2月の『関東オープン』で優勝した羅立文。
会場で見て、
気になっていた方もいると思いますが、
羅プロは関東オープンから
新しいキューを使い始めました。
『ZEN CUSTOM CUE』(ゼンキュー)です。
ゼンは、台湾のキュー職人、阿仁さんが、
上海を拠点に2010年代初頭から
製作しているメーカーです。
本ハギのモデルから、
芸術性の高いインレイのモデルまで
様々なバットデザインがあり、
オリジナルシャフト(ノーマルシャフト)の
性能が優れていることでも知られています。
中国国内では、チャイニーズ8ボール(C8)向けの
専用シャフトがヒット商品になっており、
あのスヌーカーの伝説的名手、S・ヘンドリーは、
C8をプレーする時はゼンを使っているとのこと
(バット・シャフトとも)。
日本のポケットビリヤードファンも、
台湾トップクラスプレイヤーの
張玉龍、呉坤霖、陳禾耘などが
使っているキューと言えば、
思い出す人もいるかもしれません。
リング部に、中国の伝統的な紋様、
「雷文」(らいもん)が用いられているのが
ゼンの特徴です。
先日BDは、
羅プロが使っている『龍と鯉』モデルと、
『子持ち8剣本ハギ』モデルの2本を撮影しました
(2本とも売り物ではありません)。
ともに、オリジナルシャフト2本付き。
タップは「ゼンオリジナル」
ジョイントは3/8-11山です
(サウスウエストなどと同じ規格ですが、
わずかに形状が異なります)。
…………
■『鯉魚躍龍門』(Dragon and Carp Inlay)
まずは、羅プロの使用キューから。
黒檀をベースに、
フォアアームに龍、スリーブには鯉の図案を
金・銀・銅のインレイで描いた、
非常に精緻で芸術的なモデル。
他に、インレイやリングの材料として、
ブラッドウッドや貝も使われています。
空を舞う龍と、水面に飛び上がる鯉。
龍のかたわらにある白い玉は如意宝珠でしょう。
龍も鯉も中華圏の文化では
立身出世や幸運を司る縁起の良い動物として知られ
(日本にもこいのぼりがあります)、
古来より、芸術、建築、服飾などで
モチーフにされていますが、
キューにフルインレイで描かれたのは
初めてではないでしょうか。
龍や鯉の輪郭やうろこはシルバーで出来ていますが、
目や爪はゴールド、
鯉のうろこの数枚はブラッドウッド、
たなびく雲はカッパー(銅)で表現。
工作機械と職人の手作業の合わせ技だとのことですが、
棒状のものによくぞここまで
綺麗にインレイが出来るものです。
スリーブ部を回しながら動画を撮ってみました。↓
驚きの細かさと完成度、伝わるでしょうか。
「僕にとって初めてのインレイのキューです。
見れば見るほど素晴らしいですね」
(羅プロ)
ちなみに、こちらのモデルは、
バットエンドにメーカーロゴが
ゴールドで入れられています。
ゴールドロゴは米ドルで「1万ドル以上」の
特別な高級モデルの証。
それ以下の価格帯のキューには
シルバーロゴが入れられています。
…………
■『金絲雀』(子持ち8剣本ハギモデル)
続いてこちらは、
ココボロをベースに、
木目のきれいなゴールドフィービーの
子持ち8剣ハギを入れたモデル。
ハギは無垢材のベニアで縁取られています。
スリーブに使われている木材も、
ココボロとゴールドフィービーです。
ゼンは天然木材そのものの
色味と木目にこだわっていて、
着色・染色した木材は使わないとのこと。
シャフトカラー部も合わせると、
5ヶ所に雷文リングが入っていますが、
そこまで中華テイストは感じられず、
明るく美しい天然木材の風合いが楽しめる、
バランスの良いデザインです。
…………
ゼンのプレーアビリティの高さについては、
羅プロが「使い始めて4日で優勝した」ことが
何よりの証明になっていると思いますが、
「渡されたオリジナルシャフト
(ノーマルシャフト)の性能の高さには、
僕自身驚きました」
と羅プロは語ります。
ゼンでは、良いシャフトを作るため、
硬めでコシのあるメイプル材を厳選。
他メーカーのシャフトより1cmほど長く
作ってあります。
それを、他メーカーより1インチほど短い
バットに合わせることで、
ポケットビリヤードに最適な弾性としなりを実現。
「僕はビリヤードを始めてから27年間、
ずっとノーマルシャフトを使ってきましたが、
これは今までで一番良いシャフトです。
バットに繋いだ時のバランスが良く、
ヒネリが良く乗ってキレがあり、
パワーも十分にある。
トビ(見越し)は少ないです。
ハイテクシャフトに負けない性能です。
だから、短い練習時間でも
すぐに安心して試合で使えました。
きっと、これまでハイテクシャフトしか
使ったことのない人でも
違和感なく使えると思います。
僕のキューはバットのデザインが
とにかくすごいですが(笑)、
コレクター向けとか、観賞用ではなく、
試合で即戦力になるキューです」
(羅プロ)
羅プロはこの3月より、
ZEN CUSTOM CUEの日本代理店にもなりました。
これから定期的に、
日本にゼンの新作が入って来ます。
現在、ゼンのカスタムメイドモデルは、
完成まで1年半待ちとのことですが、
羅プロを介してオーダーすると、
デザインにもよりますが、
3ヶ月~半年程度で完成します。
また、完成後も、
「先角・ジョイントの修理は生涯無料」
「シャフトの曲がり直しも生涯無料」
「バット塗り直しは一度に限り無料」と
手厚いサポートがあります(※送料は購入者負担)。
摩耗したシャフトの新品交換も格安で行うとのこと。
ゼンについてのお問い合わせは、
羅プロ本人か、羅プロが代表を務める
『POOL LABO』まで。
近日、『POOL LABO』にて
試し撞きイベントも開催予定とのことなので、
気になる方は、羅プロのFacebookや、
POOL LABOサイトをチェックしてください。