先日、津堅翔プロ(JPBA)が
Facebookにアップしていた
ビリヤードの技術ネタが面白かったので、
皆さんとシェアしたいと思います。
簡単に言うと、
「こんな球を練習してたんだけど、超ムズイ!」
と、津堅プロがメゲていたというお話。
その配置がこれ。↓
撞点は真ん中、あるいは真下。
でも、その撞点で撞いてみるとわかるのですが、
入れるのがなかなか厳しいはず。
なかなかどころか、
「何度やっても無理」という人もいるでしょう。
というのも、
ストローク・手球の撞き出し方向・撞点などの
わずかなブレを
クッションが敏感に拾ってしまうので、
たいてい手球がクッションから
離れて進んでしまうから
(=「無意識に手球を1回クッションさせちゃっている」
と言えばいいでしょうか)。
もちろん始めからわずかに左方向に
撞き出してしまうクセのある人もいるでしょう。
タッチ・タッチの配置は、
手球の微ブレが如実に現れてしまうので、
「簡単に外せる」ということです。
1mmでも手球がクッションから浮いていたら、
途端に普通の球になるのですが……。
実は、この配置は、
「クッション側をヒネると入りやすい」
というコツというか、セオリーがあります。
ざっくり言えば
「ヒネった時のトビとカーブ」を利用します
(※一番下に動画あり)。
でも、津堅プロがやっていたのは、
あえてヒネリは使わずに、
「真ん中、あるいは真下を撞くのみ」
というチャレンジです。
左右に微ブレすらしない、
機械のようなストロークがあれば
できるのかもしれませんが……
……無理ゲーじゃなかろうか……。
「はじめのうち、400球撞いて
1球たりとも入りませんでした……(苦笑)」
(津堅)
えーっと、それって、
練習する意味、あるんですか?
「うぐぐぐ……(笑)。
そ、それは……先輩プロにも言われました(笑)。
まあまあ、
一種のトリックショットだと思ってもらえたら。
実際これ、ビリヤード場で
『みんな、できる?』なんて感じでやると
かなり盛り上がるんですよ」
(津堅)
……ならば、
成功例を見てみたいぞ……!!
ということで、
津堅プロ本人に動画を撮っていただきました。
まず、ストップショット(撞点真ん中)で。↓
簡単そうに見えますよね。
でも、簡単じゃないんです。
「『あるコツ』(※後述)を
もともと持っている人は、
始めからある程度は入るかもれしれません。
僕はさっぱりでしたけど(笑)」
(津堅)
これはぜひ、
BD読者の皆さんもやってみてください。
で、津堅プロの目標は、この配置で
「的球を入れつつ、
手球を引いてスクラッチさせて、
ダブルインさせること」。
完全無欠のストレートショットですね。
まず、失敗編。↓
入れてるだけでもすごいけど、
手球をスクラッチさせるなんて
普通あり得ないよね、うん、知ってた、
という映像。
ですが……!!
成功編を2本。↓
※店内のBGMが著作権で引っかかったので、
音源素材をかぶせてます。
津堅プロの喜びの大きさが、
この課題の難しさを逆に強調しています
(可能なら、津堅プロのFacebookで
音声ありでご覧ください)。
しかし、しかしです。
そもそもなんでこれをやるようになったのか?
そして、コツってあるの?
……というところを聞いてみました。
津堅プロ・談:
「やるようにきっかけは……
なんだったかな(笑)。
真っ直ぐストロークして、
真っ直ぐ入れる練習をしたくて、
思い付きでやるようになった配置です。
始めは、もっとボールの間隔を開けて、
『2-2』
(ツーツー。手球も的球もそれぞれ
コーナーポケットから2ポイントの所に置く)
の配置で、
クッションからチョーク半個分浮かせて
(非タッチで)やってました。
それでも渋いテーブルでやると
かなり難しいんですよ。
で、なにかのきっかけで、
クッションタッチでやるようになった。
『できるのかな?』って。
クッション側をヒネると入りやすくなる
というのはよく言われてますよね。
でも、それは使わずに。
僕がやりたかったのは、
ど真ん中の撞点でのストップショットと、
真下の撞点での引き球。
そしたら、400球撞いてもダメで(笑)。
なので、
手球と的球の間を近付けてやるようにしました。
川端聡プロに話をしたら、
次の日に『できたー!』と動画が送られてきて、
それを見たらもう火が点いちゃって(笑)。
それでも、
全くと言っていいほど成功しなかったんですが、
実はつい最近、コツを掴んじゃいました。
今は10球に1球は成功するかな。
それでも激ムズなのは変わらないですけど(笑)」
――そ、そのコツをぜひ!
