先週末の『東海グランプリ』で優勝した
栗林達プロの談話をお届けします。
栗林プロは、
今週末の『GPE-6』(東京・ロサ)に出た後は、
10月の『北陸オープン』(石川)、
そして、『韓国グリ9ボール選手権』に参戦予定です。
東海レディースグランプリで優勝した
元廣麗子プロの談話も近日お届けします。
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Toru Kuribayashi
JPBA39期生
1982年6月26日生
福井県出身・東京都在住
2004年アマ『球聖』『名人』
2010年『ワールドプールマスターズ』準優勝
2011年『関西オープン』優勝
2011年『関東オープン』優勝
2014年『兵庫オープン』優勝
2015年『ワールドカップオブプール』3位
2016年『ジャパンオープン』準優勝
2017年『東海グランプリ』優勝
他、優勝・上位入賞多数
GPWでは通算4勝
GPEでは通算12勝
所属・スポンサー:(株)TMY、(株)東和サプライ、(株)JUSTDOIT、VOGUE、be lucky SHOTAID、TIGER
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――率直な感想からお願いします。
「嬉しいですね。
7月から環境が変わり、撞く時間が増え、
より意識も高くなってきた矢先に優勝できました。
自分はなんて運勢のいい人間なんだと(笑)」
――ちゃんと撞きこんでいて、自信を持って臨めた?
「自信はあまり変わってないですけど、
精神的な落ち着きは今まで以上にあったと思います。
どんな状況でも乱れることがほとんどなかった。
それはビリヤードに没頭できていたという
ことじゃないかと思っています」
――球の内容面はどうでしょうか?
「バチバチとは言えないけれど、
まあまあ普段通りは撞けたかな。
70~80%ぐらいの感覚です」
――ファイナル(vs R・ガレゴ)の
ラストラック(7-5で迎えた第13ラック)は、
難しい配置を取り切っていましたが、
あの時、プレッシャーは?
「ほとんどなかったです。
球のことだけに集中できてました。
ただ、最後の9番は結果的に入ってくれましたけど、
完全に身体が動いてしまった。
あれはダメです(苦笑)。
あれだけは絶対やっちゃいけないと思って
課題の一つにしてたんですけど、
最後の最後に出てしまった。反省ですね。
球が外れることは当たり前にあるし、
基本、球は外れるもんだと思ってるんで、
その結果どうこうということではなく。
自分が決めた課題を貫けなかったことが
マイナス20点です」
――今年3月の『GPE-1』以来の優勝。
オープン戦では2014年の『兵庫オープン』以来です。
「ホント、オープン戦のファイナルは
強い人達と当たってきましたよね。
柯乗逸、呉珈慶、C・ビアド、大井(直幸)、
(土方)隼斗、羅(立文)とか……。
で、今回はガレゴ。
大きな大会の優勝のかかった最後の試合で
自分より実績のある人と当たる。
僕はそういうことが多くて、
嫌だなぁと思ったこともないではないですけど、
自分の性格的に、
より自分が成長できそうな相手や環境を
求めてしまうところもあります。
でも、今回はそれもあまり意識してなくて、
仮にガレゴに負けたとしても、
現時点での自分のレベルが
明確になるだけのことだと思っていたので、
対戦相手は特に気にしてなかったです」
――決勝戦に限らず、2日間、
誰と当たっても良いという考えでしたか?
「そうですね。
皆、必ず自分よりも長けている部分を持っています。
それはアマチュア選手含めて。
『自分はこういうところが弱いけど、
この人は上手くやるな』とか。
そういうのを見て感じる2日間でした。
だからやっぱり、
球撞きに没頭できていたんだと思います」
――その「没頭」を別の言葉で言うと
どんな状態なんでしょうか?
「自分自身を見つめながら撞いてる感じですね。
人と対戦してるんですけど、
人のプレーに左右されることなく、
自分の状態や、自分がやれることを
しっかり考えて実行に移していく。
『戦う』とか『試合』という表現は、
相手の存在抜きには考えられないものですけど、
いい意味で自分のことばかり考えてる状態です。
もっと成長していくために、
日頃から客観的に自分を見て、
改善しなきゃいけない部分を課題化して……
ということを一つ一つやっています。
そうすることで……なんて言うんですかね、
これまでだったら『イヤだなぁ』と思って撞く球とか、
プレッシャーが強くなりがちな場面とかでも、
メンタルの揺れが少ない状態を
維持できているのかなと思います」
――その状態・その考えのまま、
今後も戦っていきたいと?
「そうですね。
勝ち・負けについて言えば、
それはもちろん勝ちたいですけど、
相手が良いプレーをすれば負けますから。
だから、自分の実力が上がるような試合や
自分の成長が感じられるような試合をしたいです。
『いい勝ち方』をしたいし、
『いい負け方』をしたい。
そこは自分本位で考えて、
一試合一試合取り組んでいきたいですね」
――環境の変化にともない、
ビリヤードへの向き合い方も少し変わったようですね。
「もともと自分は、
まんべんなく色んなことをやろうとしたり、
バランスを取って上手くやろうとする人間でした。
そのやり方でそれなりに形にはできたかもしれないけど、
一流にはなれていない。
プレイヤーとして活躍したいという思いは、
もちろん以前から持ち続けていて、
いつでもそれは第一希望なんですけど、
それを強く前面には打ち出せてはいない時がありました。
でも、今回の環境の変化に際して、
自分が最もやりたいことというのは、
いちプレイヤーとしてがむしゃらに競技に
没頭していくことだなと、
根本に立ち返ることができたというか。
そうすると目の届かない分野も出て来る訳ですけど、
そこは周囲の人達を頼り、支えてもらいながら、
自分はより一層競技活動に没頭していこうと。
ビリヤード業界に携わって生きて行く方法は
いくつかあると思いますけど、
この先は僕が最も特化している部分で
やっていきたいと強く思っていますし、
サポートしてくださっている方や
ファンの方々にも
プレイヤーとしての僕の姿を
もっと見ていただきたいと思いました」
――ここから再出発ですね。
「はい。
いつでも僕は『挑戦』というキーワードで、
ビリヤードをやっている感覚がありますが、
今のうちにさらに実力を上げることができれば、
もう少し勝てるようになるかもしれないし、
それでも周りの成長に追い付けないかもしれない。
そこはやってみないとわかりませんが、
プレイヤーとして悔いは残したくはないと
思っていますので、
今できることをしっかりやっていきたいと思います」
(了)