先週末、世界のあちこちで
トーナメントが行われていました。
そこでドラマチックなゲームや
興味深いトピックが多くありましたので、
ここでまとめます。
特にカシドコスタスとモラが、
反対の腕(左腕)でトップレベルまで
復活したことに驚きました。
しかもたまたま同じ時期に2人揃って。
…………
■ F・カシドコスタス、
左利きにスイッチしてカムバック。
3Cワールドカップで2位に。
先週、韓国ソウルで行われていた
スリークッションの
『ワールドカップ ソウル戦』。
日本選手も多数出場していた本大会を
制したのは、優勝候補の一人、
ベルギーのE・メルクス(ベルギー)でした。
注目したいのはそのファイナルの相手、
F・カシドコスタス(ギリシャ)です。
2009年の3C世界チャンピオンでもある
カシドコスタスは、
長年肩の神経痛に悩まされ、
右腕の震えが収まらず、
一度はキューを置きました。
が、2年ほど前からキューを
左腕に持ち替えて再出発し、
1年前から競技の最前線に復帰。
今年1月の『ギリシャグランプリ第2戦』
での優勝を経て、
10月の『世界選手権』に参加し、17位タイ。
そして、今回この、出場者のレベル的には
『世界選手権』以上とも言われる
『ワールドカップ ソウル戦』で、
ファイナリストになりました。
ファイナルではあまり当てられず、
(19-40 19 inn)で敗退しましたが、
大会アベレージは2.057。
右腕時代と遜色ないレベルにあると
言って良いのではないでしょうか。
※Kozoom記事(英語)はこちら
BDは4年前に
日本の試合(『ヤマニカップ』)で
カシドコスタスを見たことがあるのですが、
構えに入ると右腕が揺れていて、
それが収まらないまま撞き続けていた
ことを思い出します
(それでもよく当てていましたが)。
現在35歳と、欧州のトップ
キャロムプレイヤーたちの中では
だいぶ若手に入るカシドコスタス。
ジュニア時代から名を馳せていた
“ワンダーボーイ”の第二幕が始まります。
※右利き時代のインタビューはこちら
…………
■ J・モラも
左利きにスイッチしてカムバック。
『カナダ8ボールオープン』優勝
カナダのトッププレイヤー、J・モラ。
昨年1月に一度引退宣言をした理由は、
これだったのかもしれません。
もともと右利きでしたが、
今年から左利きにスイッチ。
原因は首の痛みだとのこと
(※別のところでは
「利き目である左目が強すぎるため」
という記述も読みましたが、真偽不明)。
そのモラが、先週行われた
『カナディアンオープン』の
8ボールの部(124名参加・
ダブルイリミネーション)で、
レフティーとして出場し、優勝しました。
この時モラが倒した相手は、
S・バンボーニング、
C・デュエル、
そして、決勝戦でM・イモネンなど、
そうそうたるメンバー。
※トーナメント表はこちら
BDは今年に入って、
彼が左利きでプレーする映像を
なにかで見た記憶があるのですが、
あれはそういうハンデだったのではなく、
ガチだったのか……とわかりました。
現在モラの活動拠点はカナダではなく、
南テキサスなのだとか。
環境も利き腕も変えたモラ。
彼にとって今年は再出発の年になりました。
…………
■ オサリバン、『北アイルランドオープン』
準決勝で信じられない逆転劇
つい昨日、J・トランプの優勝で幕を閉じた
スヌーカーの『北アイルランドオープン』。
トランプに決勝戦で負けて
2位でフィニッシュした
トップスター、R・オサリバン。
彼が準決勝(vs M・セルビー)で見せた、
絶体絶命のピンチからの逆転劇が
神がかっていると話題になりました。
場面は、5-5で迎えた最終第11フレーム。
「ディサイダー」と言います。
下の動画は、1フレーム丸々で19分あるので、
7分50秒頃から、あるいは、
13分頃から見ても良いでしょう。
オサリバンがレッドを
空クッションでポット(シュート)。
そこからのクリアランス。
劇的な結末でした。
セーフティ戦を経て、
セルビー優勢で進んでいたこのフレーム。
セルビーがサイドに狙った
ラストレッドが外れますが、
手球がちょうど隠れてセーフティに。
オサリバンは空クッションで
レッドに当てに行くも、
3度続けてファウル(&ミス)となり、
スコアは38-53から、38-68に。
※スヌーカーのファウルについては
こちらを参照
点差を考えると、オサリバンは
これ以上ファウルを犯すと、
逆転が極めて難しくなる上に、
テーブル上の残り球を全て入れて
やっと逆転というところ。
絶体絶命のピンチとはこのこと。
逆にセルビーは頭のどこかで
勝ったと思ったのではないでしょうか。
しかし、オサリバン、
4度目の空クッションで、
レッドに当てただけでなく、
幸運にもサイドにイン&
ブラウンにポジション。
持ってます。
そこから見事にクリアランス(取り切り)で
70-68でこのフレームを取り、
フレームカウント6-5で
決勝戦進出を決めたのでした。
ちなみにオサリバンは、
今大会でセンチュリーブレイク
(100点以上のラン)を10回出して、
現在はトータル「978回」。
ダントツの1位です。
記念すべき1,000回は、
早ければこれから2、3大会のうちに
達成されるのではないでしょうか。
…………
■ 韓国の趙明優、24点ランを出す。
『ワールドカップ ソウル戦』
最後にスリークッションの話に戻りますが、
カシドコスタスが復活を印象付けた
『ワールドカップ ソウル戦』の
「Q」(クオリファイラウンド)で、
韓国の20歳、趙明優(チョミュンウ)が、
ハイラン24点をマーク。↓
トレードマークの
伸びやかで美しいストロークで
テンポよく撞いています
(5点目はラッキーでしたが)。
3Cが簡単に見えますね。
ハイランのワールドレコードは
「28点」(4人)。
※記録をまとめた記事はこちら。
趙明優ならいずれ更新するかもしれません。
というのも、過去に彼は
練習で「32点」を記録しているからです。
※その記事はこちら
記録更新が出来るだけの実力と、
トップでいられる「時間」が十分にある
趙明優。ぜひ彼の名は覚えてください。