先週末の
『東海レディースグランプリ』で優勝した
元廣麗子(もとひろれいこ)プロの
談話をお届けします。
取材は大会2日後に行いました。
現在プロ(JPBA)8年目の元廣プロ。
「初の東海レディース決勝日(ベスト8)進出」で、
「プロ入り初ファイナル」に到達し、
「プロ入り初優勝」を飾るという
初尽くしの一日となりました。
…………
Reiko Motohiro
1979年2月18日
JPBA44期生(2010年プロ入り)
在住:大阪府在住
2016年『全日本女子プロツアー第2戦』3位
2017年『東海レディース』優勝
所属ビリヤード場:ウィリー(大阪)
…………
――初優勝から2日経ちました。
「当日は優勝の実感がなかったですけど、
今はメールとかが届く度に実感しています。
年を取って涙腺が弱くなっているのでしょうか、
周囲の人達が喜んでくれているのが嬉しくて、
メッセージを読むたびに
うるうるしちゃってます(笑)」
――決勝の最後はマスワリで上がりました。
「ブレイクで4個インしたのかな。
取り出しの3番を攻めるか守るかで迷って、
結構考えていた記憶はあります。
攻める場合、手球を5番に当てて出すのと
当てずに出すのと2パターンあって、
当てて出すことに決めました。
あれがあの日一番覚悟をして撞いた球です。
『変な配置になっても仕方ない』と。
結果として上手く当たって出てくれて良かったです。
最後の3球(6、8、9番)はだいぶ来てました」
――それはプレッシャーではなく、涙腺が?
「はい。こみ上げて来そうになってて、
『ヤバイヤバイ……』って(笑)。
6番から8番に出た時に『もう大丈夫かな』と。
8番から9番は逆押しでも良いんでしょうけど、
私は逆ヒネリが好きじゃないし、
スパッと撞ける方が良いから順下2クッション。
9番は長クッション側から撞きましたが、
私は背がちっちゃいので、
『上』側(テーブルセンター方向)から
体を伸ばして撞くより、
こっちからの方が良いです。
あのラックは最後まで
自分の思ったように撞けていたので、
ゲームボールを撞く時もプルプルすることなく、
『ああ、入ったー』と」
――笑顔満開。からの嬉し泣き。
「瞬間的に嬉しさが湧いてきた時に、
ともちゃん(相手の久保田知子プロ)に
『おめでとう』と言われて
一気に胸がいっぱいになってしまいました」
――久保田プロとは同じ大阪で、
以前から親交がありますね。
試合はやりづらくなかったですか?
「所属店が同じ(大阪『ウィリー』)で、
スクールもやってるし、
話す機会も練習する機会もあります。
切磋琢磨してきている間柄なので、
2人で決勝戦を撞けて嬉しかったです。
2日目(ベスト8)が始まる時に、
『決勝で当たろうね』なんて話してました。
でも、普段は普段で、試合は試合。
別のものだと思っているので、
やりづらさは全くなかったです。
どちらかと言えばやりやすかったし、
なにより楽しかったです。
ただ、試合中は私も余裕はなかったので、
顔は見ないで撞いてました」
――2日間、自分の球撞きの状態は?
「それがですね~、
もう予選1試合目がボロボロで(苦笑)。
緊張プラス頭真っ白で
何をやってるかわからない状態。
全く取り切れずに負けました。
2試合目も立ち直れてなかったけど、
ラッキーな形で点が取れて勝てて。
3~4試合目からは、なんでかわからないけど
普通に戻って来られました」
――初日の最後、ベスト16(vs 藤井寛美)は?
「その頃には
自分の状態をよく把握出来ていたので、
無理をせず、自分に出来ることを
確認しながら撞くようにしてました。
そうしたら東海で初めて2日目(ベスト8)に
残れたので、自分でもちょっと驚きつつ、
『やっと残れた』とホッとしました」
――2日目は?
