9/24(日)に行われた
名人・小川徳郎選手に果敢に挑み、
そして敗れた林武志選手。
史上最年少(16歳)の挑戦者が初めて立った
決定戦の舞台とはどのようなものだったのか。
試合翌日の談話をお届けします。
最終第7セットの試合動画 ↓ 撮影:JAPA
――激闘から丸1日経ちました。
「悔しい気持ちがすごくあるんですけど、
非常に良い経験になりましたし、
これからのビリヤード人生に
活かしていける部分がいくつもあったので、
必ずまた名人戦に挑戦して、
次は名人になりたいと思います」
――最年少挑戦者として注目され、
プレッシャーもあったと思いますが、
しっかり最後まで戦い抜いていましたね。
「はい、そこはなんとか。
仮にもしぶっ壊れて、
どんなに球が入らなくなったとしても、
絶対に最後まで逃げないで
真っ向からぶち当たっていこう
ということは意識していました。
それは自分でも達成できたかなと思っています」
――内容的にはどうでしょうか?
自分の球は撞けましたか?
「僕自身の感覚では、
自分らしい球が撞けたというのは、
最後の第7セットかなと思っています。
周りの人からもそう言われました。
でも、あれだけ僕にチャンスがあったのに
あのセットをものに出来なかったというのは、
技術とメンタルが足りてないということだと思います。
そしてやっぱり、初めての舞台で、
ああいう雰囲気で撞くというのは……
頭が真っ白になってしまいました(苦笑)」
――落ち着いているように見えましたが、
やはりいつもとは違っていたんですね。
「僕は『本当に緊張してる?』って
聞かれることが割とある方なんですけど、
今回は相当緊張してました。
『正常な判断ができなくなりそうだな』
って思いながらやっていたし、
実際出来てなかったところがあったと思います。
そうならないように気を付けようと思っていても、
やっぱり真っ白になってしまう時があった。
これが名人位決定戦なんですよね。
経験の差だと言われたらそれまでですけど、
やっぱりもっと技術もメンタルも向上していかないと
ああいう場では思うようには撞けないと思います」
――自分なりによく撞けたと思う場面とは?
「鮮明に覚えてるのは、
第7セットの2ラック目。9番を入れて、
10番に対して狭い所に出せた場面です。
そこはよく覚えていて、
しっかり撞けたなという実感があります。
反対にやらかしたなという球は、
今思えばいっぱいありました。
取れたはずのところを落としちゃったなと。
でも、その時々の自分を振り返ると、
あれがあの時の精一杯だったなと思います」
――名人位決定戦は、他の大会とは
全く違うものでしたか?
「はい、上手く言えないんですけど、
他の大会とは全然違う、別格の雰囲気でした。
それでもあの舞台を一度経験したことによって、
今後に活かせるものや、
自信が付いた部分もありました。
そこは自分でも褒めたいところですし、
またさらに頑張っていきたいという
気持ちになりましたね」
――大舞台で対戦した先輩、小川徳郎選手は
林選手の目にはどう写りましたか?
「僕が見ても、特に序盤は
いつもとは違っていたかなと思います。
それでもやっぱり強かったですし、上手かった。
徳郎さんに比べると足りない部分が
山ほどあるなって改めて実感しました。
最後の第7セットはそれがはっきり
出ていたんじゃないでしょうか。
僕がだいぶリードしてたんですけど、
ああいうプレーで追い上げて来た。
さすがだなと思いましたし、
すごく感銘を受けました」
――わかりました。
この先は大学進学のために、
受験勉強に集中するようですね。
「はい。勉強中も気晴らし程度かも
しれないですけど、ビリヤードはやります。
今の段階では、来年も名人戦には
チャレンジするつもりで考えています。
それ以外は競技活動を一旦お休する予定です」
――応援してくれた人達にメッセージがあれば
お願いします。
「たくさんの人に応援していただいて
この舞台まで来られて、
最後まで戦うことができました。
日頃からいろいろな人に支えられて、
ビリヤードのこともビリヤード以外のことも、
たくさん学ばせていただいています。
本当にありがたく思っています。
ここからまた頑張って行きたいという気持ちが
強くなってきましたので、
周囲の方への感謝の気持ちを忘れず、
精一杯やっていきたいと思っています。
これからも応援していただければと思います」
(了)
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Takeshi Hayashi
生年月日:2000年11月4日(16歳・高2)
出身・在住:岐阜県出身・神奈川県在住
所属:KPBA、インフィニティ
主な戦績:2015年『全関東学生ナインボール』優勝
2015年『世界ジュニア』日本代表
2016年『神奈川県知事杯』優勝
2017年『第57期名人戦』挑戦者
使用キュー:ADAM JAPAN
Supported by NewArt、金沢スポーツ
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