〈BD〉全日本チャンピオン渡辺元が「押し球ダブルクッション」を撞いてみた

 

日本有数の"キュー切れ"を持つ、 

アーティスティックビリヤードの全日本選手権覇者・ 

渡辺元プロ(JPBF)に、 

  

すんごい球を撞いてもらって、 

色々と動画で撮ってみる企画、第3弾です 

(※過去記事はこちらから)。 

  

撮影場所は渡辺プロが所属する 

NABBI』(東京・大塚)。 

  

………… 

  

今回撞いてもらったのは

「押し球ダブルクッション」。

 

こんなショットです。↓ 

 

 

トップスピンがたっぷり入った手球が、

 

まるで生き物のように、

短クッション→短クッションと、

同じクッションに2回入って、

 

それから長クッション→赤球と動きます。

 

…………

 

これをスローで撮ると……。↓

 

 

しなるキュー先!

 

吹っ飛ぶ黄球!

 

回る手球!

 

……と、見どころ満載な動画になりました。

 

…………

 

最後は、ちょっと特殊な成功例。

 

 

手球が「短→長→短→長→赤」と、

最後はダブルレールになって赤球に当たります。

 

これも成功です。

 

…………

 

この3本の動画を見ながら、

渡辺プロとトークしてみます。

 

…………

 

――このショットは渡辺プロとしては

易しいですか? それとも難しい?

 

「難しい方だと思います。

 

これはアーティスティック公式競技の中では

”7点”(最高10点)のショットで、

 

大雑把に言えば、

『ちょっとヒネってたくさん押す』という

イメージでズドン! と撞きますが、

 

そこに色々な技術的要素が詰まっていて、

7点にしては結構難しい。

 

それだけに綺麗に決まると

達成感が得られる配置で、

 

そういう意味では、僕としては

魅力的というか目標になるというか、

そんな球でもあります」

 

――”色々な技術的要素”とは?

 

「僕の場合は、

”押しはたくさん・左はワンタップ”の

撞点を撞くんですが、

 

その押し具合・ヒネリ具合が非常にシビアです。

 

まずは、

『綺麗な押し球が撞けるか』という点。

 

手球にちゃんと押し回転を与えつつ、

無駄な力は加えないという撞き方が

必要になってきます。

 

アーティスティックプレイヤーにとっても

簡単ではありません。

 

力任せに撞いた”汚い押し球”だと、

 

第1的球(映像では黄球)が、

すごい勢いでぶっ飛んで行って、

 

反対側の短クッションも飛び越えて

場外することもあります。

 

僕はこの球を成功できる人イコール

『綺麗な押し球ができる人』という

感じで捉えています」

 

――そして、厚みとヒネリ具合も難しい?

 

「はい。的球のちょっと左に当てて、

左をヒネるんですけど、

 

基本的に右利きのプレイヤーの多くは、

左ヒネリが、右ヒネリほどには

上手く撞けません。

 

身体の構造的に、

左はヒネリずらい方向になるので。

 

で、それを意識しすぎて、

左方向にキューを出しすぎると、

手球が左の方に流れやすくなり、

短→短と入らず、短→長になったりする。

 

かといって、ヒネリを甘くすると、

結構よくあるんですけど、

結果的に真ん中とかやや右を撞いちゃって、

 

短→短の後、長に入らなかったり、

短→短の後、右に動くこともあります。

 

的球の左に当てるので、

もらいヒネリも発生しますから、

そんなにヒネる必要はないけど、ノーじゃダメ。

この辺りの見極めが難しい」

 

――スロー映像でのボールやキュー先の

動きはイメージ通りでしたか?

 

「はい、イメージ通りでしたし、

これはかなりよく撞けてると思います。

 

第1的球は跳ねてますけど、

これでもそんなに暴れてない方でしょう。

 

手球も暴れてなくて、よくスピンが効いてますね」

 

――特殊な成功例については?

 

「短→長→短→長→赤で、

最後がダブルレールになってます。

これは成功として認められます。

 

短→長→短→赤ではダメ。

最後がダブルレールにならなきゃいけません。

 

手球がこう動いた原因は、第1的球に対して

ちょっとだけ薄く(左に)当たったから。

 

早い話が厚みをミスってるんですけど、

押しとヒネリがかなりいい具合に

効いてるとこういうことが起こります。

 

競技会の時に

たまーにこうなることがありますね。

なにせキューが切れる人たちが集まって

やってることなので(笑)」

 

………… 

  

渡辺プロ、ありがとうございました。 

次回はいよいよ「マッセ」をお届けします!

 

………… 

  

Hajime Watanabe 

1983年3月9日生 

東京都出身 

JPBF入会2006年 

2007年&2011年『全日本アーティスティック選手権』優勝 

NABBI(東京・大塚)所属 

使用キュー(3C、平撞き、マッセ)は全てMEZZ 

 

(了)

 

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