2011年9ボール世界チャンピオン、
赤狩山幸男(JPBA)。
既報の通り、赤狩山プロは、
今年1月からPREDATOR(プレデター)の
最新ブレイクキュー、
『BK RUSH』を使っています
(※ブレイクキューのみの使用契約です)。
使い始めて約半年が経過した6月半ば、
その使用感や、赤狩山プロ自身の
実戦的なセッティング・使い方について
改めて聞いてみました。
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語り手:赤狩山幸男プロ
聞き手:BD
取材場所:バグース池袋店
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↑ BK RUSHノーラップタイプを使用
(グリップ部には自分でゴムを巻いている)。
左側はウェイトカートリッジキット
――そもそも『BK RUSH』の使用動機とは何だったのでしょうか?
「ブレイク時の『トビ』(左右の撞点を撞いた時に発生する横ズレ)を少なくしたいなと思っていました。現在、9ボールではヒネって割るのが主流になってきていますが、それがBK RUSHならよりやりやすくなるんじゃないかと考えてのことです」
――真っ黒なシャフト(REVO)に真っ黒なバット。違和感はなかったですか?
「使う前は『どうなんだろう』と思ったんですけど、自分でも意外なことに全然気にならなかったです」
――バットは「ノーラップタイプ」ですが、半透明のゴムグリップを巻いていますね。
「僕は手が大きいのでバットは太めの方が使いやすいのですが、ノーラップタイプにゴムを巻くとちょうど良い握り心地になります」
――キューの重量バランスは?
「完全なノーマルの状態(ウェイトボルトなし)だと重さが18 oz(オンス)ぐらいなので、それはさすがに軽すぎます。ウェイトカートリッジキットを使って色々と試しながらやってきて、今はそんなに違和感ないバランス感覚で振れてるかな。9ボールの時は19.3 ozにして、10ボールの時は20 oz弱にしています」
――カーボン製のREVOシャフトの打感とは?
「やっぱり普通の木のシャフトに比べると硬さは感じましたね。実際、硬めは硬めなんだろうと思いますし、BK RUSHはバットもしっかりしているのでそう感じるのかもしれません。かといって、ブレイク時に違和感を覚えるほどではありません」
――性能面はいかがでしょうか?
「総合的に非常にバランスの良いブレイクキューですね。手球には必要十分なパワーが乗り、先球もしっかり転がってくれて、かつ、手球のコントロールがしやすい。飛び抜けてパワーがあるという風には思いませんが、トーナメントプレイヤー向けの総合的な使いやすさを感じています」
――もともと求めていた「トビの低減」に関しては?
「減りました。やっぱりヒネりながらラックの(1番の)狙った所に正確に当てるというのは難しいことで、普通はトビが出ますし、その分厚みはズレやすくなります。そこは多くのプロ達が調整に時間をかけているところだと思いますが、BK RUSHはだいぶトビが少ないので、さほど見越しを取らずにほぼそのまま割れる感覚です。このトビの少なさ、直進性の高さは実戦向きだと思います」
――先程、9ボールと10ボールでキュー重量を変えているという話が出ました。つまり、種目に応じて打ち方を変えているのですか?
「はい。9ボールではパワーをだいぶ落として手球をしっかりヒネって割っていますが、的球の動きと手球のコントロール性の兼ね合いがちょうど良い重量バランスを探りながらやってきた結果、19.3ozに落ち着きました。僕の場合、レール際に手球を置いて割る場合と、レールから少し離れた所に手球を置いて割る場合の2パターンあり、さらにキュースピードを変えてその時のベストな打ち方を探っていますが、BK RUSHは意図したことがすぐに出来るキューだと思います」
――10ボールの時は重いセッティングにするんですね。
「はい。10ボールのブレイクは大まかに2つの考え方があると思います。キュー自体を重くして、キュースピードは抑え気味にして、キューそのもののパワーで割るブレイクと、キュースピードを上げて割るブレイクと。僕自身はBK RUSHでは前者の割り方が合っていると思います」
――まとめると、使い手の意志を反映させやすい、トーナメントプレイヤー向きのブレイクキューという評価でしょうか?
「僕はそう感じています。総合的なバランスの良さと、重量バランスの調整のしやすさ。その2点がBK RUSHの大きな特徴だと思います。今は、種目・コンディション・ラックなどによってブレイクの打ち方自体を変えざるを得ない場面が結構ありますが、そんな時にやりたい割り方がすぐに出来るハイレベルなブレイクキューです。これは何も実戦に限った話ではありません。自分のブレイクをもっと研究し、もっと高めたい人にとっても非常に良いキューだと思います」
(了)