〈BD〉JPAでハワイへ行こう! 『2018アロハチャレンジ』。内垣プロに聞く「今からでも遅くない8ボール対策」とは? 

ラスベガスで行われた今年の『WTC』
ラスベガスで行われた今年の『WTC』

 

5人対5人のチーム対抗戦による

プールリーグ「JPA」

(Japanese Poolplayers Association)。

 

JPAと聞くと、

ラスベガス行きをかけた戦い」という

フレーズを思い浮かべる方も多いと思いますが、

 

来年2月にハワイで行われる

『アロハチャレンジ』にも、

初めて日本(JPA)から1チームを

派遣することになりました。

 

6回目となるアロハチャレンジには、

アメリカ本土や地元・ハワイから

全32のAPAチームが出場します。

 

現在、日本では代表チームを決める

国内予選が進行中です。

(※勝利すれば、本戦出場権および

日本~ハワイ往復航空券と現地ホテル代を獲得)。

 

予選はあと4回開催されます

(※そのうち1つ〈11/19愛知開催〉は

満員になったので実質3回)。

 

予選日程・会場・方式などは、

JPAブログをご覧ください。こちら

 

本戦はハワイ・ホノルルの有名店

『ハワイアンブライアン』で

2018年2月17日(土)に開催です。

 

アロハチャレンジの特徴として、

9ボールと8ボールの両部門が行われていた

ラスベガス大会(『WTC』)とは異なり、

「8ボールのみ」という点が挙げられます。

 

8ボールはアメリカではとてもポピュラーな種目で、

9ボール以上の競技人口を誇りますが、

日本では9ボールの影に隠れがち。

 

しかし、それだけ本場のプールファンが

8ボールを愛好しているのには理由があるはず。

 

……ということで、JPA契約プロであり、

アメリカでのプレー経験も豊富で、

ハワイ渡航歴も多い内垣建一プロに、

8ボールの醍醐味や魅力をお聞きしました。

 

…………

 

Kenichi Uchigaki
Kenichi Uchigaki

 

語り手:内垣建一プロ

聞き手:BD

 

 

――日本のプールファンが思う以上に、アメリカでは8ボールが普及していると聞きます。

 

「はい、アメリカでももちろん9ボールはプレーされていますが、アマチュア人口的には8ボールをプレーする人の方が多いんじゃないでしょうか。APA(American Poolplayers Association。JPAはAPAの支部にあたる)を始めとするアマチュアのプールリーグで一番メジャーな競技種目は8ボールです。もう少し掘り下げると、アメリカのプール文化は、ダイニングやバーなどに数多く置かれている7フィート台(「コインテーブル」「バーテーブル」)なくして語れないのですが、そこでプレーする定番の種目が8ボールです。そういった環境なので、アメリカのほとんどのプレイヤーのバックグラウンドに8ボールがあると思います」

 

――8ボールはエニーボール競技(どの球から入れても良い)なので、ビギナーにもとっつきやすく、レベルに応じた遊び方が出来ますね。

 

「ええ、スキルレベルが低いプレイヤーでも入りやすい種目ですし、リーグ戦向きな種目だと言えます。日本では9ボールをやる人が多いですが、9ボールは取り切るために手球を大きく動かす必要があり、押し引きヒネリを駆使するのでビギナーには難しい。その点、8ボールはエニーボールなので、入れやすい球から繋ぐことが出来ますし、組み立て・攻撃・防御・駆け引きなど、ポケットビリヤードのあらゆる要素が詰まっているので、試合をする面白さを感じやすい種目だと思います。僕自身は優れた8ボールプレイヤーだという自信はないですが、やっていて面白いと感じる種目です」

 

――見るゲームとしても面白いです。

 

「そうですね。8ボールに慣れた向こうの人同士の試合は見応えがあります。8ボールの上手さは『いつ取り切りにかかるか』というタイミングの見極めに表れると言って良いと思います。そして、中・上級者の方ならおわかりの通り、『取り切ると決めたら最後(8番のシュート)まで行き切らないと、途端に不利になる』というところがスリリングで、逆転が起きやすいのが8ボールの特徴。最後まで目が離せないですし、9ボールにはないようなディフェンス技術や駆け引きが楽しめます」

 

――プロの試合映像でもたまにそういう展開がありますね。

 

「例えば、プレイヤーAが取り切りにかかったけど、8番の直前の球でミスしてしまったとする。Aのマイボールはあと1個。一方のプレイヤーBはまだ7個残している。普通に考えれば持ち球の少ないAの方が有利ですが、Bからしてみれば、マイボールが多ければ取り切りのプランが立てやすく、セーフティも簡単で、配置を変えながら様子を見たりと色々なことが出来てしまう。8ボールでは、マイボールが多い方が有利に試合を運びやすくなるということです」

