『PREDATOR』(プレデター)社の、
REVO(レボ)
Vantage(バンテージ)
Z-3(ゼットスリー)
314-3(サンイチヨンスリー)
……という4種の
「ハイテクシャフト」の違いを、
契約プロである原口俊行プロの
インプレッションという形でお伝えする企画。
その後編をお届けします。
※前編はこちら
ページを引き合いに出しながら、
原口俊行プロに語っていただきます。
※REVOはテーパー(太さ)が、
12.4と12.9の2種ありますので、
原口プロには分けて語っていただきました。
…………
語り手:原口俊行プロ
聞き手:BD
…………
【エネルギー伝達効率】
公式サイト:
REVO 10
Vantage 8
Z-3 5
314-3 7
原口採点:
REVO(12.4) 9
REVO(12.9) 10
Vantage 9
Z-3 5
314-3 8
――それでは前回の続きです。公式チャートの5番目はスキップして、6番目の【エネルギー伝達効率】。これは「パワー」という解釈で進めます。手球を前に押し出す推進力と言えるでしょうか。
原口:その解釈で良いと思います。これはREVOの12.9が明らかに一番ですね。たぶん誰が撞いてもそう思うんじゃないでしょうか。次に来るのがREVO12.4とVantageで「9」。続いて314-3は、僕は公式チャートよりは1点上の「8」。そして、Z-3が苦手なのはここだと思うんですが、パワーがありません。全体的に細く、先端部が軽い構造のためか、スピンはクッとかかるんですけど、パワーはどうしても限界があります。チャートと同じで「5」です。
――Z-3がパワー感に乏しいことは、試打していてすぐに感じましたか?
原口:はい。僕は普段REVOを使っているから、余計にそう感じたのもあると思います。例えば、押し球でラン(転がる距離)を出したい時に、REVOとはだいぶ差が出るはずです。引き球の距離は撞き方とかスピンの乗せ方という要素もあるから一概に言えないですけど、少なくとも上の撞点で単純にポーンと撞いた時の手球の走る距離は結構違います。Z-3でラン(転がる距離)を出したいなら、自分のストロークパワーでカバーする必要があるでしょうね。
…………
【ショット時に感じるシャフトの硬さ】
公式サイト:
REVO 10
Vantage 8
Z-3 5
314-3 7
原口採点:
REVO(12.4) 9
REVO(12.9) 10
Vantage 8
Z-3 5
314-3 6
――公式チャートの7番目は【ショット時に感じるシャフトの硬さ】です。これは5番目の【シャフトの剛性】と似たことを言っているかなと思いますので、一つにまとめます。
原口:たぶん「打感の硬さ」ですよね。「しなりの量の少なさ」とも解釈出来るかなと思ったので、そこにも意識を向けてテストしてみました。結果、自分の印象はチャートと同じようなものでした。一番打感が硬く感じたのはREVO 12.9。続いて、REVO 12.4とVantageは手に伝わってくる硬さは同じぐらいでした。でも、REVOは木ではなく、見た目が真っ黒で、音が高いせいか、より硬く感じやすいと思います。なので、REVO 12.4を「9」に、Vantageを「8」にします。314-3はVantageよりは柔らかく、Z-3よりは硬い。僕は314はもともと結構しなりがあるシャフトシリーズだと思っていて、先端の方だけでなく全体的にしなる印象を持っています。ということで、公式チャートの1点下の「6」に。Z-3はその細さからも想像が付きますが、プレデターのシャフトの中では一番柔らかいシャフトで、特に先端の方がよくしなる感じです。チャートと同じく「5」です。
…………
【打感の感じやすさ】
公式サイト:
REVO 8
Vantage 7
Z-3 8
314-3 9
原口採点:
REVO(12.4) 8
REVO(12.9) 7
Vantage 7
Z-3 8
314-3 9~10
――続いて、8番目のチャート、【打感の感じやすさ】について。これは手に伝わってくる感触の良さ、フィールの豊かさという解釈で行きます。
原口:公式チャートでは、314-3が一番高くて「9」ですが、これは僕も頷けるところです。さっきも言ったように、314シリーズは一番しなるシャフトで、そのためショット時に手に伝わってくる感触は他のシャフトより多いです。バット側までしなってくれているような感覚になることもあります。たぶん公式チャートでも314-3のそんな性質を考慮して「9」にしてるのかなと思います。その次に、REVO 12.4とZ-3が「8」で並んで、さらに、REVO 12.9とVantageが「7」で並ぶかなと思います。
――ありがとうございます。公式チャートの9番目【テーパーの加工精度】と10番目【耐久性】は、プレイヤーには判断しかねる部分かと思いますので、ここまでにします。
原口:そうですね。そこは僕もなんとも言えないです。ただ、耐久性については、REVOはカーボンファイバー製なので当然木より上であってほしいですね。REVO以外の耐久性の評価は木の太さ順になっているのかなと思います。
…………
――最後に、シャフトごとに原口プロの総評をいただけますか?
