先日の『アジア選手権』ジュニアの部に
出場していた、
林武志選手(中学3年)。
BDは、アジア選手権の前に
武志選手の自宅を訪れて、
インタビューを行いました。
そのインタビューがこちら。
そして、自宅訪問記はこちら。
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以下でお届けするのは、
武志選手の父、伸高さんの
インタビューです。
"なぜ息子のために
自宅にテーブルまで置いたのか"
"どんな風に武志くんに接しているのか"
など、少々立ち入ったことまで
聞いていますが、
快く、熱っぽく、教えていただきました。
ビリヤードへの取り組み方も
親子関係も本当に人それぞれ。
林親子のビリヤードデイズもまた、
ここにしかない物語です。
そして、ジュニア選手が
多いとは言えない現代においては、
希少な物語でもあります。
読んだ皆さんにとって、
何か参考になったり、
興味が深まるところがあれば幸いです。
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林家の「ビリヤード場」DATA:
完成:2011年3月
工期:約1ヶ月
費用:約500万円
広さ:約26畳
テーブル:ブランズウィックⅣ
ラシャ:ニッケ・ブリエ
ボール:アラミス
コーナー穴幅:ボール約1.6個分
利用頻度:毎日(武志選手が)
こだわりポイント:
●1 キューが壁に当たらず、ストレスなく撞ける広さ
●2 観客席を作ったこと
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林武志選手のお父さん・
林伸高氏プロフィール:
1970年10月4日生
神奈川県出身・在住
ビリヤード歴とクラス:約25年・Aクラス
職業:陸上自衛隊自衛官
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――早速ですが、なぜ自宅にビリヤード台を置くことにしたのでしょうか。
「武志の中に、『本当に本気でビリヤードをやりたいんだ』という気持ちがあることが親として確認できたので、『環境を整えよう』と思い、その一つが『テーブルを置くこと』だったんです。それは武志が小学校2、3年生の頃、ビギナートーナメントで入賞したりするようになった時期です」
――まず、本人の気持ちありき、という順番だったのですね。
「ええ。私自身、ビリヤードだけでなくサーフィンだったり音楽だったりと多趣味ですが、それを子どもに無理矢理やらせるのは親のエゴじゃないかと思ってました。ですから、本人が自分で目覚めてから、『できる限りサポートしよう』と思ったという、そういう順番です」
――それで自宅にテーブルですか。思い切りましたね。
「子どもが本気なら親も本気で応えたいと。実は当時は神奈川の別の場所に住んでいたんですが、その地域ではテーブルが置けるような大きさの家には手が届かなかったので、あちこちを探してここに引っ越してきたんです。本当はここ(母屋の1F)にテーブルを置く計画だったんですが、様々な事情があって置けないということがわかり、少し経ってから離れを作りました」
――工事は業者さん任せですか?
「施工業者さんにも入っていただきましたが、私自身もかなりやりました。見ていただくと、素人仕事の痕跡はすぐおわかりになると思います(笑)。それでも費用はだいぶかかっていますが、一つには基礎のコンクリートをかなり厚くしたためです」
――テーブルを置いてから丸4年が経った訳ですが、お父さんから見て、現在の武志くんはどんなプレイヤーでしょうか?
「当然ですが、まだまだ発展途上。もっともっと頑張らなきゃいけないですね。今やっと、普通のA級ってところだと思います。まだ悪い意味で『この配置ではこうなっちゃうのかな』という予想が当たってしまうというか。それを難なくクリアしたところに、Aクラス以上の世界での勝利があるのだと思います」
――自衛官のお父さんが日頃コーチングをしておられるということで、厳しい指導風景を勝手にイメージしてました。スパルタ教育なのかなと。しかし、そんなことはなく。
「ああ(笑)、そうではないと思います。私は自衛隊の学校の先生をやっていました。自衛隊はスパルタです。それは、生徒の命がかかっていて、それを守る必要があるからです。でも、それを親子間でやっても生まれるものってあまりないです。ビリヤードは厳しく指導したからといって上手くなるかと言われたらそうではないでしょう。本人が心を決めてやっているかどうかだと思います」
――練習中の武志くんとお父さん、目線の高さが同じぐらいにあるように感じられて、興味深かったです。
「私は武志の親というよりは兄であり友人のような感覚かもしれません。どちらかと言うと、彼の方が大人びていて精神レベルが上かもしれない(笑)。彼が良い花になるよう、私は枝に徹していたいと思います」
――お父さんはAクラスプレイヤーでいらっしゃるので、ビリヤードのテクニカルなこともある程度理解なさっている。でも、父親が技術的な部分を教える難しさってありませんか?
