〈BD〉「短命、寡作。しかし超人気のメーカーを探せ」――Detective “K” season 2. episode 02 ※Kからプレゼントあり

↑ Kが今一番そそられる新進メーカー、ジェイク・ハルゼー
↑ Kが今一番そそられる新進メーカー、ジェイク・ハルゼー

 

私はDetective K。

ビリヤードキューの調査を引き受ける探偵だ。

 

皆から単に”K”、

あるいは「なんちゃらK」と呼ばれている。

 

「でぃてくてぃぶけい」を10回続けて言うと、

「でででぶけー」になってしまうからだ。

 

ここ数ヶ月、身を潜めていた。

別に不祥事を起こしたわけじゃないんだがな。

 

ピコッ! 

 

ココのブログ主、BDからメッセージだ。

ヤツからのメッセージは放置していたんだが、

既読にしておくか……。

 

『そろそろ、穴から出て来てください。

調査依頼ですよ。』

 

見捨てられたわけじゃないんだな、BD。

 

『短命、あるいは極端な寡作なのに知名度が高く、

人気のメーカーを調べてください。』

 

ちっ、自分が長身だからといって、

いきなりハードルを上げてきやがったな、BD。

 

マイナーなのに、メジャーという矛盾したメーカーだな。

皆がその名を知っているのに、

実物にお目にかかるのは難しいというヤツだ。

 

それならばいくらでも……ぐふぐふぐふふ。

 

『……! Kだけが知っていて、

誰も知らないメーカーはダメですよ。』

 

くっ。見抜かれているな。

 

わかった、オレはキュー探偵。

引き受けるぜその依頼。

 

*****

 

キューメーカーの評価は、撞いた時の特性とデザイン、

使われる素材で本来は決まるもの。

 

しかし、どれだけ多くのプレイヤーが評価するかで、

需要と供給のバランスは変わる。

 

量産メーカーのキューは、

「一人でも多くのプレイヤーが手にできるようにする」

のが基本。

 

よって、評価は価格設定や広告宣伝、

実際にそのメーカーのキューを所有する、

プレイヤーの多さによって決まる。

 

対照的に、少量生産メーカーは

「製作した分だけ売れれば良い」と考える。

 

広大な国土のアメリカでは、

地元のプレイヤーだけを相手にしている

「ローカルメーカー」も多い。

 

よってオーナーの数も少なく、その評価は限定的。

だが、何らかのきっかけで評判が広まり、

需要が供給を上回るメーカーが存在する。

 

*****

 

その状況を生み出す原因は、実はひとつではない。

 

有名プロや旅回りハスラーの使用により、

口コミで知名度が上がるパターン。

 

次に、メーカーが何らかの理由で

生産を止めた後に評価されるパターン。

 

そして、一部のコレクターが、

そのメーカーのキューを買い占めることで

市場に姿を現さないパターンだ。

 

*****

 

ま、ジナ、タッド、サウスウェスト、

ザンボッティなど、おなじみのメーカーは

皆が知っていることばかりだから、今回の調査対象外。

 

ここでは、名前を聞いたことあっても、

寡作ゆえ実物を見ることはほとんどない

キューメーカーを紹介しよう。

 

*****

 

↑コレクターのラック。右から5番目の 黒檀バットのキューがクレイグ・ピーターセン作
↑コレクターのラック。右から5番目の 黒檀バットのキューがクレイグ・ピーターセン作

 

Craig Petersen クレイグ・ピーターセン

 

1963年から1992年まで、途中数年間の中断を経て

イリノイ州シカゴ周辺で製作していたキューメーカー。

 

ガス・ザンボッティと並び評価されていたが、

1992年、46歳で早逝したことで更に価値が上がった。

 

コグノセンティキューの作者、ジョー・ゴールドに

キュー製作をアドバイスしていたこともある。

 

クラシックな4剣や8剣デザインに、

当時としては凝ったインレイワークが美しく、

現存するキューのほとんどはコレクター所有。

市場に出てくることはまずない。

 

キュー尻に刻まれた"CP"のモノグラムを見ると、

コレクターは普通興奮するが、

オレは漫画『すすめ!パイレーツ』を

つい想起してしまう。

 

*****

 

1997年〜1998年のキューメーカーカレンダーの表紙になったFrank Costerキュー(2本とも)
1997年〜1998年のキューメーカーカレンダーの表紙になったFrank Costerキュー(2本とも)

 

Frank Coster フランク・コスタ

 

ペンシルバニア州アレンタウンで、

1982年から1991年のわずか9年間、

一人で製作していたローカルメーカーで、

一風変わったデザインが特徴。

 

プロプレイヤー、アレン・ホプキンスが

1980年代に使用していたことで知られる。

 

亡くなった恋人の墓前で自ら命を絶ったという悲劇が、

その価値を高めた。

 

死後、彼の車から発見された数本のキューは、

通称「トランク・キュー」と呼ばれ、

高価で取引された伝説の逸品。

 

十数年前、売りに出されていた高級モデルを

手にする直前まで行ったが、

 

「そんなキューに興味があるのは、K、あなただけですよ」

というツッコミで断念した。

 

キュー探偵K史上トップテンに入る、痛恨の出来事だ。

 

*****

 

↑ UK Corporation大原氏所蔵のRon Haley
↑ UK Corporation大原氏所蔵のRon Haley

 

