………
●試合の流れ
このパグやんvsモラ戦は、
モラがセットカウント2-0と
先にリーチをかけますが、
パグやんがそこから3連取し、
逆転勝利を収めます。
時間があれば、
ヒルヒル(2-2)で迎えた、
最終第5セットだけでもご覧ください。
3h26m頃から始まり、約33分で終わります。
会場のShootersに日頃から行っている
カナダ在住日本人のheita3さんによると、
「穴幅は球1.8個分ほどで、
クッションがすごく速いです」
とのこと。
確かに、映像でもわかるぐらい
クッションはピコピコですし、
ポケットは渋そうです。
そんな中、
最終第5セットのパグやんはバチバチ状態で、
ノーミスプレーを見せてくれます。
…………
●このセーフティがすごい
状況説明に時間がかかりましたが本題です。
場面は最終第5セットの第1ラック。
映像は3h26m頃から。
パグやんのブレイクは
4、6、7番イン。
しかし、2番が邪魔で
1番を入れられません。↓
プッシュアウトは選べないし、
どんなセーフティをするのかと
待ち構えていたら、
パグやんは手球を軽く転がして…… ↓
↓ ↓ ↓
5番も利用して、
積極的に「ブラインドを作りに行く」
セーフティ。
手球、的球(1番)、第二的球(5番)の
3つの動きを読み切り、
3つ同時にコントロール。
手球と5番がスーッ……ピタッ! と、
寄り添うように動くさまが快感です。
この形を渡されたモラは
当てるのが精一杯。
結局、パグやんが1番から取り切って、
この第5セット序盤から
優位に試合を運ぶことになりました。
…………
パグやんのすごいところは、
世界チャンピオンになるぐらいなので(2004年)、
どの技術も高いのは当たり前として、
抜群に判断力が秀でていて
攻めから守りの切り替えが速いこと。
そして、その守り(セーフティ)が巧いこと、
でしょう。
取り切りの最中、出しミスをして、
入れが渋くなったら、
ためらわずにセーフティに切り替え、
完璧に守り、
相手のミスやファウルから取り切りを再開……
という場面をBDも何度も観ています。
攻めのラッシュで強引に入れ繋ぐ
……という戦い方はあまりしません。
この辺りは、豊富な実戦経験
(ギャンブル&トーナメント)で
培った嗅覚というヤツでしょう。
「"1点"を取るための、
最も確実と思われる手を即断即決」
を貫くのがパグラヤン流です。
かといって、
ガチガチに守ってばかりのスタイルでもなく、
ハイレベルなシュート&ポジションもこなします。
そんな攻めのショットも
追って紹介したいと思います。
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