「『あくまで自分の場合は』
という言い方になっちゃうし、
ここで明かすと、皆さんが自分で発見する
楽しみがなくなってしまうので(笑)」
――ヒントだけでも。
「しょうがないなぁ(笑)。
僕の場合は、『ある一つのポイント』を
抑えるだけで成功率が上がりました。
それは原点とも言えるもので、
どのショットでもここが大事だよね!?
って思って、
めっちゃ集中して取り組んでみたら、
できるようになりました。
『そこ』が抑えられている人なら、
仮にキュー出しがちょっとズレていても
入るんじゃないかな。
逆に、僕は今まで普通の真っ直ぐの球を
感性で入れてきてたんだなと
いうことがよくわかりました。
今の僕は、
『そこ』への意識が芽生えたので、
他の配置を撞く時のストロークも
さらに良くなると思います。
原点は何にでも通用するということですね。
もっとヒントを言うと、
今僕はこの球を10球中1球ぐらいは
成功させられるようになったけど、
これが反対側のクッションだと
まだまだダメ。
……で、わかる人はわかると思います(笑)」
――あーっ、わかった! □×◯△□×?
「あったりぃ!!(笑)
じゃ、BDさん、『やってみた!』で
いずれアップしてくださいね」
――は、はい(笑)。ところで、
この配置がもし仮に試合本番で回ってきたら、
こうやって撞きますか?
「いやー、さすがに成功率が低すぎて、
試合ではこのショットは選ばないなぁ。
どうしても入れたいならヒネリを使って狙うか、
それかセーフティでしょうね。
だからこれはまあ、みんなでワイワイ、
『これ、できる?』って
楽しむトリックショットみたいなもの(笑)。
もし見学者が来たら、
30回撞かせてもらえたら、
1回以上は成功例をお見せできると思います」
…………
津堅プロ、ありがとうございました。
成功ショットを実際に見たい方、
コツを教わりたい方は、
津堅プロが所属する東京八王子市の『PAL』(パルへ)。
「あ、BDさん、
僕、こういう、『これ、できる?』系の
ショットすごく好きなんですよ。
皆で楽しめるでしょう。
他のプロも結構いいネタを
持ってるんじゃないかと思うので、
『求ム!』と書いておいてください」
(津堅)
了解です!
プロの皆さん、いいネタがあればどうぞBDへ。
全体の配置と成功ショットがわかる動画、求ム!
…………
さて、文中に何度か出ていた、
「ヒネリを使って狙うやりかた」は、
以下の2つの動画を見ればわかります。↓
ともに英語ですが、
言っていること・やっていることは、
難しくありません。
「クッション側の撞点をヒネる」だけです。
使ってるキュー(シャフト)の性質や
撞き方や、
テーブルコンディションにもよりますが、
練習すれば結構確率を高められます。
あのR・バーン氏の著作シリーズにも
載っていたような……!?
でも、
手球・的球両方タッチという状況になること自体、
プロの試合を長年取材していても、
「だいぶ珍しい」ということは
申し添えておきたいと思います
タッチに極めて近い球はよくありますが、
よく見るとたいてい2球のどちらかがわずかに浮いていて、
本当に2球ともタッチしているという状況は
あまりないです。
バンキングで、両選手の撞いた球が
2つともクッションタッチになることが
極めて珍しいのと同じです。
……が、この配置は撞いてみて、
津堅プロに成功の報告をしてあげてください(笑)。