カスタムキューを多数取り扱っている
その代表、大原秀夫氏が所蔵している
キューを見ていく本企画。
(※過去記事はこちら)。
今回ご紹介するのは
『McWorter Custom Cues』
(マクウォーター)です。
代表はジェリー・マクウォーター。
カリフォルニア州のベンチュラを
製作拠点としています。
…………
今回ご紹介するのは、
彼の人気デザインの一つ、
『The Regal』(リーガル)というモデル。
2ヶ月前にBDでは別の
マクウォーターキューを紹介していますが、
こちらはそれとほぼ製作時期が同じ(2014年)と
思われるものです。
エボニーベースで、
シルバーやココボロを用いて、
巧みにカーブを組み合わせた、
女性的とも言える美しいデザインです。
大原氏・談:
「このキューは『ICCS』
(International Cue Collectors Show)
用に作られた4、5本のうちの1本で、
私の所に状態の良い中古品として入って来ました。
製作は2014年頃でしょう。
そして、私が入手したのは今年。
革巻きは純正ですね。
シャフトはほんのちょっと汚れていたぐらいで、
私がクリーニング済み。
新品にしか見えない状態になっています。
バットにはちょっと打ち傷やかすれがあるけれども、
マクウォーター本人から、
再塗装の方法と材料も公式に教わっているので、
これから同じやり方でリフィニッシュをします。
購入希望の方がいらっしゃれば、
70万円ぐらいで応相談可です。
これと同じデザインで材料違いのキューを
JPBA井上浩平プロが使っているので、
『見たことがある』という方もいるでしょう。
ここまで完成度の高いキューはそうはありません。
卓越したデザイン能力と
製作技術の高さを感じさせるモデルです。
彼が素晴らしいのは、
デビュー時から今に至るまで、
高いクオリティとオリジナリティを
保ち続けているメーカーの一人であるということ。
1994年に私が日本で一番最初に
マクウォーターの公認ディーラーになりました。
ですから、
もう20年以上の付き合いになるんですね。
もともとはJPBA関川賢示プロから、
『マクウォーターを使ってみたいんだけど、
輸入してもらえないですか』
と言われたのがきっかけです。
私にとって、キュービジネスで
一番初めの仕事相手となったメーカーが
マクウォーター。
最初の渡米も彼に招待されてのものでした。
昔の話ですが、マクウォーターは、
私を『Exclusive(独占代理店契約)にしようか』
と言ってきたけど、
私から『それは辞めた方がいい』と言いました。
『あなたならもっと大きな販路が作れるだろうし、
そうするべきだ』と。
そして、彼は実際に
著名メーカーの一人となりました。
そんな形で、
彼と私はビジネスの関係から始まりましたが、
音楽をきっかけに本当の友人になりました。
彼はドラムをやり、私はベースをやる。
彼が来日した時は私がベースを弾きますし、
彼が向こうでライブをやる時に、
私がアメリカに行ったこともあります。
ビジネスは全く関係なく、
本当にただベースを弾きに行っただけ(笑)。
そんな関係なので、もう何年も前から、
会えば『キューの話10分、音楽の話いくらでも』
というのが自然になっています。
彼は、アクティブで社交的で楽しい人。
ですが、ひとたび仕事となると、
ものすごい集中力で
一気にキューを仕上げていきます。
あのエネルギーがある限り、
この先もまだまだたくさん
美しいキューを作ってくれることでしょう」
(了)