秋のプレーオフウィークが佳境に入り、
『アロハチャレンジ』国内予選も
大詰めを迎えようとしている、
ビリヤードリーグ『JPA』。
年が明ければすぐに
『2018春セッション』が始まります。
これは、2018ラスベガス本大会(WPC)へ
向けた最後の予選リーグ。
参加希望の方はお急ぎください。
※JPAブログ http://poolplayersblog.blogspot.jp/
※JPAサイト http://www.poolplayers.jp/
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よく「JPA参加者はこれまでの
競技者層と重なる部分もあるけれど、
違った広がりを持っている」
という表現をされることがあります。
それはBDもJPAの各大会・各セッション、
あるいはBAGUS×JPAのイベント
『企業対抗9ボール』を見ていて、
試合の雰囲気からも感じるところです。
では、具体的に一体どんな人が
どんな意識や目標を持ってJPAに取り組んでいるのか。
チーム創立1年半ながら
毎セッション優秀な成績を収め、
今回の秋のプレーオフ
(「サタデーナイトディヴィジョン」)で
優勝を果たしたばかりの
「Tora.e-mon」(以下、とらえもん)チームに
お話をうかがいました。
とらえもんは、
メンバー全員が株式会社ワークスアプリケーションズの
社員というチームで、
神保町の『ブラザー』をホームにしています。
ちなみに、
今月初旬の『第15回企業対抗9ボール』では、
このワークスアプリケーションズのチームが優勝。
他にも3チームが決勝ラウンドに進出。
聞けば、「ビリヤードサークルに90名以上在籍」
という驚きの会社なのでした。
…………
前列右から:
杉田生楽さん(SL 5。キャプテン)
齋藤翔太朗さん(SL 8。発起人)
後列右から:
髙平潤一さん(SL 3)
鈴木賢也さん(SL 3)
取材協力:『ブラザー』(東京・神保町)
…………
――とらえもんが出来たのはいつですか?
齋藤(発起人):1年半ぐらい前です。僕は何年か前にブラザーのJPAチームに参加したことがあって、ある時「会社でJPAチームを作ったら面白いんじゃないか」と思ったんです。
杉田(現キャプテン):僕は入社してすぐの頃に誘われました。初めは「一緒に企業対抗に出よう」と。
齋藤:そう。そしたら、1回目で準優勝だったので「こいつにJPAのキャプテンを任せよう」と(笑)。
――メンバーはすぐに集まりましたか?
杉田:もともと社内にビリヤード好きな人が10人ぐらいいたので、当初はその人達を中心に組んでました。その後、成績が出たおかげか、会社のビリヤードサークルがどんどん大きくなっていき、今は90名強の登録があります。そこからJPAに出ている人ばかりです。
――えぇっ、90名はすごい。
齋藤:ちゃんと活動しているのは20~30名ぐらいですけどね。月に1度、ブラザーさんで4台ぐらいテーブルをお借りして活動しています。
――鈴木さんと髙平さんは?
鈴木:僕は齋藤さんと部署が一緒だったので、「やってみない?」と誘われて。僕も一番初めの大会は『企業対抗』でした。
髙平:僕はサークルに参加して「ビリヤード、面白いな」って感じていたところに、「会社のチームでJPAというのに出てるんだけど、出てみる?」って声を掛けられて。やってみたら意外にもハマっちゃったという感じですね。
杉田:まずビリヤードサークルでビリヤードにハマっていって、JPAや企業対抗に出てみたいって人が増えてます。
齋藤:そう、大会デビューが企業対抗だったという人が多いですね。今は個人でビリヤード場のハウストーナメントに出てる人も増えてきています。
――企業対抗と言えば、今月初旬の第15回大会でワークスアプリケーションズのチームが優勝しましたね。
杉田:うちの会社から4チーム出て、全チームが決勝ラウンドに残り、僕は優勝チームの一員でした。優勝チームは、元キャプテンで今は福岡にいる人のためのチームと言っても良いです。
齋藤:とてもビリヤードに熱心な人で、企業対抗のためだけに福岡から飛んで来たんです(笑)。あの大会にかける本気度が違ってます。
――とらえもんのJPAでの活動目標は? 当初からラスベガスでしたか?
