2014年と2015年の2度に渡り、
大坪和史・前球聖と、
「球聖戦・挑戦者決定戦」や「球聖位決定戦」で
キューを交え、
喜島安広・現球聖とは10代の頃から親交のある
トップアマ、中野雅之選手。
宮城で球を覚え、進学・就職・転勤に伴い、
京都、神奈川、埼玉、東京で球を撞いてきた
中野選手は、
2年前から広島に住み、
HPBC(広島ポケットビリヤードクラブ)にも
所属しています。
今回、会場(「みゆき」)で
大坪vs喜島の『球聖位決定戦』を観戦していた
中野選手は、この2人の対戦をどう見たのでしょうか。
試合後に感想をうかがってみました。
…………
聞き手:BD
語り手:中野雅之
――今年の球聖位決定戦を見て率直な感想は?
「改めて2人のレベルの高さに驚きました。
シュート力、セーフティ、クッション、そしてメンタル。
全てにおいてハイレベルで、まさしく
ポケットビリヤードのアマチュア最強決定戦に
ふさわしい2人だと感じました」
――3年前の球聖位決定戦と同じく、
今回もフルセットのフルラックまで
もつれる接戦となりました。
最後は喜島選手にツキがあった訳ですが、
この結末については?
「3年前は、喜島君が先にリーチを掛けてから、
プッシュアウトした配置を
大坪さんが縦バンクから取り切ってフルラックとなり、
最終ラックは大坪さんのマスワリでゲームセットでした。
そして今回は、喜島君マスワリ、
大坪さんもマスワリという流れで
フルラック(6-6)になって、
最後は喜島君がブレイク。
彼は絶対マスワリで決めたいと思っていたはずですが、
1番は隠れてしまいました。
喜島君は時間を使って考えて、
守りには入らず、1番を前クッションで
攻めることを選択した。
それは入らなかったですが、
続く大坪さんの1番セーフティに臆することなく、
ジャンプでまた攻めに出た。
その結果があの9番フロックでした。
たしかに一言で言えばラッキーショットですが、
喜島君が攻める姿勢と自分のスタイルを貫いた結果が、
『勝ち運』を引き寄せたのではないかと思います。
そこに喜島君のメンタルの強さを感じましたし、
直後に潔く負けを認め、自分から握手を求めていった
大坪さんのスポーツマンシップに
ただただ頭が下がる思いでした」
――会場の雰囲気などはいかがでしたが?
「やはり球聖位決定戦は雰囲気が独特だなと思いました。
それぞれがナイスショットをする度に
応援団から拍手や声援が上がり、
その期待に応えるべく
2人が全身全霊でプレーし続ける。
こんな試合はこの球聖戦と『名人戦』ぐらいしかないし、
見ていて自分の胃が痛くなるくらいの
緊張感が伝わってきました。
それにRCC(中国放送)関係の方が、
何台ものカメラを使って撮影していたので、
特設会場を思わせるような雰囲気もありました。
そんな緊迫感のある舞台で、
2人ともあれだけ撞けるのですから、
本当にすごいですよ」
――球聖位決定戦は、9ボール・交互ブレイクの
7ラック先取の5セット先取という
長丁場の戦いですが、それについてはいかがですか?
「私も2015年に経験していますが、
このフォーマットは負けても納得できるというか、
運の介在する余地を小さくすることの
できる試合形式だと思います。
よくスポーツの世界で、
『心・技・体を極める』という言葉がありますが、
球聖位決定戦は上手いだけでは勝てない。
勝つ為には精神力・技術力・体力の全てが
備わっていることが大切だと思います。
そういう意味では2人を見ていて、
『アスリート』だなと感じました。
余談ですが、プロの試合でも同じような
フォーマットの試合があれば面白いなと思います。
例えば、大井直幸プロ vs S・V・ボーニング、
土方隼斗プロ vs 呉珈慶のロングマッチとか、
何か想像するだけでワクワクしますよね(笑)」
――たしかに面白そうですね。
ところで、交流のある中野さんから見た
大坪・喜島両選手はどんな人ですか?
