〈BD〉森雄介プロと「ストローク」の話をしてみた(後編)

Yusuke Mori
Yusuke Mori

 

数日前の「前編」の続きです。

 

まず、様々な角度から撮ったストローク動画を

森プロとともにチェックしてみます。↓

 

(※スローモーション動画は画面がチラつきます。

ご容赦ください)↓

 

 

語り手:森雄介プロ(JPBF)

聞き手:BD

撮影場所:東京・江古田『ARENA』(アレナ)

 

…………

 

――上記の4本の動画では強めに撞いてます。

 

「初めの2本(真横からと正面から)は撞点が高くない。そのせいか、あまり身体が動いてないですね。僕は上を強く撞くのが苦手で、上を強く撞くと身体が動きやすくなります」

 

――後ろからのアングルで見ても、手首の「コネ」はそんなに感じられないのですが……。

 

「いや、結構やってますね、この動画でも。テイクバックの頂点までは自然に引けてるんですけど、インパクトに向かう動き出しのところで手首を『グッ』とやってます。見てもわからないかもしれないですけど、自分としては『ちょっとやってるなー』と」

 

――その「コネ」は、正面から見ても自分ではわかる?

 

「わかります。この動画ではコネてます。テイクバックでキューを引く時はやや外側(身体から離れた側)に引いてるんですけど、その直後に拳を内側(身体側)に寄せているので、ぐにゃっと軌道が変わってます。その『自然じゃない感じ』が気になりますね」

 

――『真っ直ぐかどうか』ではなく『自然かどうか』。

 

「そう、真っ直ぐかどうかは意識してないです。それよりも『自然な動き』をしたい。今はちょっと自然な動きではなくて……っていうのは全部わかっているんですけど、なかなか直せないんですよ(笑)」

 

――この動画で見た自分の腕の動きは想像通りでしたか?

 

「もう完全に。でも、今日はまだ状態が良い方なので、手首のコネも身体の動きも少なめですね。撮影があったからというのもあるし、服装も関係あります。これは腕が振りやすい格好なので」

 

――あるんですね、服による違いが。試合の格好(シャツ・ベスト・スラックス)は撞きにくいということですか?

 

「いや、サイズなのか、生地なのか、形なのかわからないんですけど、私服でも試合の服でも腕が振りやすい服っていうのがあって、今日は一番振りやすいのを着てきました(笑)。試合用のシャツも結構買っていて、今は7~8着ありますけど、実際に試合で着るのは2着だけ。オーダーシャツも作ったことがありますけど、それがたいして撞きやすくなかったり、反対に市販のもので当たりがあったり……。こればっかりは着て撞いてみないとわからないんです。僕、ビリヤード以外のことは気にしないんだけど、意外とそういうところは気にするタイプです、こう見えて(笑)」

 

――森プロのストロークはテイクバックで「タメ」がありますよね。あれは意識的にやっていることですか?

 

「いや、今は完全に無意識ですけど、意識して採り入れた時期がありました。スヌーカーのプレイヤーを見たり、キャロムでもサンチェスは一時停止するじゃないですか。それを参考にして、『タメたらいいことあるのかな』ってやってみたんだけど、『別にどうってこともないな』と思って意識するのは止めました。でも、身体にはその時の名残があるのかもしれない。ワンクッションでは全くタメないで撞くこともありますけど、スリークッションでは基本的にタメてます。でも、タメをなくそうとか、もっとタメようとか、そういうことは思わないです。……それはそうと、後ろからのアングルの動画、(肥田)緒里恵さんに似てませんか。このテイクバックの感じが」

 

――言われてみると確かに。動画を並べておきます。↓

 

 

…………

 

最後は、「グリップ」について聞いてみました。

森プロに「どの指をメインに使って握っているか」を

尋ねたところ、なんと「薬指」とのこと。

 

写真用に誇張してやってもらうと、

インパクト~フォロースルー時は

こんな握りになっているようです。↓

 

また、親指は曲げず(キューに巻き付けず)、

そのまま垂らしているとのこと。

 

 

――グリップについて聞かせてください。どの指でキューを握っていますか?

