台湾で開催されたポケットビリヤードの
『アジア選手権』(9ボール)。
ファイナルで台湾トップの張榮麟に
初めて勝って大会3連覇を達成した
JPBAプロ、羅立文(ロー・リーウェン)の
談話を以下でお届けします。
…………
大会の翌朝、BDは羅プロと
帰国便がたまたま一緒でした。
ホテルも一緒だったので、
早朝にロビーで待ち合わせて、
一緒にタクシーで台北の松山空港へ。
空港内のお店で、
「ここの牛肉麺とタピオカミルクティーは
美味しいですよ」と、
羅プロにおすすめされるがままに同じものを注文して
(ホントに美味しかった!)、
朝食を終えた後、搭乗口前で話を聞きました。
羅プロの次の試合は、
今週末の『全日本14-1』(東京・池袋『ロサ』)。
彼が愛する種目です。4勝目、なるでしょうか。
…………
Lo Li-wen
1978年7月10日生
台湾出身・神奈川県在住
JPBA43期生
JPBA年間ランキング1位・1回('10年)
『全日本14-1選手権』優勝3回
『北海道オープン』優勝3回
『関東オープン』優勝2回
『グランプリイースト』(GPE)では通算9勝
2010年『USオープン10ボール』準優勝
2015年~2017年『アジア選手権』3連覇
2016年『ワールド14-1』3位
他、優勝・入賞多数
レッスンスタジオ『POOL LABO』代表
Supported by UK Corporation
…………
聞き手:BD
語り手:羅立文
――3連覇、おめでとうございます。
「ありがとうございます。最高に嬉しいです。
今回もまた両親の目の前で優勝できて、
本当に良かったです」
――ファイナルは、
羅プロが7-3で先にリーチをかけましたが、
やはり張榮麟は追い上げて来ました。
あの時はどんな心理状況だったのでしょうか。
「試合前から、張榮麟という選手は
絶対に簡単に倒せる相手ではない
ということはわかっていたので、
ずっと気を引き締めていました。
というのも、僕は彼に今まで
試合で一度も勝ったことがありません。
10何年やってきて、ずっと負けてたんです。
だから、昨日が初勝利でした」
――えっ、そうだったんですね。
「はい。7-3でリーチをかけた時も、
『勝てる』とは全く思ってなかったです。
『まだわからない。
きっと彼は諦めずに追い上げて来る』と。
そういう心の準備ができていたので、
張が本当に追い付いて来た時も、
自分を信じる気持ちが揺れることはなかったし、
リズムも乱れなかった。
自分のブレイクがノーインでも、
静かに席に戻って、良い呼吸を心掛けながら
ただただチャンスを待っていました」
――最終ラック(7-7時の第15ラック)で、
チャンスが回って来ました。
あの1番からの取り切りは緊張しましたか?
「緊張はしていました。
3連覇のかかったファイナルで、
ヒルヒルの最終ゲームで、
ショットクロック(時間制限)も入っていましたから。
(※日本など他の国では、
ショットクロックありの試合でも、
ヒルヒル時だけは解除されるという
決まりになっている試合がある)
そして、絶対にポジションの失敗をしたくないと
思っていました(※動画はこちらの記事を)。
1番から2番に上手く出せた時は
気持ちがだいぶ落ち着きました。
3番から4番も簡単ではなかったですけど、
エクステンション(時間延長)も使って、
しっかり間を取って撞いたのが良かった。
後は球なりで出る形でしたね」
――ゲームボールを入れた瞬間の気持ちは?
「『やった!』と思いましたけど、
やっぱり興奮の度合いは
初優勝の時の方が大きかったです(笑)。
でも、すごく達成感があり、
最高に素晴らしい気分でした。
ずっと勝てなかった相手に勝って3連覇達成ですから。
そして内容を振り返っても、
ファイナルが一番良かったと思います」
――他に良く撞けた試合や、
カギになった試合はありますか?
「それは……敗者最終の柯乗中戦(8-3)です。
あれも良い内容でした」
――ベスト8(vs 張玉龍)と準決勝(vs 鄭喻軒)も、
ずっと競り合いが続くキツイ試合でしたね。
「やっぱり簡単な試合はありませんね。
その2試合も大変でした。
でも、最後までちゃんと気持ちの整理ができていて、
プレーリズムもいつもの羅立文らしく
コントロールできていたと思います。
集中力が続いていたから、
最後の最後で僕が先に上がれたんだと思います」
――大会前から『3連覇』は意識していましたか?
「そうですね。どう言ったらいいかな……。
自分としては、『絶対に3連覇するぞ』
という風には意気込まないようにしていました。
でも、台湾に着くと、
皆から『3連覇期待してるよ、頑張って』と
声を掛けてもらうので、
どうしても意識はしてしまっていました。
大会序盤はそれをプレッシャーに
感じていたと思います。
1回戦(8-7 vs A・アブドゥラハム〈サウジアラビア〉)は
あまり集中できていませんでした。
出来る限りリラックスして撞きたいけど、
3連覇もかかっているし、頑張らないといけない。
そういうどっちつかずの中途半端な心理状態で、
上手く集中できてなかったですね」
――その後、どうやって集中を取り戻したんですか?
「僕は毎日、日本にいる奥さんと電話で喋っていて、
その試合のことも細かく相談しました。
色々なアドバイスをもらって、
考え方を切り替えることができたと思います。
『勝ちたい』と思うから余計な力が入ってしまう。
そうではなくて、『負けない』にすると、
やるべきことが冷静に見えてくるし、
それを丁寧にやっていれば、負けないはずだと。
他の日もそうです。
内容面やメンタル面、試合以外の時間の使い方、
食生活、今困っていることなど、
もうなんでも奥さんに話しました(笑)。
そういうことの積み重ねで
一日一日少しずつ良くなっていって、
最終日にピークを持って来ることができました。
だから、奥さんと一緒に叶えた3連覇だと思っています」
――3連覇できたこと。
張榮麟にファイナルで勝てたこと。
メンタルや意識のコントロールができたこと。
……実り多い勝利になりましたね。
「間違いありません。
この優勝は本当に本当に大きなことですよ。
この優勝で、自分自身もまた成長できましたし、
さらに自信が付きました」
――わかりました。最後にファンやサポーターや、
レッスン生へメッセージを。
「皆さん、いつも応援してくれて
ありがとうございます。
皆さんのおかげで3連覇できて、
とても嬉しく思っています。
台湾に戻って来て
レッスンの教材もまた色々と見付かりましたので、
日本で皆さんに教える時を楽しみにしています。
『POOL LABO』のレッスンを受けたことの
ない方はぜひ一度受けてみてください。
最後に奥さんへ。
愛ちゃん、3連覇、やりましたよ!
いつもアドバイスしてくれてありがとう。
これからも一緒に世界チャンピオン目指して
頑張りましょう!」
(了)
…………
BD Official Partners :