先週末のJPBAプロ公式戦、
『東海レディースグランプリ』で優勝した
栗林美幸プロの談話をお届けします。
栗林プロの公式戦優勝は昨年5月以来です。
たくさん語っていただけまして、
ローングなインタビューになっています。
…………
Miyuki Kuribayashi:
JPBA37期生
1979年1月13日生
香川県出身・東京都在住
『ジャパンオープン』連覇
『関西オープン』3連覇(通算4勝)
『東海グランプリ』2勝
他、優勝・上位入賞多数
2013年後半に産休からトーナメント活動に復帰
Result(決勝ラウンド・ベスト16から)
7-3 野内麻聖美
7-0 夕川景子
7-0 河原千尋
7-5 梶谷景美
…………
――今のお気持ちを。
「嬉しいですね。ホッとしました。
単純に勝てて嬉しかったですし、
やっと勝てたというか、
『やっと撞けた』という感じですね。
無心で頑張れました。
一日を通して、
自分の内容に納得はできています」
――予選の一回戦でいきなり敗れて……。
「そう。
私の勝手な判断がダメだったんですけど、
テーブルにチビりましたね。
試合前、ぱっと見、
『撞きやすそうなテーブルだな』
と思ったんですが、
10ショット練習の時に
『あれっ、おかしいな!?』と。
私にはかなり難しいテーブルでした。
それでもう、一気に恐怖感が出てきました。
試合中、全然球を入れられなくなった。
パニックです。
自分でもがいて自分で首絞めて……。
入ったか入らなかった以前に、
自分で決めたショットができなくなっていた。
だから飛ぶんですよね」
――そこから持ち直せた?
「はい。別のテーブルでは普通に撞けて、
気持ちも落ち着いてきて。
初日の最終戦(ベスト16)は、
また因縁の渋いテーブルでやることになり(笑)。
でも、
『負けても良いから決めたショットをしよう』
と思ってやってたら、
テーブルにリベンジできました」
――大会2日目、ベスト8と準決勝は
2戦連続完封勝ち(7-0)でした。
「展開も良かったですし、
私も撞けてたと思います。
2日目のテーブルは、7-0で勝つか、
0-7で負けるか。あるいはヒルヒルか。
そういうコンディション。
私が日頃、練習で撞いてるテーブルに似ていて、
割と好きなコンディションでした。
そして、相手のミスもありましたし、
私はたいていブレイク後の取り出しが見えてたし。
ほぼプッシュアウトはしてないかな。
だから、マスワリとか取り切りも多かったです。
でも、やる前から逆の展開もあることが
わかっていたから、落ち着いていられたんです。
相手が入れるのは当たり前と思えている。
心の底から本当にそう思えたので。
以前は思えない時もあったんですけどね(笑)。
そういう感じで、
メンタルのバランスは良かったですし、
球のことだけ考えられていました」
――ファイナルでも?
「はい。球だけ考えてました。
4-0にできたのはツキがありました。
もちろん自分も撞けてたと思いますが、
相手のミスがありましたから。
自分の反省点は、
6-2とリーチをかけていた第9ゲームで
7番を飛ばしたこと。
視野が狭くなっていて、
8番をサイドに取ることにこだわったために、
7番をやってしまった。
8番、コーナーで良かったのにね。
あそこで、今回初めて
『勝ちたい』という欲が出てきちゃった。
それでまあ、チビってしまった訳です。
そんなミスをすると当然流れが変わりますよね。
1点差まで追い掛けられて……。
みんな『面白くなってきた』って
思いながら見てるんだろうなって
考えてました(笑)。
そんな状況でも楽しかったです。
やっぱり自分はこんなものだなと。
あそこでミスをすればこうなるし、それが普通だと。
そんなことを考えていたら、
最後に1番が回って来ました。
すごく難しい球だったけど……
渾身のイレイチをして、決まって、
そこからなんとか頑張って
取り切ったという感じです」
――昨年5月の『大阪クイーンズ』以降、
優勝から遠ざかっていました。
「気持ちですよね。
精神面がダメな方向に向かってしまっていた。
それが球に出てました。
慢心もありましたし、
焦りもちょっとありました。
言葉が悪いけど、腐ってしまう自分もいました。
試合に向かう心意気が腐ってました。
それもこれも、
『対・球』じゃなくて、
『対・相手』で試合をしていたからでしょう。
試合って本来、自分と球だけのはずなのに、
相手を意識してしまっていた。
去年の後半からそうなっていたと思います。
気持ちを入れ直して臨んだ
昨年の『全日本選手権』や、
今年の『ジャパンオープン』では、
また良い感じで撞けるようには
なってきていましたけどね。
今回は『対・球』で向き合えていた
ことが勝因だと思います」
――試合の開催数も多いとは言えない中で、
精神面を整えるのも大変そうですね。
「やっぱりどうしても緊張しますよね。
以前より試合が減っているので。
もちろん以前も真剣にやっていましたが、
今は1試合1試合の重みが一層増してきた。
でも、クリ(栗林達プロ)にも、
『落ち着いて撞きなよ。
そうしたら絶対大丈夫だから』
と言われてたんです。
今まではクリの言うことを素直に
聞けないことも多かったんですけど(笑)、
最近は共感というか同調できるところが
増えてきたかな」
――他に夫婦で話すこととは?
「『勝てないということは
下手だということ』かな。
テーブルに合わせられないのも、
展開に左右されるのも、
相手にチビるのも……、
どんな理由でも負けるイコール下手。
以上。
反対に、どんな内容であれ、
勝ったということは
その人が一番上手かったからです。
そんな当たり前のことが、
今までの私は本当の意味では
認められなかったんですよね」
――2015シーズンも終わりが見えてきました。
残り3試合、どんな気持ちで向かっていきますか?
「出るからには優勝したいです。
そして、優勝するには、
メンタルのコントロールが不可欠なので、
良い状態に整えて試合に臨みたいです」
――「良い状態」とは?
「勝ちに行くんじゃなくて、
球を撞きに行きたいですね、試合に。
そうすれば、
勝手に結果は出てくると思ってます」
…………
栗林プロの次の試合は、
10/3~4の『北陸オープン』!
…………
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