原口:わかりました。Z-3から行きましょうか。Z-3はスピンがかけやすく、トビがほとんど出ないシャフト。一方で、特にゆっくり撞いた時や軽く転がした時のパワー感に欠ける印象です。なので、重い(ボールが走りづらい)コンディションのテーブルで撞く場合や、力のない女性には向いていないような気もします。シャフトのパワー不足を自分のストロークパワーで補えるような人向けかなと。その逆の性格なのがVantageですね。
――Vantageについて、お願いします。
原口:パワーがあり、軽く撞いてもしっかり走ってくれる。重いテーブルでも苦にならない印象です。女性でも楽に撞けるんじゃないでしょうか。その代り、色々なスピンを使って細かくコントロールしていくというより、中心付近の撞点で動かすようなスタイルの人の方が向いている気がします。
――では、314-3は?
原口:とてもバランスが取れているシャフト。スピンが乗せやすく、トビは少なめで、パワーも十分。オールマイティに使えるんじゃないかなと思いました。25年前から続いているシリーズですし、性別・レベル・スタイル問わず選んでもらえるシャフトじゃないかと思います。
――最後に、REVOは?
原口:プレデターの全シャフトのいいとこどりのシャフト。12.9はVantageよりもパワーがあってスピンが効くシャフトという感じで、例えるなら「Vantage + 314-3」みたいな性質です。ただ、パワーが先に立つというか、パワー感がかなりあるので、そこをどう捉えるかでしょう。12.4の方はZ-3の強化版というか、「Z-3と314-3の良い所を取って、パワーアップさせた感じ」でしょうか。どちらにしても、この値段(6万円強)を出すだけの性能はあると思います。
――12.4と12.9の性質を「完全に一緒」と表現するのは難しそうですね。
原口:たぶん両方使ったことがある人なら、違いがあると感じていると思います。それが顕著に出るのが、【手球に与えるスピン量】(ショットスピードが遅い場合)ですね。12.4の方が、ショットスピードを遅くした時にもスピンがよく乗ります。Z-3シャフトと同じぐらいに。先日、関東の上手なレボユーザーのアマチュア選手と試合で当たったんですが、試合後にまさにこの話になって、「ですよね!」と意気投合しました(笑)。
――約1週間の撞き込み、ありがとうございました。
原口:普段まずやらないようなことなので、僕も楽しんでやらせていただきました。集中的に撞き込むことで、シャフトごとのキャラクターの違いをだいぶ感じ取れましたし、全体的に見ると、REVOの優秀さが感じられるテスト期間だったかなと思います。シャフトを選ぶ時は、やっぱり試打が出来る環境で複数撞き比べて選ぶのが失敗の少ない方法だと思います。でも、それが出来る人ばかりではないと思いますので、今回の記事が少しでも参考になれば嬉しいです。
(了)