カスタムキューを多数取り扱っている
その代表、大原秀夫氏が所蔵している
キューを見ていく本企画
(※過去記事はこちら)。
今回紹介するのは、
近代ビリヤードキュー職人の
オリジンの一人に数えられ、
多くの後発メーカーに影響を与えた
『Szamboti』
(ザンボッティ・キュー)です。
今も熱狂的なファンが多く、
「好きなアメリカンカスタムキューは?」
という話題で必ずと言っていいほど
名前が挙がるメーカーです。
キュー好きな人に改めて説明するまでも
ないかもしれませんが、
創始者のGus Szamboti
(ガス・ザンボッティ)は、
創業20年を迎えようかという1988年に
57歳の若さでなくなっており、
キュー製作は息子の
Barry Szamboti(バリー・ザンボッティ)が
継承しています。
今回紹介するキューは、
1980年代に製作された、
いわゆる「ガスの方」で、
歴史的に見ても希少度から言っても
高い価値を有する時代のザンボッティです。
今の世にも連綿と伝わる
キューデザインの様式美そのものですね。
フォアアームはバーズアイメイプルをベースに、
エボニーの4剣ハギが入っています。
ベニアは外から黒・赤・黒・白。
スリーブ側はエボニーをベースにして、
小ぶりなダイヤデザインとドットが
入れられています。
一度は手にしたい"伝統の"デザインです。
大原秀夫氏・談:
「ビリヤードのキューと聞いて、
誰もがすぐ思い浮かべるような、
非常にポピュラーなデザインですね。
製作年代は1980年代で、
私が入手したのは今年です。
あるプロ選手を経由して、委託されて、
アメリカで販売してこようと思って
向こうに持って行ったのですが、
資金的に余裕があるコレクターや
ディーラーはちょうどいなくて、
結局持ち帰って来ました。
希望価格は300万円としておきましょうか。
シャフトはオリジナルのが2本と
Joss West(ジョスウエスト)が
作ったものが3本の、計5本あります。
最初は、オリジナルシャフトに
分厚いブルー系のタップが付いていて、
撞いてみても、どうもこのキューの
特徴や性格がよくわからなかったんですが、
Joss Westが作ったシャフトに替えて撞いてみたら、
ものすごく良いヒッティングサウンドを
奏でてくれて、
非常に出来の良いガス・ザンボッティだと
わかりました。
フォアアームにしても、スリーブにしても、
典型的なザンボッティ・デザインですね。
スリーブのダイヤとドットの
コンビネーションを見ると、
ダイヤの間にドットが2つあります。
ここが1つになっているデザインが
より有名ですね。
僕の目からすると、バットは恐らく
一度はリフィニッシュされていると思いますし、
糸巻きもひょっとすると巻き直されてるでしょう。
でも、作られて30年ぐらい経つ割には、
なかなかのグッドコンディションですね。
私の所に来るまでに、少なくとも3、4人は
オーナーがいたのではないかと思いますが、
大事に使われてきたんだろうなと想像しています。
ガスが亡くなってから30年近くになるんですね。
息子のバリーが引き継いでやってきましたが、
そのバリーも体調が良くないので心配です。
バリーの子どもたち、
つまりガスの孫達も製作を手伝っていると
聞いているのですが、
正確な話は私もよく知りません。
伝統あるザンボッティがどうなってしまうのか。
近い将来大きな変化があるかもしれませんね」
(了)
…………
大原さん、ありがとうございました。
参考動画:youtubeで見付けた、
生前のガス・ザンボッティ。約2分。↓
キュー構造を解説しています(もちろん英語)。
ハギについても語っていますね。
あのアメリカンプールのレジェンドプレイヤー、
故・S・ミゼラクが使う予定
(あるいはこの時点で既に使っていた?)の
モデルも出てきます。
試合の合間の”豆知識コーナー”的な感じですが、
よくこんな映像が残っていましたね。貴重。
…………
BD Official Partners :
世界に誇るMade in Japanのキューブランド。MEZZ / EXCEED
創造性と匠の技が光る伝統の国産キュー。ADAM JAPAN
ビリヤードアイテムの品揃え、国内最大級。NewArt
末永くビリヤード場とプレイヤーのそばに。ショールームMECCA
カスタムキュー、多数取り扱い中。UK Corporation
プレイヤーをサポートするグローブ&パウダー。TIE UP
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