日本のみならず世界中にユーザーがいる
2つのキューブランド、
ともに株式会社三木が製作する
国産キューブランドだということは
すでに多くの人がご存知でしょう。
MEZZは22年、EXCEEDにも早14年の歴史があり、
その高品質・高性能なキューの数々は
「信頼のジャパンブランド」として
世界のビリヤードシーンに浸透しています。
そんなMEZZ & EXCEEDキューの
性能・特徴・魅力を探るべく、
BDでは契約プロスタッフたちに、
インタビューすることにしました。
彼らが実際に今使っているキューを
メインテーマにして
色々と掘り下げていきたいと思います。
トップバッターでご登場いただいたのは、
今週末の『ジャパンオープン』に
ディフェンディングチャンピオンとして出場する
土方隼斗(ひじかた・はやと)プロです。
今年でプロ12年目となる土方プロは、
MEZZ & EXCEED歴も12年以上になります。
前編となる今回は、
今使っているプレーキュー
ことを中心にお話をうかがいました。
※後編はこちら。
…………
↑ プレーキュー:
(シャフトは『EX Pro』。タップは『斬』。
2インチエクステンダー常時着用)
…………
聞き手:BD
語り手:土方隼斗
撮影場所:自遊空間高田馬場店
――プレーキューが
『EXCEED・2代目土方隼斗モデル』に
なってからもう7年が経ちます。
改めて当時のことをお聞きしますが、
何か土方プロ側からオーダーしたことは
あったのですか?
「いや、初代モデル同様
『グリップはノーラップで』と
お願いした以外、特に何も言ってないです」
――デザインもお任せでしたか?
「はい、もう信頼して完全にお任せしました。
木の種類も色使いもデザインも
自分から何かを言わなくても、
いいものを作ってくださるとわかっていたし、
性能も含めて大丈夫だろうと思っているので、
何も言うことがないんです(笑)。
初代に関しては、同じ系統のデザインで
完成間近のキューが3、4本あって、
その中から1本を選ばせていただきました。
だから、初代モデルはデザインが少し異なる
兄弟キューが2、3本存在していて、
今もどこかで誰かが持っているはずです。
でも、2代目はあの1本のみ
(※後に一般販売された)。
出来上がったのを初めて見た時は、
本当にカッコよくて嬉しかったですね。
初代のデザインも気に入ってましたけど、
それを越えたと感じました。
比較すると、2代目の方が
より『強そう』に見えるデザインなのかなと。
そこもまた気に入ってます(笑)」
――デザイン上のお気に入りポイントは?
「全てになっちゃいますけど、
強いて言うなら、僕は青色が好きなのもあって、
このインレイの青(トルコ石)と白(樹脂)と
キラキラ(貝)のコンビネーションですね。
綺麗だな~って今も思います。
未だに、他のキューを見ても
『自分のが一番良いな』って思っちゃいます(笑)。
何も僕は具体的なリクエストをしてないのに、
一発で気に入るようなキューを作っていただけて、
本当にありがたいことです」
――初代も2代目もグリップ部は
「ノーラップ」ですが、それにこだわる理由とは?
「僕の手が乾燥肌だからですね。
糸巻きにするとキューが手の中で滑ってしまうので、
小さい頃から論外だったんです(笑)。
革巻きでも朝イチとか手が乾いている時間帯は
ちょっと滑ってしまう。
かといって、
ラバーグリップみたいなピタッとしたものだと、
僕の場合は『持ち過ぎちゃう』
(=密着感がありすぎる)。
トータルで考えるとノーラップがベストでした。
手の中でキューをズラして(滑らせて)
撞くタイプじゃないけど、
ズレなさすぎるのもイヤという……。
その微妙な感覚をお伝えするのは
難しいんですけど(笑)、
ノーラップが一番しっくりくるなって。
昔は革巻きのキューを使っていた時もあります。
試合が進んでいき、緊張感で手が汗で湿ってくると、
しっとりした握り心地になるんですけど、
そうなるまでは微妙でしたね。
手が乾いてるからキューが滑っちゃって。
だから、ハンドクリームを塗って
プレーしたこともあります。
でも、身体を伸ばして遠い球を撞く時って、
キューの後ろの方(スリーブ)を持つじゃないですか。
その時に、
『ここの方が握った感じが良いな』みたいな」
――13〜14歳の頃にグリップのスタイルが
出来ていたんですね。
「ええ(笑)。
当時ノーラップのキューは
まだ国内ではそんなに出回ってなかったけど、
『ノーラップっていいんだろうな』と思ってました。
だから、初代土方モデルのお話をいただいた時に、
『ノーラップで』とお願いしたんです」
――バットからEXCEEDならではのパワーや
打感というものは感じますか?