「私はプロじゃないですし、もう技術的にも武志に抜かされてますので、『今のはこうだろ!』と技術のことを強く言うことはありません。ただ、選択の良し悪しというような部分に関しては、『それは確率的にこっちなんじゃないか?』ということは言ってます。
それよりも大事なのは、競技者としての心構えとか姿勢でしょうか。私とのやりとりの中でも、武志がはっきり返事をしなければ厳しく指摘しますし、外に出て試合に行った時も、対戦相手や運営の方に挨拶ができているのかなど、そういう部分はしっかり見ています。試合内容は二の次ですね。今はビリヤードを通じて、彼を一人の男として育てている感じです。その上でプレイヤーとしても育ってくれたら良いですけれど……」
――親子間での独自のルールみたいなものはありますか?
「そうですね……、大会のエントリーフィーは私ではなく、本人が自分で出すことになっているんですが、普段武志にはお小遣いをあげてないんですよ」
――では、どうやって……?
「親子間の契約というかゲームなんですが、『ボーラードで220点以上出したらお小遣いを500円出す』というのをやっています」
――それは面白い(笑)。でも、あの穴幅の狭いテーブルで220点はなかなかキツそうですね。
「ええ、でも、最近は結構立て続けに出るようになって、ついこないだもまとめて2万円くらい持って行かれてしまったかな(笑)。武志はそれで試合に出ています。そして、試合でも上位に入れば私からお小遣いが出ます。3位ならいくらで、2位ならこれ、優勝はいくらという風に」
――それは最近始めたことですか?
「今年の4月、彼が中3になってからです。試合に出るにはとにかくボーラードをしっかりやって、220点以上獲らないといけない。試合に出て上位に入れば、また次の試合の軍資金が手に入る。今の彼にはストックがだいぶありますが(笑)。あまりお金お金でやるのは良くないとは思いますが、あくまで親子での取り決めですし、日頃のボウラードから必死になれると思うので、今はそうやっています」
――将来、武志くんはプロ志望であると語ってくれました。それについてお父さんはどう思っておられるのですか?
「プロになる時期については親としての考えを言うこともあると思います。今の時代にビリヤードのプロとして活動していくことの大変さも私なりにわかってはいますので、プレイヤーとしての成長度合いも含めて慎重に考えていきたいと思います。ですが、彼の目標は一貫して『世界チャンピオン』で、私もそれに向かって頑張りなさいと言ってきましたし、できる限りのサポートはこれからもします。
でも、自分のことも見えてないで世界チャンピオンだと言っていても仕方ない話ですよね。まだアマチュアの全国タイトルもありませんから。一つ一つしっかり自分の課題をクリアして、その都度中間目標をクリアしてから、最終的な夢に近付いていってほしいなというのが親としての思いです」
――10代でプロになった選手の代表的な存在として土方隼斗プロが挙げられます(2006年1月よりプロ。当時16歳)。
「参考にさせていただいています。土方プロはプロ入り前に色々なアマタイトルを獲っておられましたよね。すごいなと思いますし、武志には、土方プロのようにみんなが認めてくれる存在になってほしいと思っています。しっかり実力付けていけよと。それには皆に応援されて愛される存在でなければダメでしょう。ですから、『腰は低く、志は高く』。そんな男であってほしいと思います」
…………
神奈川・三崎の地で、父子の挑戦は続く。
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