 

――そして、下級者には下級者の「負けにくい」戦い方もある。

 

「スピードを調整して『たとえ外れても穴前に残るように撞く』という保険をかけたショットなどはその一例ですね。そうすることで相手はそのポケット使えなくなる。9ボールでは『守る』と言うと、単に手球や的球を隠すセーフティをするという発想になりますが、8ボールでは一口に守ると言ってもたくさんの戦術がある。セーフティのバリエーションも多いし、マイボールや手球の動かし方にも頭を使います。そこがわかってくると、レベルに関わらず格段に8ボールは面白くなってきますし、防御が上手い人や取り切りの糸口を見付けるのに長けた人など、個性も表れてきます。近年『チャイニーズ8ボール』も出てきていますが、基本的な考え方は同じです」

 

――わかりました。でも、そうはいってもなかなか8ボールに手が伸びない人もいると思います。8ボールをやることで、9ボールや10ボールに良い影響はあるでしょうか?

 

「テクニック、知識、考え方……8ボールには他の種目に役立つ要素がいっぱい入っています。レベルに応じて説明しますと……、

 

まず、ビギナー~低級者であれば、的球を入れて、次の球に対して良い角度になるように手球を動かすという、ショットの力加減とポジションの基礎が磨かれます。エニーボール競技なので、そんなに大きく手球を動かす必要はなく、端の方の撞点を使う必要もありません。シュートすることに集中しながら、手球の転がりにも意識を向ける。これはもう、ポケットビリヤードをやる上でずっとついて回る『入れと出しのバランス』です。8ボールは早くからそれに慣れる種目として適していると思います。目の前の球1個だけ入れて終わるのか、なるべくいい角度(フリ)を付けて、2個3個と続けて行けるのか。ビギナー~低級者には3個取ることを目標にしてほしいです。もし、試合で3球続けて取れたら、チームの勝利に貢献出来る可能性は高いです」

 

――中級者はどうでしょうか?

 

「8ボールは、いざ『取り切るぞ』という時に、最後のボールまで明確にプランニング出来ていないと痛い目にあうことがあります。9ボールだと『球なりに』とか行き当たりばったりで最後まで取れてしまうことがあるんですが、8ボールではそれはご法度。いかにプランを考えて、その通りに取り切れるか。さらに『バックアッププラン』(保険、別案)も考えられるか。その『組み立てを考える力』は、9ボールや10ボールなど色んなゲームに活きてきます。3個取り切れる力が付いた人は、自分でブレイクをして、ソリッド(ロー)かストライプ(ハイ)、どちらかのボールを選んで、しっかりプラニングをしてから、マスワリ(取り切り)をするという練習をしてみてください(※JPAの8ボールルールではブレイクで入った方のボールが自動的にマイボールとなります。→ルール)」

 

――上級者は?

 

「上級者になってくると、取り切るばかりではなくて、ディフェンス術や駆け引きが勝敗に影響します。これは経験が必要なところですが、特に8ボールやワンポケットという種目は、いかに相手の気持ちになってテーブルを見られるかが大事。将棋の加藤一二三さん(※今年引退した名棋士)が『相手の側から盤面を眺めた』というように、相手のボールを自分のボールとして見ることで相手の意図がわかってくる。それが駆け引きの局面で活きてきます。これもまた、9ボールや10ボールに役立つ要素です」

 

――わかりました。最後に、アロハチャレンジの会場はホノルルの『ハワイアンブライアン』です。どんな場所か教えていただけますか?

 

「『アラ・モアナ・センター』という、ホノルルの有名なショッピングセンターから歩いて5分ぐらいの所にある、ハワイを代表する名プレイヤーの一人、ブライアン・ハシモトさんが立ち上げたお店です。その昔、R・モリス(ハワイが生んだ殿堂入りプレイヤー)がいた頃は非常に活気があり、大会なども盛んに行われていたようです。現在は、僕もよく知っている現地のプロ選手、カート・コバヤシさんなどが積極的にAPAを推し進めていることもあって、APAがかなり根付いています。ハワイは日系の方が多いということもあり、皆、日本人に優しくて気さくです。英語があまり出来なくても仲良くなれるし、溶け込みやすいと思います。日本の人からしてみると、リラックスして滞在できて試合に臨める良い開催地じゃないでしょうか。日本代表になったチームの皆さんにはぜひ楽しんできて欲しいですね」

 

(了)

 

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