1997年に渋谷に第1号店を出店して以来、
バグースが約20年間継続しているもの、
それは「ビリヤードレッスン」です。
現在、専任のインストラクターは10名に、
レッスン受講可能店舗は
首都圏の14店舗になっています。
概要や料金、レッスンスケジュール、FAQなどは、
公式サイトにわかりやすくまとまっています。
簡潔に言えば
「30分1,000円のマンツーマンレッスン(ゲーム代別)」で、
初心者でも上級者でも誰でも受けられます。
複数名での同時受講も可能です
(※これとは別に無料ワンポイントレッスンもあり)。
20年の間には、
全くの未経験状態からレッスンで基礎を学び、
BクラスやAクラスにまで上達した人も
数多くいるのだとか。
そもそもバグースは、なぜ専任の
インストラクターによるレッスンを始めたのか。
そして、インストラクターの役割や環境は
どのようなものなのか。
そういったバグースの「レッスン理念」を、
2001年に入社し、
現在はチーフインストラクターの立場にある
西尾祐プロ(JPBA)に伺いました。
…………
聞き手:BD
語り手:西尾祐プロ(バグース・チーフインストラクター)
――単刀直入におうかがいします。バグースが専任のインストラクターを置き、レッスンに力を入れている理由とは?
「バグースでは『ビリヤードは難しい。教わらないと遊べるようにならない』と考えています。僕自身、『ビリヤードは簡単だからやりましょう』とはとても言えません。でも、チョークの塗り方でもブリッジの組み方でも、どんなことでも一つちゃんと教わってできるようになると、一気に楽しくなってビリヤードにハマってくれる方が多くいらっしゃいます。そこでバグースではオープン当初からインストラクターによるレッスンを行っています」
――創業時から。
「はい。1997年に一号店(渋谷)ができた当時、僕はまだバグースに入っていませんが、プロ仲間の菅谷慎太郎プロ(故人)が初代の専属プロとして勤務していたので話を聞いたところ、『レッスン希望者はたくさんいるよ』と言っていました。オープン当初は無料レッスンのみだったのですが、その後、有料レッスンも開始していました」
――初めは無料だったんですね。
「そうです。ビリヤード場のスタッフが『無料でお教えしますので、声を掛けてください』というスタイルは今も多いと思いますが、バグースではそれだけでは目が行き届かなかったり、無料だと逆に教わりづらいと感じる方も多いようでした。そこで、有料レッスンも始めたのです。
僕が入った頃は、30分500円(ゲーム代別)というレッスン料でしたが、その後、30分1,000円(ゲーム代別)になって今に至ります。30分500円ではプロに教わる金額としては安すぎるのではないかと申し訳なく思って恐縮してしまうお客様が実際に多かったことと、インストラクターの人数や勤務時間に限りがある中で、より意欲の高い方に教えられるようにしたいという狙いもありました。『お一人様1日1時間まで』という決まりも同じような理由からです。より多くの方が受講できるように時間制限を設けました」
――「無料ワンポイントレッスン」というものもありますが、それは有料レッスンが入ってない時間にやっているのですか?
「はい、そうです。これはお客様から声を掛けられるのを待つというよりは、店内を回ってこちらからお声掛けしていくような感じですね。後ほどまたお話しますが、このフリーに動ける時間で、お客様の嗜好や目的、ビリヤードとの付き合い方などを把握するようにインストラクターにはコーチングしています。その結果、顧客認知の重要性を理解して動けるインストラクターが育っています。
ただ、無料ワンポイントレッスンは有料レッスンとの差を付ける意味でも、一定の時間の目安というのはあります。また、お客様に快適にプレーしていただける環境を維持するため、インストラクターによるメンテナンスチェックと店舗スタッフへの指導も行っています」
――インストラクターが店舗にいるのは平日の夕方以降ですね。これにも理由がありますか?
「基本的に平日の17時~22時か18時~23時ですね。会社帰りの方をメインターゲットにしていますのでこういう時間帯になりますし、平日のテーブル稼働率を上げたいというのもあります。週末は混雑する店舗が多いですが、週末しか来られないという方もいらっしゃいますので、一部店舗では日曜日にもレッスンを実施しています」
――レッスン希望者が特に多い店舗というのもあるんでしょうか?
