発売開始からの2年強で、
世界的に急速にユーザーを増やしている
カーボンファイバー製シャフトの
そのREVOを始めとして
様々なハイスペックシャフトや、
それらのシャフトを標準装備した
キューを製作している
『PREDATOR』(プレデター)。
四半世紀前に『314』シャフトを
世に送り出したその時から、
同社はいわゆる「ハイテクシャフト」の
先駆け的メーカーとしても知られています。
プレデターの現行の
シャフトラインナップは、
REVO(レボ)
Vantage(バンテージ)
Z-3(ゼットスリー)
314-3(サンイチヨンスリー)
……という4種。
それぞれどんな性能を備え、
他とはどんな違いがあるのか。
同社公式サイトでは、
「シャフト比較」というページが設けられ、
10項目のチャートがあるので、
特徴を掴むことが出来ます。
これがシャフト選びの一助に
なることは間違いありません。
……が、
実際に使っているプレイヤーの
感想も知りたいところ。
……ということで、今回、
プレデター契約プロである
原口俊行プロに、4種全てのシャフトを
1週間使っていただき、
公式チャートを引き合いに出す形で、
自身の印象・感想を語っていただきました。
プレデターシャフト選びの
参考になれば幸いです。
…………
原口プロが普段使用しているシャフトは
REVOの「12.4」。
その前は、2000年頃から、
『314』、『314-2』、『Vantage』、
『REVO 12.9』と、プレデターの
シャフトを使い続けてきています。
今回、原口プロは
自身のマイキューである『P3』の
バット(ジョイントはユニロック)に、
REVO 12.4(細めの方)
REVO 12.9(太めの方)
Vantage
Z-3
314-3
という5つのシャフトを付け替えながら、
セット球(決まった配置)を撞いたり、
ゲーム(相撞き)をしたりと、
1週間しっかり撞き込んでくれました。
その結果見えてきた、
シャフトごとの特徴とは……?
…………
語り手:原口俊行プロ
聞き手:BD
…………
【手球の精度】(ショットスピードが速い場合)
公式サイト:
REVO 10
Vantage 9
Z-3 7
314-3 6
原口採点:
REVO(12.4) 9
REVO(12.9) 9
Vantage 7.5
Z-3 10
314-3 8
――試打、お疲れさまでした。公式サイトの「シャフト比較」を参考にしつつ、原口プロなりの評価をお聞きします。まずは【手球の精度】(ショットスピードが速い場合)。これを「トビの少なさ」(ヒネッた時の横ズレの少なさ)と解釈して進めたいと思います。
原口:僕もそう解釈しているのですが、この項目は、公式チャートと僕の印象は異なります。公式チャートでのNo.1はREVOですが、僕の中ではZ-3です。ショットスピードが速い時も遅い時も、Z-3がダントツにトビが少ないと思います。昔から木のシャフトでトビを見越して撞くということを当たり前にやってきた人がZ-3を使うと、トビが出なさすぎてヒネッた側に曲がって行くように感じられるかもしれません。
――なるほど、そこまででしたか。
原口:まさに僕がそんな一人で、一つの配置をシャフトを変えつつ、ヒネりながら何度も撞きましたけど、他のシャフトでは普通に入れられる球でも、Z-3はトビが出なさすぎて的球を外してしまうことがありました(笑)。ということで、僕の感覚ではZ-3が「10」で、次にREVOが12.4と12.9の2本とも「9」。Vantageと314-3は同じぐらいだと思いますが、314-3が「8」で、Vantageがちょっと下で「7.5」ですかね。
…………
【手球の精度】(ショットスピードが遅い場合)
公式サイト:
REVO 10
Vantage 7
Z-3 9
314-3 6
原口採点:
REVO(12.4) 10
REVO(12.9) 9
Vantage 7~8
Z-3 10
314-3 7~8
――同じく【手球の精度】について、遅いショットスピードの場合はどうでしょうか?
原口:これもZ-3が一番少ないと思います。REVOは、12.4の方はZ-3に匹敵するレベルだと思うので「10」に。12.9はそれよりはトビが出ると感じたので「9」に。ゆっくり撞いた時の方が、テーパー(太さ)によるトビの量の差が出て来ると思います。僕個人は、以前は12.9を使わせていただいていましたが、12.4の方がスピン量によるトビ具合の変化がイメージしやすいので、12.4に移りました。個人的には12.4の方がトビを見越しやすく、厚みを合わせやすいです。そして、Vantageと314-3はほぼ一緒で「7~8」ぐらいでしょう。
――Z-3は、速いスピードでも遅いスピードでもトビがかなり少ないんですね。
原口:少なかったですね。考えようによっては、ビリヤードを始めたばかりでトビという概念をよく知らない人がヒネリを覚えるなら、Z-3が一番使いやすいとも言えます。トビを見越すということを意識せず、厚みそのままを狙ってヒネッて撞けるから。
…………
【手球に与えるスピン量】(ショットスピードが速い場合)
公式サイト:
REVO 10
Vantage 9
Z-3 7
314-3 7
原口採点:
REVO(12.4) 10
REVO(12.9) 10
Vantage 8
Z-3 10
314-3 8
――続いて、【手球に与えるスピン量】(ショットスピードが速い場合)です。これを「スピンのかけやすさ・乗りやすさ」と解釈します。
原口:たぶんこの項目は、メーカーは機械で測定しているんじゃないかと思います。人間ではどうしても撞くのも測るのも機械みたい正確には出来ないのでとても難しいですが、あくまで僕の感覚では、REVOの2つとZ-3が一番スピンがかけやすいと思います。Vantageと314-3は、撞いた感じでは同じ程度でした。それでも十分にスピンは乗ります。
…………
【手球に与えるスピン量】(ショットスピードが遅い場合)
公式サイト:
REVO 10
Vantage 7
Z-3 9
314-3 7
原口採点:
REVO(12.4) 10
REVO(12.9) 9
Vantage 8
Z-3 10
314-3 8
――遅いショットスピードではどうでしょうか?
原口:Z-3が一番スピンが乗りますね。REVOは、12.4の方はZ-3と同じぐらいスピンが乗るので「10」。12.9はちょっと下がって「9」かなと思います。そして、Vantageと314-3はここでもほとんど同じ感覚でしたね。「8」で並んでます。REVOは速いショットスピードだと、トビの出方もスピン量も12.4と12.9でほとんど差がないですけど、遅いスピードだと人間にもわかるぐらいの違いがあると思います。
――ここまでのところZ-3が高評価連発です。
原口:ですよね。僕はZ-3を初めてちゃんと使ってみて驚くことが多かったです。でも、Z-3には苦手な分野があるんです。
――わかりました。続きは次回、よろしくお願いします。
(了)
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