トップ選手ともなれば、
優勝賞金だけで年収数千万円~1億円以上。
ランキングイベントはTVでフルカバー。
イギリスや旧英連邦諸国において人気が高く、
アジアでも中国・タイなどで盛んに行われている。
ご存じの方も多いと思いますが、
スヌーカーは、最もメジャースポーツ化
(≒観るスポーツ化)に
成功しているキュースポーツです。
そんなスヌーカー人気の一翼を担ってきたのが、
時代時代を彩るスター選手達の存在。
近年最も人気のある選手といえば、
やはりロニー・オサリバン(41歳)でしょう。
そのオサリバンは今も上位進出を続けていますが、
メジャーイベントの優勝争いの中心は
5歳~15歳下の世代に移ってきています。
ということで、
本場イギリスのスヌーカー事情に明るい、
ブログ「The First Break」さんにお願いして、
オサリバンの下の世代の「今見るべき選手」を
10名ピックアップしていただきました。
スーパーショット集や
クリアランス(取り切り)動画とともに
紹介していただきます。
今回はまず、10位から7位の4名を。
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The First Break記:
はじめまして! スヌーカーブログ「The First Break」です。
BDにトッププレイヤーを10名紹介してほしいと依頼され、この場に参上しました。頼まれた時はふたつ返事で了承したもの、これは大変な仕事だ! と構想の段階になって気が付きました。スヌーカーは約100年も続いているスポーツです。なので、膨大な数のプレイヤーが存在しています。そこで今回の記事では条件を明確にして10名に絞ります。
●1 近代スヌーカー「第4世代」と「第5世代」のプレイヤー
いきなり造語で申し訳ないのですが、僕の中では近代スヌーカー「第1世代」はスティーブ・デイビスが活躍した1980年代、「第2世代」はスティーブン・ヘンドリーが席巻した1990年代、「第3世代」はロニー・オサリバンなどの2000年代と考えています。もちろんオサリバンや、ジョン・ヒギンズのように世代をまたいで現在も活躍しているプレイヤーもいますが、今回はその後の「第4~5世代」のプレイヤー(現在25歳から35歳まで)に絞りました。日本ではスヌーカーの知名度はほとんど無いため、これからメインツアーの試合をライブで観ようという方を意識しています。
●2 2020年までに世界チャンピオンになりそうな選手
「第4~5世代」プレイヤーも山ほどいますが、今回は3年後(2020年)までに『世界選手権』を制覇しそうな、“強い”プレイヤーをノミネートしてみました。ということで、いずれ世界を獲るだろうと有望視されている、より若い20歳前後のプレイヤーは除外しています。
選出基準はこの2点だけです。それではThe First Breakが推薦する現役プレイヤーランキングを、動画付きでどうぞ。
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■第10位 “チャイニーズ・ファイヤー・クラッカー ” リャン・ウェンボ(梁文博)
ランキング・イベント初勝利――『2016イングリッシュ・オープン』より ↓
リャン・ウェンボは、現在最もスヌーカーが盛んな国の一つ、中国のNo.2プレイヤーです。3年前までは大きな大会ではほとんど上位進出が出来ませんでしたが、2015年の『UKチャンピオンシップ』(2番目に大きいランキング・イベント)で決勝戦進出を果たしました。そこでは絶好調のニール・ロバートソンの前に敗れましたが、勝利の感情を爆発的に表現する事から「チャイニーズ・ファイヤー・クラッカー」(中国産爆竹)の名前が定着。その翌年、『第1回イングリッシュ・オープン』でジャッド・トランプを破り、ついにランキング・イベント初勝利を収めました(2本目の動画)。
現在はロニー・オサリバンと一緒に行動することが多く、ロニーを師と仰いでいるようです。その甲斐あってか現在のワールド・ランキングは13位と、エリートランカーとして定着しつつあります。『世界選手権』での上位進出はまだ難しいかもしれませんが、今後、ロニーのさらなる指導の下で、ひょっとしたら大化けするかもしれません。
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■第9位 次世代スコットランドの星、アンソニー・マクギル
