〈BD〉"ナイン・オン・フット"ラックの攻略ブレイク

 

『アムウェイカップ』で、

今年から導入された"ナイン・オン・フット"ラック。

 

これは、フットスポット上に①ではなく

⑨を置いて組むラックです。

 

つまり、ラック全体がテーブル中央方向に

ずずずいっと寄っています。

 

↓アムウェイの大会パンフレットより。

 

 

従来の、

フット上に①を置いて組むラックでは、

 

サイドブレイク(「レールブレイク」とも)

をすると、

 

パワーが強かろうが弱かろうが、

厚みが多少ズレていようが、

ほぼ100%近い確率で、

 

「ウイングボール」

(⑨の横にある2つのボールのうちの

撞き手サイドのボール)が

ポケットに入っていました

(※ラックシート使用時)。

 

"当てれば入る"というヤツです。

 

これを「即死する」

「ウイング即死」などと言ったりします。

文字にすると穏やかではありませんが……。

 

しかし、ナイン・オン・フット・ラックでは

手球を①の真正面に、

真ん中の撞点で当てても

ポケットインしてくれません。

 

では、プレイヤー達はどうやって

ブレイクイン率を高めているかというと、

 

多くの選手がチョイスする方法は、

 

「①の真っ直ぐではなく、

ほんのちょっと、あるいはそれなりに薄く当てて、

ヒネって打つ」です。

 

ヒネリは、ラックに向かって左側から

ブレイクするなら「左ヒネリ」、

 

右側から打つなら「右ヒネリ」です。

 

なおかつ、手球の"北半球"を撞く人は、

ほとんどいないようでした。

 

つまり、撞点は

"真左"、"左下"、"真右"、"右下"。

 

①に当てる厚みがド真っ直ぐではないので、

手球はラックに当たった後、

たいてい長クッションに入ります。

 

ヒネって①に当てることで、

ウイングボールの進むコースを

微修正することができ、

 

結果として、「そこそこ~悪くない確率で」

ウイングボールがコーナーに入ります。

 

また、①がサイドポケット方向に向かうので、

①を(①も)、サイドへのインを

意図的に狙っているプレイヤーもいます。

 

…………

 

BDが観てて上手いなーと思ったのは、

台湾トップの周捷妤。↓

 

 

ウイングボール(②)がコーナーに、

①がサイドに入っています。

 

割と①に厚く手球を当ててます。

 

…………

 

日本の河原千尋プロのブレイクも

40人中のTop 10に入っていたと思います。

 

 

ウイングボール(⑧)がコーナーに、

①がサイドに入っています。

 

本人に聞いてみたところ、

 

「これは結構①に薄く当ててますが、

もうちょっと厚めに当てるのが理想です。

 

私の場合、ウイングボールを入れることは

狙っていますが、①インは求めてません。

 

どちらかと言うと、①はサイドに入らずに

流れて(撞き手側に動いて)くれた方が良いかな。

 

①がサイドに入ると、

"スリーポイントルール"に引っかかって

"イリーガル"になる危険性もあるんですよ。

 

撞点は真左〜左下ですね」

 

とのこと。

 

…………

 

最後に、

河原プロに勝った中国の韓雨のブレイクも。

 

 

ウイング(⑥)は入ってませんが、

①がサイドに入りました。

このブレイクは3連発マスワリ上がりの

最後のブレイクだったと思います。

 

こんな失敗もあります。↓

同じく韓雨。

 

これはこの試合の序盤か中盤のブレイク。

 

 

引きとヒネリが効きすぎたのか、

長クッションに一度入ってから

グーッと引けてきてスクラッチ。

 

対戦していた河原プロも

よく覚えていたシーンでした。

 

…………

 

今回BDは、女子の国際試合で、

初めてナインオンフットラックを観ましたが、

 

やはりこのレベルのプレイヤー達は、

元々のブレイクスキルや

ブレイクパワーがあるからなのか、

想像以上に対応できていた印象です。

イン率も思った以上に高かった。

 

新ラシャですし、

ポケットもそこまでタイトではないので、

テーブルコンディション的にも

(まだ)入りやすいということもあるでしょう。

 

もちろん撞点や厚みやパワー、

それから手球の跳ねさせ具合など、

シビアに追求しなければいけない要素が多々ありますが、

 

世界のトップたちはしっかり予習してきているな、

というのが率直な印象。

 

大会前、BDは、ブレイクでは的球が

あまり入らないだろうと思っていたし、

 

入ったとしても、トラブルのある

配置になることが多いんじゃないかと

思っていましたが、

 

大会2日目の時点では、

そこまででもありませんでした。

 

あと2日、注視しておきたいと思います。

 

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