〈BD〉カスタムの輝き・「コグノセンティ」編

 

カスタムキューを多数取り扱っている

UK Corporation

 

その代表、大原秀夫氏が所蔵している

キューを見ていく本企画

(※過去記事はこちら)。

 

今回紹介するのは、

 

1989年からシカゴで製作開始。

 

エボニーを基本のバット材とし、

端正で華麗なインレイが目を引くモデルを

矢継ぎ早にリリース。

 

日本でも一世を風靡した

『Cognoscenti』(コグノセンティ)です。

 

代表を務めるのはジョー・ゴールド。

 

 

大原氏がキューケースから取り出した

コグノセンティは2本。

 

珍しいメイプルバットのモデルです。

 

この2本、

入手経路も入手年も異なるそうなのですが、

インレイのデザインパターン自体は同一のもの。

 

インレイ材は、

片方がエボニー(黒檀)で、

中央に細くシルバーでラインを入れています。

 

もう一方はココボロ(濃い茶色の銘木)です。

 

大原氏は

「2本ワンセットで兄弟キューとして大事に」

しており、売るつもりはないとのこと。

 

コグノセンティと言えば、

 

エボニーやココボロ・ボコテといった、

黒~濃い茶色の銘木をバットのベース材に採用し、

白いインレイや貴石を配したモデルが多いですが、

 

この2本は、その逆を行く配色パターン。

 

それでも「コグノらしさ」が

色濃く漂っているあたり、

ジョー・ゴールドが編み出した

シャープでグラフィカルなインレイデザインが

いかに印象的だったかを表しています。

 

大原氏・談:

 

「エボニーインレイのモデルは、

コグノセンティのデビュー時に世に出た

3本のうちの1本です。

 

その希少性と、バットのメイプルの

美しさに惹かれて購入しました。

 

ココボロインレイの方は、

後にオークションで見付けて入手したもの。

 

ジョーは割と早くメイプルを

バット材にするのを止めてしまったので、

こちらも初期のものでしょう。

 

この2本は全く売る気がありません。

 

デザイン的に兄弟ですし、

2本一揃えで持っていた方が良いなと思って。

コレクターとして持っておきます。

 

入手した時の金額は、

エボニーインレイの方が、

3,000~4,000ドルだったでしょうか。

ココボロインレイの方は20万円台だったはずです。

 

メイプルには、

カーリー(トラ目)とバーズアイ(鳥眼杢)の

両方が出ています。しかも色濃く。

 

これも私が気に入っている理由の一つ。

恐らく当時は他メーカーより高いメイプルを

仕入れていたんじゃないでしょうか。

 

今、市場にあるコグノセンティの大半は

エボニー・バットですが、最初は、

メイプル、ココボロ、ボコテ、エボニーという

4つのバット材で作り始めていました。

 

そこから、メイプルが先になくなり、

ココボロとボコテも少なくなり、

ほぼエボニー一本でやっていくようになった。

 

私が知る限り、ジョーは3度、

キュー作りを止めていますが、

2度目に彼が復活した時は、

パープルハートをバットのベース材にした

キューもあったと記憶しています。

 

そう、彼は割とすぐキュー作りを止めちゃうんです。

で、またマーケットが盛り上がったり、

待望論が出てくると復活して。

 

作ってない時は、

まあ悠々自適にやっているのでしょう。

オフロードの自動車レースが好きでしたから、

今もやっているのかもしれません。

 

彼が現時点でキューを作っているかどうかは

定かでないですが、

 

昨年の後半に、日本のあるコレクターの元に、

『最後の100本の製作をスタートするが、

オーダーをするかどうか』

という連絡が入ったそうです。

 

それにしても、一時期は本当に

コグノセンティを使う人が多かったですね。

 

モノトーンデザインはちょっとした流行になり、

各社、モノトーンのキューが増えた。

 

やはりデザインの力も大きかったでしょうし、

いくつかの点で他メーカーにはない

画期的な特徴がありました。

 

まずは、エボニーという重い材料を使いながら、

18オンスを切る軽いキューを作っていたこと。

これには皆が驚いた。

 

エボニー自体に秘密があるのか、中抜き構造なのか。

 

いずれにしても、エボニーを使った

キューとしては革命的な軽さを誇り、

マクウォーターらに影響を与えました。

 

 

(大原氏談話続く)

 

また、ジョイントピンに

軽くて硬い『G10エポキシ樹脂』(写真)を

採用したのはコグノセンティが最初です。

 

設計段階において、

いかにキューを軽くすることができるかということを、

飛行機の設計者と共同で研究したことが

知られていますが、

 

カーレースをやっていたジョー自身、

車体の軽量化に取り組んでいたので、

そういうことが複合的に作用して、

このジョイントピンが採用されるに

至ったのでしょう。

 

余談ですが、ジョーという人は

きっちりとした仕事をする人で、

パーツリストやプライスリストが

ちゃんと入ったカタログを、

ディーラーに配布していました。

このインレイならいくら、

こうするといくら、という風に。

 

私もカタログを一通り持ってました。

もうどこに行っちゃったかわからないけど(笑)。

 

そんなジョーの影響源はどこにあるかというと、

サウスウエストがその一つ。

 

ジョーはサウスウエストを崇拝していて、

今回のこの2本を作る前の時代、

つまり、メジャーデビューを果たす前には、

サウスウエスト風のジョイントの

リングワークを使って

キューを作っていた時代があります。

 

その後、今回の2本にも入っている

“シルバーのバーを30個使ったリング”にして、

デビューしたのです(※このリングを

後に『スタンダードリング』と呼ぶ)。

 

ちなみに、

このリングは特許のような申請がされていて、

他メーカーは使えないようになっていました。

 

さらにその後、このシルバーのバーの上下に

シルバーリングを入れ、

『ファンシーリング』と呼ぶようになります。

 

……と、そんなところから出発し、

デザイン的にも機能的にも他との違いを作り出し、

広く認められるようになった。

 

『スタイル』を持つに至ったメーカーの一つ、

それがコグノセンティだと言って良いでしょう」

 

(了)

 

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