日本ではまだ競技人口が多くないものの、
世界で最もメジャースポーツ化
(≒ 観るスポーツ化)に成功している
キュースポーツと言えば、『スヌーカー』です。
そんなスヌーカーの人気は、
時代時代を彩るスター選手達の存在に
支えられてきたと言っても過言ではありません。
近年最も人気のある選手といえば
ロニー・オサリバン(41歳)ですが、
メジャーイベントの優勝争いの中心は
彼の5歳~15歳下の世代に移ってきています。
……ということで、
本場イギリスのスヌーカー事情に明るい、
ブログ「The First Break」さんにお願いして、
オサリバンの下の世代の
「今見るべき選手」を10名、注目動画とともに
ピックアップしていただきました。
2回目となる今回は、
6位~4位の3名をご紹介します。
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The First Break記:
こんにちは、スヌーカーブログ「The First Break」です。早速、前回に引き続き、6位のプレイヤーから紹介していきます!
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■第6位 スヌーカー界のファッションリーダー、“ザ・マジシャン” ショーン・マーフィ
信じがたい147――『ルール・オープン2014』より↓
スヌーカー選手の中で最も美しいキューアクションを行うのは誰か?――スヌーカー界の御意見番こと世界選手権覇者のスティーブ・デイビスはこう答えています。「今まで見た中で最高のキューアクションはショーン・マーフィのだよ』。たしかにマーフィほど美しいリズムでフェザー(ストローク)を取り、ダイナミックにショットする選手は他にいないでしょう。そのロングポットの正確さは史上最高峰、もはや芸術の域に達しています。
マーフィは2005年に世界チャンピオンになりましたが、この偉大な記録を理解するには説明が必要でしょう。まずマーフィはこの時22歳で、これはスティーブン・ヘンドリーに次ぐ史上2番目の若さです。そして大会前のランキングは48位。という事は本戦シードはなく、予選からのスタートでした。予選から優勝まで到達した選手は、現在もマーフィただ一人です。当時のあるブックメーカー(スポーツ賭け屋)の予想ではマーフィ優勝に150倍もついていたとか。さらに驚くのは、この最高峰のタイトルが彼にとってランキングイベント初勝利だったという事実。マーフィは鋼の心臓を持っているのでしょうか。
その後、2008年には『UKチャンピオンシップ』、2015年には『マスターズ』を制覇し、「ビッグ3」(スヌーカー界最高峰の3大タイトル)をコンプリートしました。世界選手権では2009年、2015年にも決勝戦に進出しましたが、いずれも準優勝でした。特に2015年の対スチュアート・ビンガム戦は歴史に残る激戦として語り継がれています。常にトップ戦線で戦っているマーフィは現在35歳。今シーズンはすでにランキング・イベントで2度準優勝をしており、好調さが窺えます。
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■第5位 イングランド期待の次世代エース、 “ザ・ウォリア-”カイレン・ウィルソン
老練なトータル・クリアランス 143――『世界選手権2016』より↓
現在、イングランドの20代の選手でジャッド・トランプの次に期待されているのは、25歳のカイレン・ウィルソンでしょう。2015年の『上海マスターズ』でディン・ジュンフィ(丁俊暉)を激闘の末に倒し、続くマーク・アレンも退けて、決勝戦に進出しました。この時のウィルソンのランキングは54位。対するは人気、実績共に大きく上を行くトランプ。試合前、誰もがトランプの圧勝だと思っていたにもかかわらず、ディサイディング・フレームを制したのはウィルソンでした。ここからウィルソンは順調にランキングを上げ、現在はエリートランカーの常連として認知されています。
『世界選手権』では2016年~2017年に2年連続で準々決勝に進出し、安定感の高さを示しました。2017年は名誉ある『マスターズ』にも初参戦。しかし、残念ながらディンにフレームカウント3-6で敗れ、ほろ苦いデビュー戦となりました。この敗北を糧に、数年のうちには押しも押されもせぬ名選手としてスヌーカー界を牽引してくれることでしょう。
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ここからは、日本のポケットビリヤードファンの方も、『この選手は見たことがある』『名前は知ってる』という人が多いのではないでしょうか? テッパン選手が続きます。
■第4位 オーストラリア最強プレイヤー 、“ザ・サンダー” ニール・ロバートソン
世界記録。シーズン通算100回目のセンチュリー――『世界選手権2014』より↓
大舞台でのマキシマムブレイク――『UKチャンピオンシップ2015』決勝戦より
オーストラリアのメルボルン出身の35歳、ニール・ロバートソンはイギリス圏以外で最も成功した選手として知られています。14歳の時にスヌーカーを始め、アマチュア時代にオーストラリアのタイトルを総なめにし、『U-21 IBSF世界選手権2003』で優勝してからメインツアープレイヤーとして定着します。2006年に初のランキング・イベントを制覇してからトッププレイヤーの仲間入りをし、着実にランキングは上昇。そして、2010年の『世界選手権』では、近代スヌーカーでは初となるイギリス圏以外の世界チャンピオンとなりました。その後、2013年には『マスターズ』、『UKチャンピオンシップ』(2015年には2度目)のタイトルを手にして「ビッグ3」制覇を達成しています。
ロバートソンの魅力は卓越したブレイク・ビルディングと、異常とも言えるキュー切れ、そしてポッティング(シューティング)の精度です(一番上の動画をぜひご覧ください)。センチュリー・ブレイク通算回数では歴代4位となる500回以上を記録し、2013/2014シーズンには公式戦で前人未踏の103回のセンチュリー・ブレイクを記録。たったの1年で、です。その次の記録はジャッド・トランプの61回ですので、103という数字がどれだけ凄まじいものであるかを感じてもらえるのではないでしょうか。生涯で一度もセンチュリー・ブレイクを出せないアマチュアプレイヤーが数多くいることを考えると、ため息が出るような記録です。
ロバートソン本来の実力から考えると、ここ2年の成績は思わしくなく、かつての勢いが陰りを見せたかのようにビッグイベントで好成績を残せていない時期が続いています。今年の初め、ロバートソンはオンラインゲーム中毒に陥っていることが判明し、現在はリハビリに専念しているようです。それが実を結べば、再び世界チャンピオンに返り咲ける日が来るかもしれません。
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次回は、3位と2位をご紹介する予定です!
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