「喜島君は明るくて、人懐っこくて、
人に好かれるタイプ。
普段から周りの皆と冗談を言い合ったりしています。
人望が厚いから、遠い埼玉から
あれだけの人数が応援団として来るんだと思います。
プレーはスピーディーかつ攻撃的で、
見ていて楽しいですね。
大坪さんは一見、寡黙なイメージを持つ方が
大半だと思うんですが、そんな事はないです。
普段は広島カープなど野球の話や、
ビリヤード関係の話をします。
ビリヤードはたまに想像すらしない
スーパーショットを繰り出してくるので、
ビリヤード界のファンタジスタと言って
良いのではないでしょうか。
大坪さんの球が好きな方は日本中にいると思いますが、
特に広島では大坪さんのファンはとても多いです」
――中野さんは約2年前から広島在住ですが、
大坪さんと練習することはありますか?
「所属ビリヤード場が違うので、
普段は一緒に練習する機会はあまりありませんが、
昨年の球聖位決定戦や『都道府県対抗』の前には
一緒に撞きました。
今年は球聖位決定戦の前は、
大坪さんの身体の状態があまり良くなかったこともあり、
本番までの体調管理を第一にしていたという印象で、
それもあってか、一緒に練習することはなかったです」
――もし身体に不安のない状態だったら……。
「広島で昔から大坪さんを知っている人は皆、
口を揃えます。
『昔はもっと凄かった。
誰が勝負しに来ても勝てなかった……』と。
だから不可能な話ですけど、
その頃の大坪さんと今の喜島君の
球聖位決定戦も見てみたいですね。
トップアマ界のゴジラ対モスラみたいな(笑)」
――中野さんご自身としては、また球聖戦に
挑戦したいという気持ちはありますか?
「もちろんです。個人的には
ポケットビリヤードのアマチュアプレイヤーにとって
最高の晴れ舞台の一つだと思っていますので、
一番上の球聖位決定戦まで行って、
喜島君とキューを交えてみたいですね。
2014年は私が挑戦者決定戦で大坪さんに負けて、
喜島君まで辿り着けなかったですから(笑)。
それと今回の試合映像などを通して、
みんなにこの雰囲気を知ってもらい、
もっともっと球聖戦に挑戦するプレイヤーが
増えてくれればいいなと思っています」
――最後に喜島選手と大坪選手に
声を掛けるとしたらどんなことを伝えたいですか?
「喜島君は同世代で仲が良いので
『喜島君、持ってるね~。来年待っててね!』
ですかね(笑)。
大坪さんには
『素晴らしいプレーと感動をありがとうございました』
と伝えたいですね。
私が今までに見てきた球聖位決定戦の中でも、
最高の名勝負だったと思います。
お2人に『ありがとうございました』と
言わせていただきたいです」
(了)
…………
Masayuki Nakano
1984年2月24日生
宮城県出身・広島県在住
ビリヤード歴は約18年
2016年よりHPBC(広島ポケットビリヤードクラブ)所属
2001年『JOCジュニアオリンピックカップ』優勝 ※世界ジュニア日本代表、平成13年度オリンピック有望選手
2004年『東北オープン』ベストアマ
2004年『北陸オープン』ベストアマ
2004、2005年『日本学生チャンピオントーナメント』優勝
2005年『琵琶湖オープン』優勝
2005年『全日本アマチュアポケットビリヤード選手権』優勝
2008年『全日本都道府県対抗』準優勝
2013年『全日本アマチュアナインボール選手権』優勝
2013年『ナインボールクラシック』優勝
2014、2015年『球聖戦』東日本代表
他、優勝・上位入賞多数
使用キューは、
プレーキュー:MUSASHI(ADAM JAPAN)T2ノーマル中空シャフト使用
ブレイクキュー:T2ブレイク(T2ファクトリー)
ジャンプキュー:T2ジャンプ(同上)
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BD Official Partners :
世界に誇るMade in Japanのキューブランド。MEZZ / EXCEED
創造性と匠の技が光る伝統の国産キュー。ADAM JAPAN
ビリヤードアイテムの品揃え、国内最大級。NewArt
末永くビリヤード場とプレイヤーのそばに。ショールームMECCA
カスタムキュー、多数取り扱い中。UK Corporation
徹底した品質の追求。信頼できる道具をその手に。KAMUI BRAND
BAGUS 横浜西口店。2017年3月グランドオープン。BAGUS
カーボン繊維構造REVOシャフト搭載モデル発売中。PREDATOR JAPAN
プレイヤーをサポートするグローブ&パウダー。TIE UP
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Cue Ball Samurai―ビリヤードサムライLINEスタンプ