前年のファイナリスト、マーフィを撃破――『2016世界選手権』ラウンド1より ↓
現在26歳のアンソニー・マクギルは、2014年『UKチャンピオンシップ』のLast16で大先輩のジョン・ヒギンズを撃破。準々決勝ではこの年の優勝者となるロニー・オサリバンをあと一歩まで追い詰めましたが、惜敗してしまいました。しかし、この大会でのマクギルのパフォーマンスは、スヌーカー界へその名を浸透させるには充分なものでした。
マクギルはその後も、『世界選手権』でショーン・マーフィ、スティーブン・マグワイアやマーク・セルビーを倒す大金星を上げ続けます。2016年には『インディアン・オープン』で優勝し、エリートランカー入りも果たしました。普段はヒギンズと一緒に練習しているそうで、その卓越したスキルを日夜吸収し、今後もランキング・イベントで勝利を積み上げていくことは間違いないでしょう。
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■第8位 ウェールズ生まれの天才児、マイケル・ホワイト
劇的な逆転勝利――『シュート・アウト2015』ファイナル(10分1本勝負)より ↓
今回紹介する選手達の中でこのマイケル・ホワイトの経歴ほど素晴らしいものはありません。現在25歳のホワイトは数々の記録を持っています。まず、彼がセンチュリー・ブレイク105を記録したのは9歳の時でした。これは現在も史上最年少センチュリーとしてギネスブックに載っています。次に14歳の時、『IBSF世界選手権』(一般の部)で優勝。これも史上最年少記録で、現在も破られていません。
プロとしての初タイトルは『シュート・アウト2015』(当時は非ランキング・イベント)でした。この試合の決勝戦で劇的な逆転勝利(2本目の動画)を手にしたホワイトは、翌週の『インディアン・オープン』でランキング・イベント初勝利を果たしたのでした。翌2016年は影を潜めていましたが、『ポール・ハンター・クラシック2017』ではショーン・マーフィを破り、2度目のランキング・タイトルを獲得。幼少の頃から周囲の期待をプレッシャーに感じ、力が充分に出せない時期もありましたが、この優勝を皮切りにトップの舞台に躍進して欲しい選手です。
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■第7位 スヌーカー界一の問題児? “ザ・ピストル” マーク・アレン
気合いたっぷりのクリアランス――『北アイルランド・オープン2016』より ↓
独特の柔らかいグリップから放たれる鋭いショットの様相はまさに「ピストル」の形容がふさわしい、現在31歳の北アイルランドNo.1プレイヤー。それがマーク・アレンです。これまでにランキング・イベントでは3勝を挙げ、2009年以降はずっとエリートランカー入りをしている安定した選手です。しかし、試合内容にはムラがあることが多く、信じられないくらい素晴らしい試合をした翌日にまったくダメダメになったりと、同一人物かと疑うようなプレーも見られます。この好不調の大きな波が、実力の割に獲得タイトルが少ない原因でしょう。ただ、ユーモアたっぷりのショットを行うことも多く、憎めない存在であることは間違いありません。
また、アレンほど物議を醸す発言をする選手はいません。過去には人種差別的な発言をしたり、試合フォーマットを変更したバリー・ハーン(ワールド・スヌーカーの会長)を批判し、罰金を科せられたことも。さらには、大会の開催地の環境を批判したり、嫌いな選手のことを名指しで語ったりと、「口は災いの元」を地で行っています。
こんなエピソードがあります。アレンは2011年にスチュアート・ビンガムの消極的なプレーを批判しました。ビンガムがそれに応酬して泥沼のケンカに。その後、2015年の『世界選手権』で、ダークホースと考えられていたビンガムが世界チャンピオンになりました。試合後ビンガムは、「アレンのコメントを受け止め、それをプレーに反映させた結果、今回の優勝に繋がった。あの時批判してくれてありがとう」とコメント。アレンの放言は実は真理を突いていた……のかもしれません。
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Vol.2では、6位~4位をご紹介する予定です!
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