まさに寝耳に水でした。
昨日、イギリスの
スポーツイベンター／プロモーターの
『Matchroom Sport』
（マッチルームスポーツ）が
発信した公式発表は、
一気にプール界に広まりました。
公式発表原文（英語）↓
http://www.matchroompool.com/usopen9ball/
マッチルームスポーツのFBページ。↓
喋っているのは代表のバリー・ハーンです。
内容を一言で言えば、
「マッチルームスポーツが、
USオープン（9ボール）開催の
全権を譲り受け、2019年4月に
ラスベガスで開催する」
ということ。
これに対し、
ワールドトッププレイヤー達を始め、
プールファンの多くも
「素晴らしい」という反応を示しています。
欧米プールメディアの素早い反応を見る限り、
この件を事前に知っていた人も
一定数いたようです。
箝口令が敷かれていたのでしょう。
…………
USオープン創設者であり、
名物プロモーターのバリー・バーマンは、
2016年に亡くなりました。
遺族（息子と娘）は、
一般の仕事に従事しているため、
2016年と2017年はなんとか開催したけれども、
継続開催は厳しかったようです。
一方、現在、マッチルームスポーツは、
World Pool Masters（9ボール16名限定招待イベント）
World Cup Of Pool（ペアマッチ国別対抗）
Mosconi Cup（欧vs米 チーム対抗戦）
という、メジャープールTVトーナメントを
手掛けており、実績も放送網も資本も十分。
USオープン第二幕の主催者として、
これ以上のところはありません。
落ち着くべき場所に落ち着いた
ということでしょうか。
USオープンは、
「世界最難関・最高権威のハウストーナメント」
と形容されることもあり、
「マッチルーム系イベント」とは、
大会カラーが大きく異なりますが、
マッチルームスポーツが
本気でプロデュースするとなると、
きらびやかでメジャー感ある
トーナメントになるでしょう。
それはそれで早く見てみたいですね。
…………
上記のマッチルームスポーツの
公式発表文を訳してみます。
文中では、
ビッグディール成立の経緯や、
2019USオープンの概要と
予定フォーマットも語られています。
マッチルームスポーツ発：
「マッチルームスポーツはUSオープン開催の全権を獲得したことを発表します。これはプールをメジャースポーツ化するという長期的な目標の、大きな足がかりの一つです。
USオープンは故バリー・バーマンが1976年に創設し、数10年に渡って育まれ、プールファンが最も心待ちにするイベントの一つとなり、今年43年目を迎えたところでした。バーマンは2016年4月にこの世を去りましたが、2016年大会と2017年大会は彼のご子息とご息女が開催しました。
マッチルームスポーツの代表、バリー・ハーンは先日、バーマンの遺産の相続人であるこの2人と契約合意に至りました。
バリー・ハーン（マッチルーム代表）談：
『これはプール界にとって極めて大きなニュースであり、プールというスポーツと産業を大きく押し上げることになるでしょう。
我々マッチルームスポーツはやると決めたことはただちに取り組みます。今までにも我々はプール界で最上の基準を設け、最大の資金を用意し、最高のプレイヤーを揃え、最良の映像制作を行い、世界中のTV放送網――北米も含めて――で放映してきました。まさにそれをUSオープンに持ち込もうとしているのです』
現在マッチルームスポーツは、2019年4月にラスベガスの大きな会場で新USオープンの開催を目指しています。つまり、今年（2018年）はUSオープンはないということです。
エントリーフィーは前年通り（1000ドル（約10万円））になると思われますが、長期的には減額して行き、最終的にはゼロを目指します。それに加えて、歴代のチャンピオン達にはエントリーフィー無しで出場をオファーする予定です。賞金総額は30万ドル（約3千万円）以上になるでしょう。USオープンでは過去最大です。
マッチルームスポーツでは1993年以来、プールのTVイベントを主催してきました。今も続いているのは、World Pool Masters、World Cup of Pool、そして、現在最も大きなプールイベント、Mosconi Cupです。これに加えて、1997年～2007年には世界選手権も手掛けていました。
バリー・ハーン（マッチルーム）談：
『私は非常に興奮しています。USオープンはその壮大な歴史の中で28名の異なる勝者を生み出してきました。その内の近年の何名かの名前は新USオープンの『バリー・バーマン杯』に彫られることになるでしょう。杯は伝統あるグリーンジャケットとともにこれから毎年チャンピオンに贈られることになります。
我々マッチルームスポーツは、USオープンが、特にアメリカのプールファンにとって絶対に見逃せないトーナメントになり、新しいファンも獲得できるようなトーナメントになるように創っていきます。それは大きくて困難な仕事ですが、それこそがマッチルームスポーツの役目であり、これまでの素晴らしいUSオープンを、”全てのプールトーナメントの父”と言われる大会に変えて行きます』
ブレイディー・バーマン（バーマンの息子）談：
『今回の件は、父が40年以上続けてきたUSオープンだけでなく、アメリカンプールにとって、そして世界のプール界にとって、ベストな歩みだったと認識しています。父はいつもプールシーンを向上させることを夢見ていましたが、それを達成したのです。今回、USオープンを更に良いイベントにするために、マッチルームスポーツのバリー・ハーンと彼の専門チームに全権を委ねたことに、私達兄弟も興奮しています。父の遺志は生き続けます。来年、世界中からラスベガスにやってくるプールファンとプレイヤー達に会うのが楽しみです』
2019年USオープンのフォーマットは、ダブルイリミネーションで勝者側8名・敗者側8名を選出。決勝ラウンドはベスト16からシングルイリミネーションで、テーブルは1台で行います。全て11ラック先取ですが、決勝戦だけは異なるでしょう。
新しいUSオープンについての詳細は、この数週間または数ヶ月の間のアナウンスを待っていてください。それはプールの新時代が始まるカウントダウンです」
…………
この新USオープン構想は、
まず間違いなく実現するでしょう。
2019年の4月開催ということは、
実質あと約1年ほど。
急いで今年の10月（例年10月開催だった）に
間に合わせるという方向に持って行ってない
ところからも、確実性が感じられます。
会場と日程、視聴チャンネルなども、
ある程度決まっているのだと思います。
USオープン公式FBでの発表を待ちましょう。
…………
この件について、
アメリカの『Billiards Digest』誌は、
バリー・ハーンと
ブレイディー・バーマン双方に
インタビューをしており、
公式発表以上のことがわかる
内容になっています。
記事原文↓
http://www.billiardsdigest.com/new_news/display_article.php?id=1511
「実はバリー・バーマンは生前、
一度バリー・ハーンに接触していたが、
その時は時期尚早だった」など、
興味深いエピソードも描かれていますので、
いつかこちらも翻訳したいところです。
そして、このBilliards Digestの記事の
最後の方に、
「今年はどうなる？」ということが
記されているのですが、
会場の『シェラトン・ノーフォーク』は、
複数年契約で借りていたようで、
今年も10月17日～21日で抑えられています。
ビリヤード映像制作の『ACCU Stats』の
代表であり、近年のUSオープンを
共同で運営していたパット・フレミングは、
この日程・会場を利用して、
『USインターナショナルオープン』を
開催予定だとのこと。
フレミングはブレイディー・バーマン側が、
「権利譲渡」の交渉に臨んでいたことを知らず、
例年通りのスケジュールで
USオープンを開催するために
ホテル側にゴーサインを出していたそうです。
『USインターナショナルオープン』は
最大128名で、
賞金額は昨年のUSオープンと同程度で
開催予定とのことです。
