8月末に台湾の台北で行われた、
“学生のためのオリンピック”、
今年、デモンストレーション競技として
初めてビリヤードが採用。
男女合わせて4種目で、開催国・台湾が
金メダルを独占したことは既報の通りですが、
9ボール男子ダブルスで、
鈴木謙吾選手(慶應義塾大学。トップ画像右)と
宍戸隆之選手(山形大学。画像左)の
日本ペアが銀メダルを獲得しています。
また、鈴木選手は、
9ボールシングルでも4位と、
健闘を見せていました。
その鈴木選手から遠征記を寄稿いただきましたので、
以下でお届けします。
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鈴木謙吾(Kengo Suzuki)
1993年1月6日生まれ
東京都出身・在住
慶應義塾大学商学部3年
ビリヤード歴7年
プレーキューはSamsara
(314-2 Fatシャフト)。
スミヨシ(神奈川県)所属
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以下全て、鈴木謙吾・記:
■出発編
大会前々日(8/23)の夜、品川のホテルに1泊し、
翌朝羽田空港から松山空港(台北)へ。
行きはオープンウォーター(水泳)のチームと
同じ便だったので写真を撮っていただきました。
左:宍戸隆之選手
中央:前田義孝監督
右:鈴木
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台湾到着後、林口にある選手村へバスで移動。
選手村や会場への入り口には
全てID認証と荷物検査があり、
セキュリティレベルがなかなか高かったです。
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選手村は敷地面積9.9ヘクタール!
東京ドームの2倍以上の広さです。
大会期間中に1万2000人が宿泊したそうで、
村というか街でした(笑)。
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ベランダからの写真。
部屋は4LDKでベッドが7つあり、広くて清潔でした。
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選手村には食堂があり、毎日20時間食べ放題!!
とても広く清潔で、なかなか美味しかったです。
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食堂内にいた「ビリヤード熊」。
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ユニフォームに着替えて早速練習へ。
外出する時は必ずユニフォームを
着なくてはいけない決まりだったので、
どこに行っても目立って大変でした。
写真は、大会期間中にお世話になった
『統師撞球倶楽部』。
以前、個人旅行の時にも
利用させていただいたお店です。
日本のビリヤードプレイヤーにも
知られているお店なのではないでしょうか。
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練習に付き合ってくれた台湾人の友達、
汪君(左2)含め記念撮影。
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【試合前日。会場入り】
会場は選手村からバスで30分ほどの場所にあり、
ビリヤードの試合だけでなく、
屋台や音楽イベントも行われていてびっくりしました。
会場裏のイベントステージ。
毎日歌や踊りのパフォーマンスをしていて
とても盛り上がってました。
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試合会場内の練習テーブル。
国ごとに練習時間が決められていて、
この日は台湾と同じ時間帯。
隣のテーブルで柯乗逸が練習していて
めっちゃテンション上がりました。
どのチームも
ブレイクの練習をたくさんしていました。
僕は世界一ブレイクが下手でした(笑)。
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【シングル】
試合会場はひろーい体育館の様なところ。
テーブルは手前に5台と奥にTVテーブルが1台、
合計6台ありました。
観客席も広く、残念ながら
満席になることはありませんでしたが、
連日とても多くの観客で賑わってました。
まず、25日11時に私がシンガポールの
B・ホワン選手と試合し、勝利。
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次に13時30分から宍戸選手が
ノルウェーのE・リスネス選手と試合。
残念ながら負けてしまいました。
この画像は、宍戸vsリスネス戦のバンキング。
私は今回が初めてのポケットの国際試合でしたが、
一番驚いたのはバンキングでした。
バンキング開始の合図が独特で、
レフェリーがテーブル上に腕をかざして、
徒競走の『位置について、ヨーイ、ドン!!』の
ようなテンポで振るんです!
(僕が知らなかっただけでしょうか……(笑))
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翌日(8/26)、
私は2回戦(vs B・オドスレン〈モンゴル〉)と、
準決勝(vs 劉政杰〈台湾〉)がありました。
準決勝は初めてのTVテーブルでの試合となり、
ものすごく興奮しました!!
この画像でもわかると思いますが、
TVテーブルのスペースはとにかく広い!!
