和歌山の児童養護施設
『こばと学園』（和歌山）の児童7名が、
4月21日（土）、
大阪の『フタバボウル泉大津店』で、
大人とふれあいながらキューを握りました。
…………
「こばと学園」という名称に
聞き覚えのある方もいるかもしれません。
アマチュア団体戦の『都道府県対抗』
（正式名称：全日本都道府県対抗
ポケットビリヤード選手権大会）。
その会場、『和歌山ビッグホエール』に
設けられた体験エリアで、
毎年ビリヤードを楽しんでいる児童たち。
彼らはこばと学園からやって来ています。
この和歌山ビッグホエールでの
「こばと学園・ビリヤード体験」は、
こばと学園の卒園者であり、
WRC（和歌山ローテーションクラブ）に
在籍していた上村宏司さんと、
『都道府県対抗』の主催者であるJAPA
（日本アマチュアポケットビリヤード連盟）の
大島知幸事務局長との厚い信頼関係のもと、
10年続けられてきました
（※5月の今年度大会でも実施します）。
そして今回、上村さん、JAPA、
さらに『フタバボウル泉大津店』と、
同店を活動拠点にしているビリヤードサークル、
『グランブルー』という四者が力を合わせ、
試合会場ではなく、初めて一般の
ビリヤード場に児童たちを招待する形で、
「ビリヤード体験」が実現しました。
JAPAより写真をいただきましたので、
当日の模様をお届けします。
…………
4/21（土）10時。
児童7名（11歳2名、12歳3名、
16歳1名、17歳1名）が
『フタバボウル泉大津店』に到着。
ビリヤードサークル『グランブルー』
代表の高頭さんが、児童たちに
挨拶と自己紹介をして開会。
…………
児童2人に対して1人指導者
（サークルメンバー）を付けて、
まずは基本レッスンをスタート。
児童たちは初めから目を輝かせて
夢中でキューを振っていました。
…………
約1時間基本を学んでから、
ゲーム形式でプレー。
児童たちは口々に「楽しい！」
「これ、入れれるで」
「おっちゃん、上手すぎるやろ」などと
声を上げながら楽しんでいました。
皆、短時間で手球をしっかり
撞けるようになり、的球をポケットに
狙えるまでになっていて、
「とても素直で本当にすぐに
上手くなっていました」と
指導していた大人たちを驚かせるほどでした。
…………
途中でビンゴ大会を開催。
サークルの方々とJAPAが持ち寄った
たくさんの景品を獲得出来るチャンス。
児童たちも喜んでいました。
ビンゴの後、ビリヤードを再開。
夢中にプレーしている児童たちを見て、
サークルメンバーもJAPAも
「招待して良かった。また機会を作ろう」
との思いを強くしました。
…………
最後に、会場をご提供いただいた
フタバボウルの横田店長より、
マンガ（営業で使わなくなった古本）を
こばと学園へ寄贈。
児童たちは「今回は楽しかったです。
また機会を作ってください。
ありがとうございました！」と
大きな声で挨拶をし、体験会は終了しました。
…………
その後、
『ラーメンむさし貝塚本店』の
三原社長のご厚意で、児童たちと
関係者に昼食が振る舞われました。
児童たちとはここでお別れとなりましたが、
高校生の元気くんからは、
「都道府県対抗（5月）でもう一度、
勝負やで！」との挑戦状も。
1ヶ月後、『和歌山ビッグホエール』に、
また児童たちがやってきます。
…………
こばと学園の児童たちが
ビリヤードに触れるようになって10年。
それは、
アマチュアプレイヤー・競技団体と
児童養護施設の、ビリヤードを介した
支援と交流の10年でもあります。
こばと学園・副園長の山本さんと、
JAPA大島知幸事務局長のお二人より、
それぞれお話を聞かせていただきました。
…………
こばと学園・副園長山本さん・談：
「当園の卒園生である上村宏司さんとJAPA様からご招待いただいて、毎年当園の子供たちは、『和歌山ビッグホエール』で行われている『都道府県対抗』の見学とビリヤード体験にうかがわせていただいています。引率できる人数に限りがあり、毎回10名弱となっていますが、子供たちがとても楽しみにしているイベントです。
今回は初めて大阪のビリヤード場で体験会を開いていただきましたが、子供たちもとても楽しんでいた様子で、会場の『フタバボウル泉大津店』様より漫画本などもいただき、喜んで帰って来ました。
私自身はこれまで5、6回ビッグホエールにうがかわせていただきました。子供たちは毎回それはもう真剣な表情で、ときにはなごやかにビリヤードに熱中しています。また、緊迫感ある試合の様子に触れて、『大会はすごいな』と声を上げています。
子供たちには、出来るだけ様々な体験をさせてあげたいというのが我々の願いです。その中で、普段なかなか触れる機会のないビリヤードを体験させていただいていることは、子供たちにとっては社会性を学ぶ上でも非常に貴重な機会だと考えています。
また、10年という長期間にわたって、JAPA様を始め、ビリヤードに関わっておられる皆様から、このような形でご支援・ご協力をいただき、体験の場が継続的に設けられていることに深く感謝しております。
今年も5月の『都道府県対抗』にご招待いただいており、今から児童たちも楽しみにしております。今回当園からJAPA様には感謝状をお渡ししたいと考えております。長年に渡るご支援、本当にありがとうございます」
…………
JAPA大島知幸事務局長・談：
「この10年、『都道府県対抗』の会場に7フィートテーブルを設置し、こばと学園の児童を招待して、ビリヤードを体験してもらっています。
卒園生である上村宏司さんからの依頼がきっかけでした。当時上村さんはWRC（和歌山ローテーションクラブ）の理事長で、私も色々な面でサポートしていただきました。
こばと学園へ『訪問ビリヤード』という形で、テーブルも持って川端聡プロ・中野正美プロ（ともにJPBA）と一緒に訪れたこともあります。
以前から上村さんと、『児童たちに競技サイズ（9フィート）のテーブルでビリヤードをさせてあげたい』という話をしていたのですが、今回はそれが実現した格好です。
フタバボウルの横田さん、グランブルーの高頭さんなど、皆が『上村さんの熱意に賛同した』と口を揃え、『ただビリヤードをしているだけではなく、役に立てる事があるなら』『趣味で社会の役に立てる事が嬉しい』とおっしゃっていました。それは私も全く同じ気持ちです。
こばと学園で養護されている児童たちは、何らかの理由で親と一緒に暮らせない子供たちです。上村さんは『学園はここまで育ててくれた親。親孝行するような気持ちなんです』と言います。皆、その思いに賛同して動いてくださるのだと思います。JAPAは、そのお手伝いを少しさせていただいているだけです。
児童達は今回も本当に最初から最後までビリヤードに夢中でした。『特に小学生は夢中になる』ということを今までの経験から知ってはいたのですが、今回の児童たちは想像以上に没頭していて、学園の先生も驚いていました。別れる時に児童たちが見せてくれた笑顔で、本当に楽しんでもらえたんだなぁと安心しました。
ビリヤードには、子供たちを夢中にさせる要素があることは間違いないと思います。ただ、今は他にもスポーツや娯楽はたくさんあります。ですので、受け身の気持ちではなく、自らが熱意をもって、ビリヤードの娯楽としての楽しさ・スポーツとしての楽しさを次世代に伝えられるような企画・運営をしていける団体になれるよう、JAPAはさらに努力していかなければいけないと改めて感じました。
最後になりますが、『フタバボウル泉大津店』さんと『グランブルーサークル』さんという、同じ志を持った方々とこのイベントに参加させて頂きましたことに感謝しております」
（了）
