『ジャパンオープン』をまだ引っ張りますが、
優勝したL・V・コルテッザについてです。
近年は、ビリヤード強国フィリピンの
中堅~若手選手も、
かっちりとしたストロークで、
セオリー重視の取り方をする
高アベレージ型のプレイヤーが
増えている印象があります。
C・ビアド、J・チュアなど。
D・オルコロもそちらでしょうか。
一方で、コルテッザはファンタジスタタイプと
言って良いでしょう。
E・レイズを思わせるところもあります。
BDは個人的に好きなプレイヤーなので、
会場でも映像でもよく目が行きますが、
派手な球や「今何した?」という球が
他プレイヤーより多い印象です。
「なんでそう撞いた?」と思うことも。
技術的に秀でていて多彩なのはたしかですが、
勝負どころで難しいオフェンスショットを
あえて選んで成功させ、一発で流れを変えたり、
会場を味方に付けたり、相手に圧を与えたり……
という計算まで頭にあるのかもしれません。
とすれば、それは勝負師的な嗅覚の為せる業でしょう。
……というのはこちらの勝手な解釈で、
単純に本人がそういうプレーが好きなのかも
しれませんし、強気の選択を重ねることが、
彼にとってはプレッシャーを感じにくい
戦い方なのかもしれません。
それ(強気のショット選択と実践)が
失敗しているシーンも度々見ていますが、
バチッとハマれば様々な面で
優位に立てる戦い方だと思います。
……ということで、
ジャパンオープンの決勝戦(vs 大井直幸)の
終盤から。
コルテッザが6-7ビハインドで迎えた第14ラック。
マスワリの途中の5番からです。↓
5番が微妙なフリになったようで、
初めはまず逆押しの撞点で構えていましたが、
選んだのは順下4クッション回し。
どよめく会場。
スクラッチもないではないコースを走ってますが、
本人は全く意に介してない様子。
からの……6番を入れて、
遠くなった7番は逆をヒネッた殺し球。
でも、さすがにあまり上手く殺せず、
手球が転がってしまい、9番は遠く薄くなります。
ここで首を傾げて舌を出すコルテッザ。
しかし、あまり時間を使うこともなく、
9番カットからの4クッション出し。
相手(大井プロ)はリーチをかけているので、
1発でもミスったらおしまいなのですが、
畳み掛けるようなオフェンスでした。
これでヒルヒル(7-7)に。
…………
もう一つは最終ラックから。
コルテッザのブレイクは力んだのかノーイン。
大井プロは1番でセーフティ。
手球は2、3、6番あたりのボールで
隠せましたが、1番は穴前に。
大井プロ、お手上げポーズ。という場面。↓
コルテッザ、ジャンプで1番をイン。
それは予想出来ることですが、
この直後の2番(テーブル左側の、
3番に重なるような場所にあります)が
非常に厄介。
入れるのも難しく、3番に出すのも難しい。
……のですが、しっかりと成功。
手球を6番に当てて止めてます。
あれ以上、前に転がっても
後ろに引けてもダメ。
撞点は下。完璧なスピードコントロールでした。
ショット直後、表情を変えることもありません。
ちょうど日本の男女トッププロ数名と
一緒に見ていたのですが、
皆「うわ…………」。
このままコルテッザが取り切って優勝。
半端ない逆転勝利でした。
しかし、序盤~中盤は、
コルテッザに勝るとも劣らないショット力と迫力で、
大井プロが走っていました。
決勝戦がベストバウト。
これを生で見られた方は幸運だと思います。
…………
※ジャパンオープンの経過や結果は公式サイトにて
https://billi-walker.jp/jpba/japanopen/2018
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