カメラが台周りに4台と上から2台の
計6台あるため、テーブルから椅子までが遠く、
45秒のショットクロックが短く感じてしまいました。
この試合は台湾全域に生中継されていた様で、
試合後に統師撞球倶楽部へ行くと、
現地の知り合いにミスショットをいじられたり(笑)、
良い球を褒めてもらえたりで楽しかったです。
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27日には3位決定戦がありました。
相手は初日に宍戸選手を破ったリスネス選手。
敵討ちだ! と気合十分で挑んだのですが
私も負けてしまいました……。
ノルウェーはここ数年で
ポケットビリヤードが始まったらしく、
コンピューターグラフィックスを用いた
トレーニング(テーブルに配置を投影するなど)
をしているそうです。
ノルウェーの監督は、
その機器のディーラーさんの様で、
『日本にも導入いかがでしょう』と、
前田監督に営業をしていました(笑)。
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【ダブルス】
28日からダブルスが始まりました。
初戦はフィリピンと。
初戦スタンバイ中の光景。
左から、シンガポールペア、フィリピンペア、日本ペア。
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初戦に勝利し、29日11時から
シンガポールと準決勝でした。
勝てばメダル確定。
負けるとノルウェーと3位決定戦というところ、
なんとか勝ててホッとしました。
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そして決勝は、
柯乗逸&柯乗中兄弟ペアの台湾チームと!!
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バンキングをする柯乗逸と宍戸選手。
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結果は、4-11で敗戦。
実力及ばず、ボコボコにされました。
練習を見ても試合を見ても、
4人の台湾男子選手(全員プロとのことです)が、
皆同じ様な撞き方をしていてびっくりしました。
きっと凄いコーチがいるんだろうなー。
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試合後には記者会見が開かれました。
カメラの前で話すなんて初めてだったので
試合より緊張したかもしれません(笑)。
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その後、表彰式がありました。
男子シングルは、
台湾が金と銀。ノルウェーが銅。
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女子シングルは、
台湾が金と銅、モンゴルが銀。
モンゴルのN・バヤルサイカン選手(左)は、
準決勝で日本でもお馴染みの呉芷婷(右)を
破っており、ものすごく上手かったです。
プロの方なのでしょうか……。
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男子ダブルスは、
台湾が金、日本が銀、ノルウェーが銅。
メダルと大会公式マスコット「熊讚Bravo」の
ぬいぐるみが授与されました。
写真がありませんが、
女子9ボールダブルスは、
台湾が金、韓国が銀、モンゴルが銅。
終わってみれば、
4種目全てで台湾が金メダル独占と、
台湾旋風が吹き荒れた大会でした。
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【閉会式】
8月30日、
ユニバーシアードの閉会式に出席しました。
台北ドーム入場の瞬間。
選手全員で帽子を振りながら行進しました。
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中央フィールドでの一枚。
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会場ではライブ演奏やパレード、ダンスなど
色々な催しが2時間以上続きました。
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たまたま出会ったシンガポールの監督と記念撮影。
この他にも各国の選手と話したり記念撮影をしたり、
とても楽しかったです。
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【最後に】
今回のユニバーシアードでは、
ビリヤードはデモンストレーション競技としての
採用に留まりました。
次は2019年にイタリアのナポリで
行われるそうですが、
うまく引き継がれるのでしょうか……。
選手村宿舎の1階の掲示板。
日本を代表するアスリート達と
メダリストとして並べたことが誇らしく、
また、ビリヤードは日本がメダルを獲れる
スポーツの一つなのだと国内外に
アピール出来たことを嬉しく思います。
ユニバーシアードの現地スタッフさんは
学生が多く、仲良くなってLINEやfacebookで
繋がったり写真を撮りあったりと、
大会期間中とても楽しく過ごせました。
選手同士もそうで、今後に繋がる
とても刺激的で濃密な経験が出来ました。
最後になりますが、
ユニバーシアードのスタッフさん、
前田監督、隆之、
現地でサポートしてくれた
高本(サークルの後輩。MECCA横浜スタッフ)
と汪君、
そして、応援して下さった皆様に感謝しています。
特に高本は語学面でのサポートだけでなく、
毎試合応援に駆けつけてくれ、
試合の写真なども提供してくれました。
本当にありがとう。
(了)
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鈴木選手、臨場感あふれるレポート、
ありがとうございました。
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