「1試合目(ベスト8。vs 栗林美幸)は
ちょっとふわふわしてたんですけど、
それ以外は良い緊張状態が続いてました。
ベスト8の内容はあまり覚えてなくて、
いくつか相手の失敗から取ったことと、
最後はマスワリだったな……ぐらいです。
準決勝(vs 曽根恭子)は、
テーブルが自分に合っていた印象で、
ミスはありましたけど、変に緊張することもなく、
いつも通りの自分で撞けてたと思います。
USTREAM(生中継)テーブルだったけど
気負うこともなく、むしろ
良いところも悪いところも皆さんに
見てもらえるというのは楽しかったです。
最後は、4番を入れたら
ダブルインで9番も入ってしまうという
ラッキーな終わり方でしたけど(笑)。
決勝戦は、さっきも言ったように
とても楽しくプレーできました。
展開的には、私が良かったというよりは
ともちゃんが細かった(運がなかった)
のかなとは思います」
――優勝できた要因はなんだったと思いますか?
「まず、運が大きかったと思います。
マスワリもそんなにしてないし……
覚えてるのはベスト8の最後と、
決勝戦の最後ぐらい。
あとは……した? っていう(笑)。
少ないマスワリが、
上がり際で出たのもラッキーでした。
あと、我慢のプレーは出来てたかな。
私は攻めも守りも両方ある配置だと、
昔からつい攻めちゃう方で、
周りから『我慢せ~よ』と
よく怒られてました(笑)。
でも、今回はもともとの状態が良くなかった
こともあり、取り切りにはこだわらず、
セーフティを挟んで確実に点を取りに行った。
それで勝負所を取れたのが大きかったと思います。
そうやっていくうちに集中力も出てきたし、
自分との会話も出来ていた。
あんな状態でも、こういう風にやれば
勝てることがあるんだなと、
自分でも発見したような感じです」
――プロ8年目での初優勝です。
「やっと……やっとです(笑)。
1年目はまだトーナメント活動に
集中出来る状態ではなく、
“負け-負け”も4回ありました。
2年目はベスト16に少し残れて、
『あ、この感じで良いのかな』。
でも、3、4、5年目で、
『やっぱりこれじゃダメだ』。
その頃、『アムウェイカップ』(台湾)に
3年連続で勉強しに行きました。
海外の人達の取り方とかルーティンとかを
見たりして。
6、7年目はまた成績が上がってきて、
初めて準決勝も撞けた。
でも、プロ活動が長くなってくると
なあなあになってる部分もあるだろうし、
練習量でカバーできないものもあるので、
よそのお店の試合とか緊張する場に
出向くようにはしてました。
そして今年(8年目)。
今年は良くなかったんですけど、
それでも、たくさん失敗してきたからこそ、
冷静に『これしたらあかん』って
思えるようになれてきてたかな。
振り返ると、
ビリヤードで自分磨きをしていたような
8年だったのかなと思いますし、
その途中で『急に優勝しちゃった』
みたいな感覚もあります」
――近年、初優勝を飾るプロが数多く
誕生していました。焦りはなかったですか?
「特になかったです。
『私もいつかできる』
というふうに考えてました。
『後輩が頑張ってるなら
私も頑張らないとなぁ』とか(笑)。
恐らく全体的なレベルも
上がって来ているのでしょうし、
誰にでもチャンスがあるんだなということは
すごく感じてました」
――ここからの目標は?
「何にしようかなぁ?(笑)
プロになってからは『優勝』が目標でした。
それが叶ったので
また新しく立てようと思います。
それが何なのかは、
ずっと秘密にしておくかもしれませんし、
叶った時に言うかもしれないです。
いちプロとしては、
優勝したからといって有頂天になることなく、
もっともっと頑張りたいですし、
カッコイイプロでありたいですね」
――最後に応援してくれた人達にメッセージを。
「いつもサポートしてくださっている
スポンサーの皆様
(MEZZ / EXCEED、Navigator、ゼロイズム)には
本当に感謝しています。
それと、ずっと応援してきてくれた人達には……、
『応援は力になる』ということを
今回の優勝で再認識しました。
いつもありがとう、これからも応援してね。
まだ私のことをよく知らない人には、
この優勝を機に覚えてもらえたら嬉しいですね。
私、元廣麗子(もとひろれいこ)って言うんです。
ぜひ覚えてくださいね!」
(了)