「うーん、難しい質問ですね(笑)。
僕はもうずっとEXCEEDだけですからね。
全体的なパワーやしっかりした打感というのは、
MEZZキューのバットよりも
EXCEEDのバットの方があるのは感じています。
でも、MEZZキューのバットもどれもしっかりしてるし、
果たして多くの人が感じ取れるほどの
違いがあるかというと、
それは難しいんじゃないかなとは思います」
――今使っているシャフトは『EX Pro』。
出た当時(2014年末)から使っていますね。
「それまでは『Hybrid Alpha』を使っていて、
かなり慣れていたんですけど、
初めてEX Proを使った時は
まず『良い打感だな』と感じました。
切れとパワーがあって性能的には申し分なし。
ですが、本当にズレ(見越し)が少ないので、
初めのうちは違和感があって、
慣れるのに2ヶ月ぐらいかかりました。
たぶんMEZZから出ているシャフトの中で、
トップクラスにズレが少ないと思います。
でも、途中でHybrid Alphaに戻したりはせず、
EX Proだけを使い続けて慣れました。
僕はキューに合わせて行くタイプなので(笑)」
――EX Proの、特にここが良いという点とは?
「押しの効き具合が
Hybrid Alphaの時よりアップしました。
引きやヒネリはとそんなに変わらないかな。
あとはさっきも言った打感ですね。
Hybrid Alphaもソリッドな感触がありましたが、
EX Proはより『芯を食ってる感じ』があります。
真ん中辺りを撞いた時は特に。
なんて言えば良いかな……
いかにもパワーがありそうな……
バネがあるような感じ。
それが右手にすぐに伝わってきました。
そのパワー感が、僕の場合は
押し球にダイレクトに現れているんだと思います」
――テーパーや径、先角、ジョイントなどに
こだわりは?
「それが何もなくてですね(笑)。
バット同様、シャフトのスペック面も、
昔から一切注文したことがなく、
いただいたものをそのまま使ってます。
EX Proを2本いただいていて、
メインとスペアに分けています。
もちろん2本とも同じ仕様ですが、
使用頻度の違いもあるし、
僕はシャフトの滑りが悪くなった時に
軽く紙ヤスリを当てたりするんで、
今は少し性能に違いがあると思います」
――わかりました。プレーキューについては
このぐらいで。……ちなみに、
3代目土方モデルの話はまだないですよね?
「ないですないです(笑)。
3代目の話が進むとしたら
もちろんそれは嬉しいことですけど、
果たしてこの2代目のデザインや性能を
どうやったら越えられるんだろう?
って自分でも思ってます。
かなり高いハードルになるんじゃないでしょうか(笑)」
――わかりました。次回はキュー遍歴や
プレーキュー以外のことをお聞きします。
(了)
※後編はこちら。
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Hayato Hijikata
JPBA40期生
1989年3月16日生 東京都出身&在住
アマ時代の2005年に『世界ジュニア』銀メダル
2005年&2013年『関東オープン』優勝
2007年『ルカシージュニアワールドテンボール』優勝
2008年『北海道オープン』優勝
2010年『エイトボールオープン』優勝
2013年&2016年『ジャパンオープン』優勝
2013年、2014年、2016年『関西オープン』3勝
2013年『東海グランプリ』優勝
2016年『全日本ローテーション』優勝
2016年『ハウステンボス九州オープン』優勝
2016年『北陸オープン』優勝
『GPE』通算16勝、他、入賞多数
2013年&2016年JPBA男子年間ランキング1位
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