Ron Haley ロン・ハーレー

 

アーカンソー州スプリングデール在住のキューメーカー。

 

製作開始は1990年だが、自ら製作するだけでなく、

クリス・ニッティやアンディ・ギルバートをはじめ、

数多くのキューメーカーに

惜しげもなく製作ノウハウを伝授した

「キューメーカーズ・キューメーカー」的存在。

 

ただ、日本での知名度は低く、

国内で実物を目にすることは稀。

 

本人はコレクターズショーやエキスポに

しょっちゅう顔を出すが、

オーダーしたいという話題を振ると断られる。

 

*****

 

↑ 右から3番目が、Mobley作のハロウィンキュー。 バッテリーでかぼちゃやハギ根元、フォアアームが光る怪作
↑ 右から3番目が、Mobley作のハロウィンキュー。 バッテリーでかぼちゃやハギ根元、フォアアームが光る怪作

 

Randy Mobley ランディ・モブリー

 

フロリダ州在住のキューメーカー。

 

遅くとも1980年代には製作開始しているが、

「知る人ぞ知る」存在でプロフィールも謎。

 

個体が少ないため

本国アメリカでも実物を見ることは困難。

 

オレでさえ、電池内蔵で光る

ハロウィンデザインのキューが唯一手にした作品ゆえ、

まっとうな評価をしかねる難儀な存在。

 

本人とは一度話をしたことがあるが、

まるで学者かエンジニアのようなキューメーカーだった。

 

*****

 

Dennis Searing デニス・シアリング

 

フロリダ州ウェリントン在住。

 

ガス・ザンボッティの作品を

プレイヤーズキューとして愛用し、

ガスの死後、1991年から

キューを自ら製作するようになった。

 

ザンボッティの影響を強く受けつつ、

より高度で精緻なデザインにより

コレクター筋から絶大な人気を得た。

 

良く言えば研究熱心な性格が災い(?)して、

製作本数はごく少ない上に

一部のコレクターからのオーダーで手一杯なため、

入手は困難を極める。

 

*****

 

Jake Hulsey ジェイク・ハルゼー

 

2013年にインターネットフォーラム

『Azbilliard.com』で

「キュー・オブ・ザ・イヤー」に選ばれた、

テキサス州在住の新進メーカー

(※本記事のトップ画像)。

 

ハギの根元に一ひねり加えて、

出し尽くされたと思われていたハギのデザインを

斬新なものに生まれ変わらせたセンスが、

コレクター筋に高く評価されている

 

ビル・ストラウドが引退後、

彼に機材を譲ったのは有名な話。

オレ自身撞いたことがなく、

道具としての評価はできないが、

今一番そそられるメーカーだ。

 

*****

 

実物を見ることが稀なメーカーのキューは、

ネットが発達した今でも伝説の存在。

マニアやコレクターが群がる、誘蛾灯のようなもの。

 

ただ、「知る人ぞ知る」は

「知らない人はまったく知らない」ことの裏返し。

 

自己満足と呼ばれることを恐れていては、

寡作メーカーのキューは手に入らないぜ。

 

また依頼があれば調べるぜ。よろしくな、BD!

 

(to be continued…)

 

Detective “K”についてはこちら

 

…………

 

【10名にキュー探偵K・オリジナルステッカープレゼント!】

 

 

BD記:

 

ある日、Kから届いた一通の封書。

 

開けてみるとそこには、

ゴールドに輝くステッカー数十枚と

メッセージが……。

 

「キューケースに貼ったら、

皆、中のキューが何かを気にしちゃうステッカーで、

ライバルに差をつけよう! ――K」

 

そ、そうですか。

 

……ということで、

Kが自腹で作ったステッカーを、

10名様にプレゼントいたします。

BDが自腹で作った缶バッチも付けます。

 

ご希望の方は、

問い合わせフォームからご応募ください。

 

●お名前(ペンネーム可)

 

●メールアドレス

 

●以下のA・Bのどちらか(あるいは両方)にお答えください。

たくさん書いていただけるとKが喜びます。

A:『K』でこんなネタを読みたいという企画案

B:「こんなキューはイヤだ」選手権。さて、どんなキュー?

 

以上をご記入の上、お申し込みください。

 

厳正な抽選を行い、

当選者のみにお知らせをいたします。

その段階で、お名前・送り先など

詳細をお聞きします。

 

締め切りは7月末日。どうぞお気軽にご応募を。

 

あと、BDがしばらくの間

何枚か持ち歩くようにしていますので、

欲しい方は試合会場などで直接BDまで

(※直接ご希望された方には缶バッチはありません。

また、持ってないことや配り切っている場合もあります)。

 

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BD Official Partners :  
世界に誇るMade in Japanのキューブランド。MEZZ / EXCEED 
創造性と匠の技が光る伝統の国産キュー。ADAM JAPAN 
ビリヤードアイテムの品揃え、国内最大級。NewArt 
末永くビリヤード場とプレイヤーのそばに。ショールームMECCA 
カスタムキュー、多数取り扱い中。UK Corporation 
徹底した品質の追求。信頼できる道具をその手に。KAMUI BRAND
BAGUS 横浜西口店。2017年3月グランドオープン。BAGUS
カーボン繊維構造REVOシャフト発売中。PREDATOR JAPA
プレイヤーをサポートするグローブ&パウダー。TIE UP 
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