〈BD〉「あの展開にしちゃったのは100%自分のせい」――ジャパンオープン準優勝・大井直幸の談話

 

先週末の『ジャパンオープン』で、

2年連続の準優勝となった

大井直幸プロの談話です。

 

敗れはしましたが、

ファイナルは大会屈指の好ゲーム。

あれだけの内容を撞いていて、

それでも勝てないのかと思った方も

多いのではないかと思います。

 

勝ったコルテッザを讃えるしかないですが、

差があったとすれば勝負のどこに表れていたのか。

 

試合後、ドーピング検査の合間に話を聞きました。

 

…………

 

――今の心境を。

 

「ドーピング検査が上手く行かなくて

困ってます(笑)。

 

それは冗談として、

 

去年よりも『勝つ』『勝てる』と

思って撞いてたんでね……」

 

――そう思わせるだけの気迫と内容でした。

 

「内容はまあ、まだまだぬるいところも

あったと思いますけどね。

 

僕は今までいつも最後の最後で

気持ちで負けてきてるから。

そこはちょっとマシになったとは思う。

 

今日ぐらいの気持ちで撞けるのが

ワールドスタンダードだろうしね。

海外の人達は最初っから、

それこそ技術がない頃から

ああいう気持ちでやってると思うし。

 

僕も最近は『勝つ』という気で臨んでいて、

それは今大会もずっと出来ていたと思う。

 

ただ、それでもまだ、

トーナメント全体というか、

今日の4試合で考えた時には

足らなかったのかもしれない。

 

それが決勝戦のあの展開に繋がったんだと思う」

 

――4試合トータルの気持ちの作り方ですか?

 

「そうね。ファイナルの時の気持ちを

朝イチから持てていたら、

ファイナルの結果も違ったかなと。

 

悔やむとすると、特定のショットというよりは

そっちの方ですね。

 

一日中強い気持ちを

持ち続けてなきゃいけないんだけど、

実際は朝からずっとそう出来ていた訳じゃない。

 

それでも展開に助けられたりして

勝ち上がって行けてたところがあって、

それで最後の最後に海外トップクラスと

当たるとああなってしまうと。

 

ひょっとして朝イチ(ベスト16)に

コルテッザと当たっていたら、

朝から徹底的に気持ちを追い込めて、

彼に勝てていたのかもしれないし。

 

そういう意味では、僕の方が、

ファイナルに入る前の心の準備が

あまり出来てなかった気もします。

 

ファイナルに入った瞬間の

互いの心の内を見ると、

僕の方がほんのちょっとだけ

気が引けてたかもしれないね。

 

いや、今までよりは全然引けてないんだけど、

それでもまだちょっと引けてるところがある。

 

今冷静になってから思うと、

そこが敗因だったかもしれないです」

 

――ファイナルは6-2までリードしました。

そこで気持ちを緩めてしまった訳ではなく。

 

「うん。全く緩めてはないけど、

実際はちょっと緩んでたのかもしれない。

 

っていうのも、

ああいう流れで勝てた試合があるから。

 

実際、より大きい大会とかでは

あそこからでも負けてるんだけど、

それを思い出すのが遅かったというか。

緩んでたから忘れていたというか。

 

あの展開にしちゃったのは

やっぱり100%自分のせいなんですよ。

 

あと、コルテッザにはよく負けてるんで。

 

海外で結構撞いてて、

いつもヒルヒルまで行って負けてる(苦笑)」

 

――そこは気持ちだけではなく、

技術や判断の違いもあるのでしょうか?

 

「今回、ショットの判断については、

もちろんダメだったかなと思うものはありますよ。

 

終わってから皆と喋ったけど、

結局あの時の自分にイメージ出来た

ものしか選べないから、

後からの話は全てタラレバになるよね。

 

例えば最後の1番も、ああなる可能性

(1番が穴前に残って相手に攻められる可能性)が

あるというのを、今の僕には

あの一瞬では判断出来てない。

 

でも、彼らワールドトップ達は

それが出来るのかもしれない。

彼らの方が経験を積んでいて、

失敗もしながら覚えてるだろうから。

 

だからそれを僕もやらなければいけないけど、

一体じゃああと何回……

いや、何回じゃ済まないのか……

という気持ちにはなるよね。

 

もう結果出さなアカンところに来てると思うから、

それはちょっと腹が立つことでもある」

 

――それでもやらないといけない。

 

「そう。そして、結果で示すしかないよね。

 

もう結果しか求められてないと思うし、

今日なんて勝つしかなかったから。

 

今まで以上に結果が期待されているのも

よくわかってます。

 

(ジャパンオープンなどのビッグゲームで)

1回勝てば、そこまでの長い過程は、

皆忘れてくれると思うけど、

 

それが勝てないから僕もこれだけ長く

練習したり、海外に出たりしながら、

経験を蓄えようとする訳で。

 

今はもうこれをやり続けるしかないかな」

 

(了)

 

 

Naoyuki Oi

JPBA40期生

1983年1月10日生 東京都出身

JPBA年間ランキング1位・5回('06年、'12年、'14年、’15年、’17年)

2012年『ナインボール世界選手権』3位

『全日本選手権』準優勝1回

『ジャパンオープン』準優勝2回

『関西オープン』優勝1回

『全日本ローテーション』優勝3回

『北陸オープン』優勝5回

『北海道オープン』優勝3回

『東海ナインボールグランプリ』優勝3回

『グランプリイースト』(GPE)優勝3回

『グランプリウエスト』(GPW)では通算16勝

『ワールドカップオブプール』3位・2回

2017『ワールドゲームズ・ヴロツワフ大会』銅メダル

2017『USオープン』5-6位

他、優勝・入賞多数

使用プレーキューはEXCEED

使用グローブ&キューケースはOWL

使用タップは斬(ZAN)

FLANNEL、スワッグスポーツ所属 

 

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※女子準優勝・梶谷景美プロの談話はこちら
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