 

「一番は薬指ですね。実は最近まで意識してなくて、人に『どの指で持ってるの?』と言われて、『どこなんだろう』と右手に意識を向けてみたところ、薬指でした。テイクバックからフォロースルーまでずっと薬指でキューを支えてます。自分でも新発見。道理で、薬指の付け根にあとが出来て痛くなる訳だと(笑)」

 

――なかなか珍しいですね。薬指は。

 

「たぶん一番多いのは、親指と人差し指の『輪っか』か、前3本(親指・人差し指・中指)で握ってる人ですよね。僕も以前は構えてる時(ストロークの動作に入る前)は、普通に前3本でキューを持ってたんですけど、腕を振ってる時に前3本がキューから離れてるってことに気付いてからは、『初めから薬指メインで良いかな』と思って構えてる時の持ち方も変えました。そのおかげか、少しストロークがブレにくくなったと思います」

 

――親指はキューに巻き付けてなくて、垂らしているだけですね。

 

「そうですね。それも意識してなかったけど、親指は垂らしているだけです。あんまり他で見たことがないです。でも、そういう持ち方だから、僕は強く撞くのが苦手なのかもしれないです。力が逃げてしまってる可能性はあります」

 

――わかりました。ご自身が考える今のストロークの完成度とは?

 

「10%です。下級者と変わらないレベル。だから、いくらでも伸びしろはある」

 

――10%ですか。何をすれば伸びると思いますか?

 

「50%ぐらいまで持っていくには反復練習あるのみだと思います。そして、それが試合でちゃんと発揮できれば、70%到達と言えるんじゃないかと。でも、たぶん100%はないんですよ。どこまで行っても『ここが違う』っていうのが出てくるだろうから。とりあえず、今の自分が理想から程遠いことはわかってます」

 

――理想に近い人を挙げるとすると?

 

「そうですね~、サンチェスと趙明優(韓国トップジュニア)をミックスした感じかな。サンチェスのストロークはカチッとしていて機械っぽい。趙明優は伸びやかなストロークを持っている。2人とも僕が理想とするものを持っているから、それをミックスすると理想に近いかな。でも、極論を言えば、どんなストロークであれ、狙い通りに、ブレなく、タイミング良く手球を捉えられたら十分だと思います」

 

 

――キュー軌道が多少曲がっていようとも、何回やっても正確に同じように撞けるならそれで良いということですか?

 

「そうです。僕の自己分析では、僕はストロークに限らず同じことを何回も繰り返す能力が低いです。で、ごまかすのは得意(笑)。ポケットビリヤードでもいるじゃないですか、センターショット100発連続で入りますという人が。僕は3球で入らなくなってしまうタイプ。でも、いざという時の再現性が勝敗を分けてしまうのがプロの世界です。だから、1%でも理想に近付ける努力は続けていきます」

 

(了)

 

…………

 

Yusuke Mori

JPBF最年少プロ 

1993年10月15日生・O型・天秤座

アマ時代戦績:

2012年全日本アマ3C準優勝

2012年全関東アマ優勝 

世界ジュニア3C・8回出場(最高位はベスト8)

プロ戦績:

2014年全関東バンド選手権優勝

2014年全関東3C 3位

2014年全日本バンド選手権優勝

2015年3Cプロマスターズ・アカデミーZ戦 3位

2016年東京オープン 3位

2017年全関東3C 準優勝

2017年PRO 3-Cushion Tournament GLANZ戦優勝

2017年全日本プロバンド選手権優勝

使用キューはADAM JAPAN(タップはNavigator、ケースは3 seconds)

使用グローブはOWL

東京『アレナ』所属

 

 

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BD Official Partners :  
世界に誇るMade in Japanのキューブランド。MEZZ / EXCEED 
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最寄り駅は中延(品川区)。工藤孝代プロ所属。Billiard Oops !
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