カスタムキューを多数取り扱っている
その代表、大原秀夫氏が所蔵している
カスタムキューを見ていく本企画
(※過去記事はこちら)。
今回紹介するのは、
精緻な超絶技工と洗練の度合いの
バランスが素晴らしい
『Black Boar Cues』
(ブラックボア)です。
代表はトニー・シャネラ氏。
アメリカ・メリーランド州で
1980年代後半からキュー製作を始めていますが、
制作本数も、日本に入って来ている本数も
ジナやタッドなどに比べると、
多いとは言えません。
しかし、
その繊細なデザインと気品ある佇まいは
日本人好みではないでしょうか。
贅を尽くしたド派手なモデルであっても、
不思議と胃もたれしないのは
ブラックボアのセンスと言う他ありません。
フォアアームのベース材は
バーズアイメイプル。
そこに、
エボニー(黒檀)の長短8剣ハギが入り、
内側にシルバー、ゴールドなど、
細かいインレイが施されています。
スリーブはエボニーで
リング部以外にインレイのない
プレーンなデザインですが、
ブラックボアの特徴である
白くて短いバットキャップ(?)が
さり気なく存在感を放っています。
すぐに「ブラックボアだ」とわかる
デザインです。
大原秀夫氏・談:
「『見れば見るほど、超絶技工に驚く』
一言で言えば、それがブラックボアですね。
付け加えるなら、
『良い材料を惜しみなく使う』のも
トニー・シャネラのキューメイキング哲学です。
このキューも、キラキラしているのは
シルバーだけかなと思って光に当てると、
ゴールドも入っている。
フォアアームの赤いワンポイントは
石(貴石)かな? 確証はありませんが。
そういった材料をただ入れているだけじゃなくて、
技術的に高度で細かいことをしていますし、
全体で見るとデザインに統一性があり、
完成度が非常に高い。
リングやジョイントキャップに至るまで、
ものすごく凝った作りをしていて、
所有欲をくすぐります。
最近のブラックボアだと、
ここまでジョイントキャップに
凝ったものは少ないですが……。
人気が出るのも当然と頷ける出来栄えですね。
このキューは中古品で、私が入手したのは今年。
製作年度はよくわかりませんが、
2000年代でしょう。
これは”For Sale”です。
250万円としておきましょうか。
トニー・シャネラは、
偏屈でいい加減なところのある人物で、
昔は数名のスタッフを雇って、
“ショーンのワンランク上”みたいなスタイルで、
そこそこの本数を生産していたんですが、
スタッフが一人、また一人と辞めていって、
ひとりきりになってしまった。
そういうこともあって、生産本数が少なく、
最近は日本にもあまり入って来ていません。
年間生産本数は、
恐らく17~20本前後じゃないでしょうか。
しかし、トニーは腕は確かで頭も良い人なので、
ブランドイメージは高いままですね。
今はアメリカでも、まとまった数が
売りに出ることは滅多にないですが、
評価も高く、価格も高く、
少量が高値で取引されています。
ある時、市場に認められて、
ゴーンと価値が上がった。
かつての『マンジーノ』などと同じです。
相変わらずアメリカでは、
特にコレクター筋から高い人気があるので、
新作が出れば、高いモデルであろうと
さらっと売れてしまうという状況が
続いている印象です。
今年の春の『スーパービリヤードエキスポ』では、
4、5本売りに出ていましたが、
シンプルなデザインのモデルで
7,000ドルぐらいだったかな。
私も試し撞きまではしましたが……(笑)。
このキューは、今、
私の外出用のキューケースに入っていて、
ワンポケットなんかを撞く時には
これで楽しんでいます。
デザインも細工も、
『よく出来てるなぁ』と何度も眺めてしまう、
そんなモデルですね」
(了)
※本企画の過去記事はこちら。
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BD Official Partners :
世界に誇るMade in Japanのキューブランド。MEZZ / EXCEED
創造性と匠の技が光る伝統の国産キュー。ADAM JAPAN
ビリヤードアイテムの品揃え、国内最大級。NewArt
末永くビリヤード場とプレイヤーのそばに。ショールームMECCA
カスタムキュー、多数取り扱い中。UK Corporation
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