「あります。これは地域性に依るところも大きいかなと思います。例えば銀座店や六本木店は希望されるお客様がとても多いです」
――インストラクターは基本的に受け持つ店舗が決まっているのですね。
「そうですね。決まった店舗と決まった曜日に決まったインストラクターがレッスンを実施するという形を取っていて、一人のインストラクターは担当の店舗に週2日勤務するのが基本です。多く勤務できるインストラクターならそれが2店舗になったりします。店舗によっては1週間で2~3名のインストラクターがレッスンを実施している所もあります。ちなみに、僕は週1日ずつで4店舗に行っています」
――有料レッスンの希望者は、どのようにしてレッスンがあることを知るのでしょうか?
「ホームページを見て予約する方が多いです。店頭でレッスンのPOPやカードを見て申し込みや問い合わせをされる方もいらっしゃいますが、割合的にはホームページが圧倒的です。インストラクターとして嬉しいのは、友人や知人の紹介で新規申し込みをいただくことです。これは自分のレッスンを大切な友人・知人に紹介してくれたということですから、一番嬉しいですよ」
――西尾プロが入社された2001年当時から現在に至るまで、「インストラクター」という存在は御社内で常に尊重され続けているように感じるのですが、いかがですか?
「僕が入った当時から会社や店舗スタッフはインストラクターとして立ててくれていました。『テーブル清掃などのホール業務はやらないでほしい』と言われています。それをやると普通のビリヤード場のスタッフになってしまい、インストラクターの価値を下げることにも繋がってしまうからです。
この恵まれた環境を保っていくためには、ただ単に『ビリヤードを教えるのが上手い人』ではいけないと考えています。僕はバグースでレッスンを始めるインストラクターには、『お客さんに好かれるのは当たり前で、店舗スタッフに認められるようになって一人前だよ』と伝えています」
――店舗にとっても役立つ存在であれ、ということですか?
「そうです。店舗の規模やスタッフの人数を考えると、どうしてもビリヤードの一人ひとりのお客様の動向や嗜好など、細かな部分まで目が行き届かないことがあります。そこをつぶさに観察して、声を掛ける時は掛けて、店舗とお客様とを上手く繋げて『お客様をお店に付ける』という役割も、バグースのインストラクターの重要な仕事の一つです。
僕は新しいインストラクターが入ると、研修の時に『まず、インストラクターとしての自分にお客様が付くようになること。でも、それがゴールではなくて、最終的にはお店にお客様が付くようにしてほしい』と言います。自分が店舗にいる日にお客様が来てくれることはありがたいことですが、自分のいる日だけにしか来ないというのはあまり良いことではありません」
――なるほど、よくわかりました。
「レッスンやアドバイスを受けた方が『いいことを教わったな。良かったな』と思えば、リピーターとなり、お一人でも来店されるようになることもあります。そして『ここ、居心地が良いな』と思えば、今度は友人知人を連れて来てくれるようにもなります。お客様を呼んでくれるのはお客様なんだと思っています。
インストラクターは相撞きのご紹介など、お客様同士を繋ぐこともあります。これは本当に見極めが難しいことですし、無責任にはできません。『そういうのが苦手なのでバグースを選んでます』という方もおられますので、慎重にやるようにしています。でも、アドバイスや相撞きのご紹介に興味がなさそうに見える方でも、実際にお声掛けしてみるとすごく興味を持っていただけるということも多いので、本当にお話してみないとわからないなと感じることが未だによくあります」
――バグースのインストラクターは『教える人』であり、『繋ぐ人』なんですね。
「はい、『繋ぐ』仕事まで出来て、お客様や店舗が求めていることに応えられたと言えるかと思います。この20年間に渡り、バグースのインストラクターが教えることと繋ぐことの両方を継続して成果を出し続けてくれているから、今もインストラクターによるレッスンがあるのだと思っています。バグースの理念を理解して行動に移しているインストラクターは仕事ぶりを見ていても皆頼もしく、自慢のインストラクターチームです。
また、インストラクターがプレイヤーとして登場する機会として、『9ボールトーナメント』や『9ボールダブルス』、『平日トーナメント』などのイベントがあります。こうしたインストラクター参加型の企画をより増やし、ビリヤードを愛するお客様と楽しさ、面白さを共有していきたいと考えています」
(了)
※来月、インタビュー「後編」で、
レッスン内容や教材、
そして西尾プロ自身のレッスン観などについて、
より詳しく語っていただきます。
お楽しみに。
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