齋藤:いや、初めは全然そんなレベルじゃなかったです。今はキャプテンの色を自由に出してもらってますけど。
杉田:自分が途中からキャプテンをやるようになってから、真剣に勝利を目指す方向に振りました。僕がビリヤードにハマっちゃったし、負けず嫌いなので(笑)。今はなんとしてでもラスベガスに行きたいですね。
――JPAのどんなところが楽しいですか?
杉田:毎週試合があるんで、毎週皆で集まって撞けることが楽しいです。勝ったらもっと楽しいし。えっと、あとはなんだろう……(笑)。
髙平:僕はスキルレベル(SL)システムが面白いです。以前にも遊びでビリヤードをやったことはありましたけど、そもそも上手い・下手の差もわからなかった。でも、JPAはSLシステムがしっかりしてるから、力量差がわかるし、上手い人を相手にしても勝つチャンスがある。そして、自分のSLが上がれば『上手くなってるんだな』と実感出来るところも良いですね」
鈴木:僕は、JPAに限った話ではないですけど、単純に球が入るのが楽しいし、気持ち良いです。美しく球が決まって、『俺、うめーな』って思える時が一番楽しい(笑)。
齋藤:僕は個人で他の大会にも出ているので、上級者寄りの世界というか、淡々と勝者と敗者が決まっていく個人競技の世界も見ています。一方、JPAは低SLの人や女性プレイヤーがすごい球を決めたら『わ~~!』って盛り上がるじゃないですか。あの雰囲気やドラマ性はJPA特有のものだと思っていて、あれを味わえるのが楽しいです。ちょうど先週(※取材の1週間前)の試合も、ずっと劣勢で『もう終わりかな』って覚悟してたんですけど、なんとか最終戦まで望みを繋いで、最後はキャプテンが逆転勝ちを決めてくれた。あの瞬間、『うわ~、来週も戦える』ってテンション上がりました(笑)。
――とらえもんのチームカラーや特色は?
杉田:うちはかなり徹底的にデータ分析をしています。
齋藤:(ヒソヒソ声で)IT企業なので。
杉田:あ、IT企業なので(笑)。1年半分、入れられる限り全てのデータを入れてあって、メンバーの誰がどういう長所と短所を持っているかを割り出して、感情を排して実績ベースでチームオーダーを決めています。
(↑ 杉田キャプテンよりいただいた実際のデータ画面)
――例えば、どんな風に?
杉田:例えば、齋藤さんは能力が高くて(SL8)、平均獲得ポイントはとても高いんですけど、女性とSLが低い人を相手にすると途端に低くなる。たぶん優しすぎて(笑)。それをチームオーダーに活かしたり。あとは、翌週がアウェイの試合なら、アウェイゲームに強い◯◯さんを出そうとか。他にもたくさんデータがあります。
――実際にデータをもとに対策を練って戦った効果があったと。
杉田:そう思います。それは今季のリーグの得点に顕著に表れているかなと。ディヴィジョンの全12チーム中、うちのチームは1試合の最高得点は一番低いんです。でも、最低得点は一番高い。つまり、データ分析を活かしてオーダーを組んだら、期待値に対して安定して高い点数を取れていて、それで勝率を上げられたと言えると思います。
一同:なんか嫌なチームみたい(笑)。
――おぉ、なんだか映画『マネーボール』のセイバーメトリクスみたいな話ですね。最後に、1月から始まる春セッションに向けて、そして次の『KTC』(ラスベガス行きをかけた国内最終大会。毎年6月)に向けて、抱負をお願いします。
杉田:春セッションもKTCも、勝利追求の姿勢で行きます。
一同:え、それで良いの!?(笑)
杉田:まずいかな(笑)。いや、勝利こそが最高の楽しさということで。勝てばやっぱり楽しいですから。
――過去KTCに出たことは?
杉田:あります。前回(2017年6月)出て、予選ラウンドで敗退しました。あの時は結構自分がやらかしてしまい、『キャプテン、クビか』みたいな空気になっちゃって(笑)。なので、あのリベンジをしたいというのが今の僕のモチベーションになっています。
齋藤:当時はまだSL3ぐらいだったかな。
杉田:そうですね。あれからSL5になりましたし、強くなった自分でリベンジをして、ラスベガス行きを叶えたいです。
一同:それはみんな行きたいと思ってるよ(笑)。
――(笑)ありがとうございました。
(了)