〈BD〉レイズの9ボールスーパーショット集。と、引退報道について

 

まずは、

今年1月の『ダービーシティクラシック』

9ボール部門での、

 

「マジシャン」E・レイズのベストショット集です。

 

約3分30秒。↓

 

一つの大会(数試合)に絞っても

これだけ色々出て来るというのが、

レイズらしいと言えばらしいですね。

 

探す側も見る側もそういう目で見てしまうので、

なんでもスーパーショットに見えてしまうという

"エフレンバイアス"もあるでしょう。

 

しかし、近年はレイズが9ボールを

撞く姿を見ることがだいぶ少なくなりました。

その点から言っても貴重な動画と言えると思います。

 

さて、もともとyoutubeには

レイズ動画がたくさんありますが、

最近より一層増えてきた印象があります

(※その多くは、元々ある映像の”繋ぎ直し”版

みたいなもので、オリジナル〈初見〉のものは

ほとんどありませんが……)。

 

それは恐らく、

「そろそろ本当に引退するのでは?」と

考えている人が多いからではないかと思います。

 

レイズ引退説は、

10数年前からたびたび取り沙汰され、

時には噂が独り歩きをし、その都度、

メジャーイベントに普通に出ている姿を見て、

メディアもファンも、

「良かった、まだ辞めてなかったんだ」と

ホッと胸を撫で下ろす、というのが

パターン化していたように思います。

 

ですが、最近はメジャーイベントへの参戦も

目に見えて減り、今年5月頃には、

アメリカで連戦スケジュールを組んでいたけれど、

疲れを訴えて急遽帰国する、という一幕も。

 

そして、先月(7月)、フィリピンの

大手メディア、ABS-CBNの取材に応じて

「引退を考えている」と発言しました。

 

その記事がこちら(英語+タガログ語)。

 

具体的な日程は明言していませんし、

今もマニラでは試合に出たり、

勝負撞きをしていたりするようですので、

 

ある時点で

ピタッと競技活動から身を退くということではなく、

当面は緩やかに活動のステージを移行していく

ということなのかなとは思います。

 

 

しかしこの先、

海外に出ていく機会は減ることはあれ、

増える(元通りになる)ことはないでしょう。

 

地元・フィリピンの人達には、

「来るべきものが来た」と思わせたであろう

このABS-CBNの報道ですが、

あまり海外には広まっていません。

 

それはやはり、

「具体的な(日程を伴う)引退宣言ではなかったこと」と、

 

「レイズの発言部分がタガログ語のため、

上手く訳せず、真意が計りかねるから」

ではないでしょうか。

 

少なくともBDはそうでした。

 

個人的には、本当に引退するのであれば、

この先「より正式な」引退宣言が

あるのではないかと想像しています。

 

それはそれとして、

 

このABS-CBN記事のタガログ語の部分も強引に訳し、

なんとか読みこなしてみましたので、

以下でシェアしたいと思います。

 

(※特にタガログ語部分は想像たっぷりの

「超訳」ですので、鵜呑みにしないようご注意を)

 

「ジャンプキュー」のことは、

BDが以前何度か直接取材をさせてもらった時に、

毎回出てきたトピックです。

本当にイヤなんですね……(スト様も同じ)。

 

…………

 

 

7/13 ABS-CBN

『さよならマジシャン? レイズは引退を視野に入れた』

 

写真キャプション

「62歳の”バータ”(子供)も寄る年波には勝てず」

 

■マニラより――

 トーナメント遠征コストの上昇や、競技ビリヤードのスタイルの変化、そして彼自身の年齢……エフレン・「バタ」・レイズがいつ引退してもおかしくない状況ができてきている。

 

 先日レイズは予定を早めてアメリカから帰国した。8月までいくつかのトーナメントを転戦するつもりだったが、休みを取りたいということで早めに切り上げた。

 

「(タガログ語で)私は引退を考えている」(レイズ)

 

 レイズは、フィリピンのビリヤード競技を統括するBSCP(Billiards and Snookers Congress of the Philippines)のオフィスでイングリッシュビリヤードを数ラックプレーしてから、ABS-CBNの取材に応じた。

 

「(タガログ語で)今も私は負けることはないだろう。でも、トーナメントで他人を打ち負かすつもりもない」(レイズ)

 

 レイズ曰く、かつてアメリカのトーナメントはエントリーフィーを取ることがなかった。しかし今は、選手に出場費として2千ドル払わせるような試合もある。飛行機と宿などの諸経費が3千ドルほどかかるとすると、すぐに5千ドルコースだ。

 

「(タガログ語で)3位の賞金が5千ドルぐらい。では、もし3位以上になれなかったら? それは負けを意味する」(レイズ)

 

 付け加えると、以前は優勝者に10万ドル払うような「稼げる試合」もあった。しかし、今や優勝賞金は大イベントでも3万ドル前後だ。

 

 もしトーナメント主催者が、招待という形で諸経費を全部持ってくれるというなら今もレイズは喜んで出掛けるだろう。そうではない状況の今、レイズと彼の長年のスポンサーであるプヤットスポーツはどの試合に出るべきかを検討しなければならない。

 

 62歳のレイズにとって、そういったスケジュールの合理化こそが大事な戦略となる。50代の半ばまで、トーナメントでの彼は明らかに無視できない存在だった。2009年(54歳)、彼はF・ブスタマンテと組んで『ワールドカップオブプール』で優勝した。その翌年(55歳)、『AZビリヤード』によると彼の年間獲得賞金額は9万3千ドルで、それはこの10年では最高額となっている。

 

 しかし、2005年に目の手術をした時に、彼は時の流れには抗えないことを悟った。彼の視力はもはや頼りにならず、特に遠い的球が難しくなってしまった。そして、手首も以前のようにしっかりしてはいない。

 

「疲労困憊なんだ」とレイズは言う。それこそが今回アメリカから急に帰国した理由だ。

 

「(タガログ語で)5月16日に旅立って、でも、すぐに疲労感を覚えて帰ってきた。徒労だったね」(レイズ)

 

 好んで撞くゲームも変わってしまったと語る。最近彼はワンポケットをよくプレーしている。以前は9ボールのイベントばかりだったが、今はワンポケットの方が稼げるのだと言う。

 

 彼曰く、競技ビリヤードの光景も様変わりした。「ジャンプキューが変えてしまった」とレイズ。ジャンプキューの普及は、セーフティや守備的技術の軽視に繋がり、競技ビリヤードから頭脳戦を取り払ってしまった。

 

「(タガログ語で)良いブレイクとジャンプがあれば、10ボールではすぐに成績が出るだろう」(レイズ)

 

 考えもしないようなクッション技術で、時にボールを隠し、時に相手のディフェンスを崩す。その卓越した技術で名声を勝ち得たのがレイズその人である。

 

「今は優れたシューターが増えた。彼らは良いブレイクも持っているので、考える必要がなくなっている」(レイズ)

 

 アメリカから戻ったレイズは、マニラでいくつかの小さなトーナメントに招待され、参戦した。「今も毎日が戦いだよ」。かつて彼はそういった試合では他を圧倒していたものだが、もはやそうではない。

 

「(タガログ語で)参加選手達はまだ少し私を恐れている。レイズはもっと出来るから、と。たしかにまだそれだけの力は私にある。今は一時より良い状態だよ。相手の存在が今も私を動かしている」(レイズ)

 

(了)

 

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