日本を始めとして世界各国で
競技プレイヤー層を中心に強い支持を
得ているハイクオリティ積層タップ、
『斬』(ZAN)。
多くの日本のプロプレイヤーも
斬タップを使っていますが、
今回は、「斬タップという形で
世に出る前から使っている」という
日本女子トッププロの
河原千尋プロにご登場いただき、
タップに求める性能・性質や、
斬タップの使用歴などをうかがいました。
…………
語り手:河原千尋プロ
聞き手:BD
――いつから斬タップを使っていますか?
「8年ぐらい前です。初期の初期、一般販売を始める1、2年前だったと思います。少なくとも『斬タップ』として世に出る前のものから使っています」
――斬タップ代表の湯山功プロとは以前から面識はありましたか?
「いや、なかったです。共通の知人から湯山さんのタップを紹介され、その時は特にこれと決めているタップはなかったので、使わせていただくことになりました。その後『斬タップ』として一般販売されることになり、それに際してプロスタッフになりました」
――現在は『ハイブリッドマックス』を使っているとのこと。どのぐらいの頻度でタップを替えていますか? 交換は自分で?
「1年に1、2回ですかね。交換は自分でやってます」
――普段のメンテナンスは?
「R(天面の丸み)がなくなってきたらRを付けるぐらいです。あと、ほとんど横(側面)は膨らんでこないですけど、出てきたら削ってます」
――河原プロがタップ選びで重要視することは何ですか?
「まずは打感と音です。性能が良いタップでも、そこがしっくりこないと使わないです。それと、メーカーとしては初めから高い性能を発揮するように製作しているのはわかっていますので、これは私の好みなのですが、私の場合は打感にしても音にしても、初めから締まった感じのものを使うというよりは、自分で撞いて撞いて育てていく方が性に合っています。2、3ヶ月では育たない感じがするので、半年ぐらいかけて育てています」
――半年ぐらいというのは、プロの中でも長く使う方だと思います。
「私はたまにRを整えるぐらいでほとんど削らないので、持ちが良いというのもあると思います。1年ぐらい付けていたこともあります。でも、斬タップはもともと長持ちするタップだと感じています。この耐久性の高さはありがたいです」
――タップに求める性能・性質とは?
「まず、自分の出したパワーをロスなく手球に伝えてくれること。その上で、しっかりとした反発力がありつつ、そんなに硬くない打感のタップが私には合っています。斬タップだと『M』がそれにあたりますが、Mは付けたばかりの厚い状態だと、私の感覚では少し柔らかい感じがして、その分ちょっとパワーが吸収されているかなという気もします。Mが少し締まってくると、打感も良いし、反発力が大きくなってきて、とても良い状態になってくる印象です。Mのその良い状態の性能と打感を初めから備えているのがハイブリッドマックスというふうに私は捉えています」
――河原プロは女性プレイヤーの中でもストロークパワーがある方だと思いますが、それでも男性との差は感じますか?
「ものすごく感じてます。それは明白というか、どうやっても追い付けないものがあると思っています。なので、タップやキューという道具で少しでもカバー出来たらと思います。実際、斬タップは反発力が高いので、重たいコンディションのテーブルで撞く時も、手球がしっかり動いてくれるのでかなり助かっています。特にハイブリッドマックスは重いテーブルでもパワーとキレを出しやすい印象ですね」
――今はハイブリッドマックスですが、それまでは?
「一通り使ったり、試したことがあります。初期は『M』か『H』だったはずです。斬タップの前は『モーリ Q』を使っていたので、それに近いものをということで、MかHにしました。その後、海外の試合によく行くようになり、一時期『S』になりました」
――海外の試合のために『S』を選択。それはなぜですか?
「海外のテーブルコンディションは速くて滑りやすいので、反発力に優れているMやHだと、技術もコンディション対応力も足りてなかった当時の私には手球のコントロールが難しかったからです。そして、海外の選手を見てみると、柔らかいタップを使ってる人が大半でした。その方がキューを突っ込みながらでも、回転をコントロールしやすいのかなと。実際に、SとかSSとかの柔らかいタップが付いているキューで撞かせてもらったら、そんなに悪い感触ではなかったんで、私も斬のSを使ってみようかなと。それが5年以上前ですかね。まだタップによる性能の違いまではよくわかってなくて、感触重視だったと思います」
――その後は?
「Sを使っている時に湯山さんと一緒にお仕事をする機会があって、その流れで湯山さんのレッスンも受けるようになり、そこからタップの知識が少しずつ蓄えられていきました。並行して自分の技術も上がって行くなかで、タップの硬度や性質による手球の動きの違いというのが徐々に自分でもわかるようになり、改めてS以外の斬タップを一通り使ってみたりもして。Mから順番に硬度を上げて行って、『グリップハード』まで使いました。その時はMが自分に合っているということで、Mを使うようになりました」
――それからハイブリッドマックスに?
「そうです。性能的にはMが合っていたんですけど、感触的には、2、3枚層が削れてきてちょっと硬くなってきたぐらいがベストかなというふうに感じてました。そうしたら、湯山さんから『それならハイブリッドマックスにすると良いよ』と言われまして。湯山さんも普段ハイブリッドマックスを使っているので、試させてもらったら、感触的にもすごく良かったので私も変更しました。ハイブリッドマックスに落ち着いて2年ぐらい経つと思います」
――斬タップを使って約8年。全幅の信頼を寄せているようですね。
「はい、いつも安心して撞いています。今後も斬タップを使い続けて、斬タップで結果を出して行くのが一番の恩返しだなと思っているので、斬タップで世界チャンピオンを獲りたいです」
(了)