〈BD〉【寄稿】オサリバン世代の次は……!? 現代ワールドスヌーカープレイヤー Top 10 vol.4(最終回)

 

日本ではまだ競技人口は多くないものの、

世界で最もメジャースポーツ化

(≒ 観るスポーツ化)に成功している

キュースポーツと言えば、『スヌーカー』です。

 

そんなスヌーカーの人気は、

時代時代を彩るスター選手達の存在に

支えられてきたと言っても過言ではありません。

 

近年最も人気のある選手といえば

ロニー・オサリバン(41歳)ですが、

メジャーイベントの優勝争いの中心は

彼の5歳~15歳下の世代に移ってきています。

 

……ということで、

本場イギリスのスヌーカー事情に明るい、

ブログ「The First Break」さんにお願いして、

 

オサリバンの下の世代の

「今見るべき選手」を10名、注目動画とともに

ピックアップしていただきました。

 

最終回となる今回、ご紹介するのは一人だけ。

そう、現役世界チャンピオンのあの選手です。

 

※Vol.1はこちら 

※Vol.2はこちら 

※Vol.3はこちら

 

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The First Break記:

 

こんにちは、スヌーカーブログ「The First Break」です。この企画も今回が最後となりました。思い入れたっぷりで1位のプレイヤーをご紹介します。

 

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■第1位 世界最高のスヌーカー・ブレイン、マーク・セルビー

 

 

クルーシブル史上最高の143クリアランス――『世界選手権2017』より ↓

 

 過去、現在、そしておそらく未来においても最高のスヌーカー・ブレインを持っているのがこのマーク・セルビーに他なりません。現在450回を越えるセンチュリー・ブレイクを記録するほどのオフェンス力を有しているにも関わらず、状況に応じて過剰なまでのセーフティプレーを厭わないそのスタイルを、ロニー・オサリバンは「拷問」と形容しています。オサリバンが見せるような華麗なスヌーカーが好きな一部ファン達からは嫌われているという事実はあります。しかし、時に泥臭いまでのセーフティ戦を進んで選び、粘り強く戦う。そのスタイルは「スヌーカープレイヤーの究極形態」であると僕は考えます。

 

 そして、彼の最大の魅力はどんな状況でも絶対に諦めないところにあります。どれだけ逆境に立たされていても、そこからカムバックしてくる姿には心を打たれるものがあります。事実、彼ほど劣勢から逆転勝ちを収めた選手は存在しないでしょう。また、イングリッシュ・エイトやチャイニーズ8ボールといった別種目でも好成績を残しており、キューイストとしてのポテンシャルの高さが窺えます。

 

 セルビーは青年期には顕著な活躍はなく、20代半ばになってようやくトップグループ入りをします。2007年の『世界選手権』では準決勝でショーン・マーフィをディサイディング・フレームの末に撃破し、初のファイナル進出。しかし、この時の相手は当時32歳、心身共に充実期にあったジョン・ヒギンズでした。やはり経験の差が表れたのは否めず、セルビーはフレームカウント13-18で敗退。準優勝でシーズンを終えます。しかし、ここからセルビーのブレイクスルーが起こりました。


 翌年(2008年)の『マスターズ』でスティーブン・リーを破りビッグ・タイトルを獲得、翌月の『ウェルシュオープン』ではディサイディング・フレームの末、オサリバンを倒す大金星を上げます。ここからセルビーとオサリバンの戦いの歴史は始まります。

 

 2009年の『マスターズ』でも再び決勝戦へ進出し、連覇が期待されていました。しかし、この時の相手も最強プレイヤー、オサリバンでした。両者好調で素晴らしい試合となりましたが、セルビーはマスターズのトロフィーに手をかけることが出来ませんでした。さらにその翌年、セルビーは3年連続で『マスターズ』の決勝戦進出を果たします。相手はまたもやオサリバン。前年の試合内容が良かっただけに、あれを越えるクオリティは……という不安の声もありましたが、そこは不世出の名手2人。この年は「マスターズ最高の名勝負」と言われるゲームになり、セルビーの最大の強みである不屈の闘志が大逆転劇を生みました。

 

 

『マスターズ2010』決勝戦のハイライト ↓

 

 セルビーは2012年に『UKチャンピオンシップ』も獲得し、未踏峰は『世界選手権』だけとなりました。この頃からセルビーのシーズン終了時の世界ランキングは1位となっており、現在まで継続しています。つまり約6年間1位をキープし続けているという驚きの安定感です。

