〈BD〉カスタムの輝き・「ジナ "Blue Cacique"」編

 

実物を見た瞬間、BDの口から出た言葉は、

「こ、これ、ください」でした。

 

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カスタムキューを多数取り扱っている

UK Corporation

 

その代表、大原秀夫氏が所蔵している

キューを見ていく本企画

(※過去記事はこちら)。

 

今回紹介するのは、

カスタムキューの世界で高い人気を保ち続ける

Gina Cue(ジナ・キュー)。

 

昨年大きな話題を呼んだあの

『ジナ・50周年記念モデル』の後に誕生した、

正真正銘(?)の引退カウントダウン作品です。

 

 

モデル名は、

 

「Blue Cacique Hideo arrange」

(ブルーカシケ・ヒデオアレンジ)。

 

エボニー(黒檀)をベースに、

 

爽やかなブルーのグラデーションベニアで彩られた

5剣ハギが入っています。

 

グリップもエボニーのウッドハンドル。

 

シルバーとターコイズで作られたリングは

「これだけ下さい」と言いたくなるカッコよさ。

 

50周年記念モデルの

優美さと重厚感も素晴らしかったですが、

 

既発のシンプルなデザインを用い、

色数を絞ってその濃淡で表現しているところに

高い気品が感じられます。

日本人が好む色彩感覚ではないでしょうか。

 

大原氏・談:

 

「いいですよねぇ、このブルーが。

 

オーダーしたのは2年ちょっと前。

 

昨年末に完成し、

今年春に私の手元に届きました。

 

アーニー(・ギュテレス。ジナ創始者・代表)は

これを、あの50周年記念モデル

並行して作っていたと思います。

 

50周年記念モデルを完成させて、

その受け渡しも全て終わって、

一息ついてからこちらの仕上げに入ったのでしょう。

 

今は売るつもりがないですし、

価格は"未定"としておいてください。

 

普通に考えれば、

アーニーが完全にリタイアしたとなれば、

価値はすぐ上がっていくでしょう。

 

一般的にカスタムキューマーケットでは、

作者が亡くなると2~3割アップすることが多いですが、

恐らく彼に限っては、

引退したらすぐ上がると思います。

 

いや、しかし、アーニーが正確にいつ引退するのか、

引退した後何をするのかは私もわからないです。

 

フォアアームもスリーブも、

このデザインは以前から存在しています。

ベーシックなデザインで、黄色のベニアで作っている。

 

その黄色に替えて、

ブルーのグラデーションでやってくれというのが

こちらからのオーダーでした。

 

そうそう、これを見てください。↓

 

 

ブルーのベニアのグラデーションは

ジナでは前例がなくて、

アーニーも材料を持ってなかったので、

彼の方でテストをしてくれました。

 

これはそのベニア見本ですね。

 

彼がこの見本の画像を私に送ってきて、

『これでどう?』と了承を得てから進めてくれました。

 

アーニーは昔からそういうところがしっかりしていて、

 

『このベニア、こう組む? それともこう合わせる?』などと、

時には図解したり、時には画像を見せたりしながら

依頼主のオーダーをしっかり聞き取ろうとする。

 

巨匠の巨匠たる所以ですね。

 

このベニア見本は、後日彼から私に送られて来ました。

貴重なものですし、本当に良い記念になりました。

これが私がアーニーにオーダーした

本当のラストモデルですから。

 

少なくとももうこれ以上、

私からはジナの新作は出てきません(笑)」

 

(了)

 

※本シリーズの過去記事はこちらから。

 

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