 

 そして2014年。先の『UKチャンピオンシップ』以降、ランキングタイトルを獲得できない期間が続いた後の『世界選手権』で、セルビーの快進撃が始まります。準決勝で同世代のニール・ロバートソンに辛勝し、7年ぶりに決勝戦へ。迎えた相手は、運命のいたずらか、やはりオサリバンなのでした。この時オサリバンは2012年、2013年と連覇を飾っており、3連覇に王手。加えて、オサリバンはこの時まで、『世界選手権』の決勝戦では負けたことがなく、誰もがオサリバン優勢と予想していました。

 

 その予想の通り試合は進み、最大5フレーム差を付けられ、セルビーの勝利に黄信号が灯されます。並の選手ならここで諦めてしまうでしょうが、世界一タフな男はここから形勢挽回。翌日のセッションからセルビーは圧巻のパフォーマンスで追い上げ、第24フレーム目にしてようやく追い付き、逆転に成功します。そして、第32フレーム目に歴史が動きました。優勝まであと1フレームと王手をかけたセルビー、それを追うオサリバン。第32フレームは、オサリバンが56点リードした状況からセルビー最高のプレーが始まります。

 

 

『世界選手権2014』第32フレーム ↓

 

 この瞬間、セルビーはクルーシブルのファイナルで誰も成し遂げられなかった「オサリバン超え」を現実のものとしたのでした。翌シーズン(2015年)もセルビーの勢いは衰えず、ランキングイベントで勝利を積み重ねていきます。2016年にはディン・ジュンフィを下し、2度目の世界チャンピオンとなり、その地位をより強固なものとします。

 

 この年の12月、セルビーは満を持して2度目の『UKチャンピオンシップ』タイトル獲得に臨みます。準々決勝ではジョン・ヒギンズとの激闘を制し、準決勝ではショーン・マーフィに圧勝。3度目のUKチャンピオンシップのファイナルへ進出します。ここで待ち構えていたのは4度目のオサリバン。セルビーの記録達成の前に立ちはだかるのは、いつも最大にして最強の男なのです。過去5回の優勝を誇るオサリバンは、『世界選手権』と同様にこの大会の決勝戦で一度も負けたことがありませんでした。激戦必至のこの決勝戦は、珍しくセルビーが試合をコントロールして進めていきます。

 

 

『UKチャンピオンシップ2016』の終盤 ↓

 

 この戦いを制したセルビーはビッグ3タイトルを全て複数回獲得。これを達成しているのは現役選手ではロニー・オサリバン、ジョン・ヒギンズ、マーク・ウィリアムズに続いて4人目です。

 

 2017年の『世界選手権』では準決勝でディン・ジュンフィ、決勝戦では10年ぶりの同舞台での対決となるジョン・ヒギンズを抑え、2年連続(3度目)で世界チャンピオンとなり完全にスヌーカー界のエースとなりました。現在34歳のマーク・セルビーに期待されていること、それはスティーブン・ヘンドリーの持つ『世界選手権優勝7回』の記録を塗り替えることでしょう。世界選手権というロングゲームのフォーマットとセルビーのスタイルは相性が良いと言えます。今後セルビーがどれだけヘンドリーの記録に近付けるか、楽しみなところですね。

 

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 以上、The First Breakが選ぶ、近い将来世界チャンピオンになりそうな(あるいは既になっている)選手Top 10でした。スヌーカーファンの方々には目新しい情報はあまりなかったかもしれませんが、スヌーカーを知らなかった方は、これを機にキュースポーツの最高峰、スヌーカーのメインツアーに興味を持って頂けたら幸いです。今回紹介した以外にも魅力的な選手はたくさんいるので、ぜひ自身の目でお気に入りのプレイヤーを探してみてください。スヌーカーはどちらかというと観戦するスポーツなので、ルールさえ把握すればすごく楽しめる娯楽になります! The First Breakでは、今後も日本でスヌーカーファンを増やすため、微力ながら記事を投稿していくのでよろしくお願いします。

 

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The First Breakさん、

ありがとうございました。

 

直接ロニー・オサリバンは

紹介していないのに、

オサリバンの名前がたくさん出てくる

連載企画となりました。

 

やはりその存在が

「時代」そのものだということでしょう。

 

紹介してくださった10名が

次の絶対的なヒーローになるのかどうか

(上位陣はもうそういう存在だと思いますが)、

これからスヌーカーを見る楽しみが増えました。

ぜひまたご寄稿ください。

 

 

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