2月中旬の『関東レディースオープン』で
準優勝となった平口結貴プロ。
昨年までは、研究を重ねて身に付けた
独自のコントロールブレイクで
マスワリを量産していました
(※詳しくはこちらの記事にて)。
今年1月からの「ランダムラック」採用に
ともない、ブレイクは変わったのか、
あるいは変わっていないのか。
準決勝の上がりのラック(マスワリ)の
動画を見ながら、質問してみました。↓
――このブレイク、映像で見てみてどうでしょうか?
「自分としては狙い通りに打てています。2番がここに転がって来て、マスワリが狙える配置になったのは運もありましたけど、手球のコントロールは思った通りでした。
以前、BDさんで採り上げていただいたブレイクは、『身体を動かさないで打って、手球を短クッションまで引き戻す』ものでしたよね。これはそれとは撞き方を変えていて、『身体を動かして打って、手球を少し引く』ブレイクです。この日ずっとこの打ち方だった訳ではなくて、パッと閃いて何回かやってみたという感じでしたけど、一応パターンとしては前から持っていたものです」
――なぜ「少し引く」んですか?
「1番に当ててすぐの所(フットスポットとセンターのあいだ辺り)で手球を止めると、手球が的球に蹴られる可能性が高いですよね。それでスクラッチしてしまうのだけは絶対に避けたかったので引いています。特にこの時はヒルヒル(6-6)だったので」
――1番はサイドポケットに入ってますが、これも想定通り?
「はい。この打ち方だと、高い確率で1番はサイドに入るか、フット側の角(つの)に当たります。1番が手前(ヘッド側)の角に当たってフット方向に戻るのは最悪ですけど、自分の感覚では、この打ち方なら手前側の角(つの)には当たらないだろうと思ってます」
――以前採り上げた『身体を動かさないで打って、手球を短クッションまで引き戻す』ブレイクと、この『身体を動かして打って、手球を少し引く』ブレイクでは、撞点やスピードも違うんですか?
「いえ、撞点とスピードはほぼ一緒です。ヒネリも入れてます。身体の動かし方とか撞き方によって、手球を『少し引く』『短クッションまで引く』『長クッションに入れる』というのをコントロールしている感じです。今までは『短クッションまで引く』ブレイクがメインで、だいぶ確立されてきていたんですけど、今後はもっと撞き方のバリエーションを増やしていきたいなと思ってます」
――それは、ランダムラック対策で?
「そうです。やっぱりボールの並び、特に2番の位置に合わせてもっと打ち方を変えられるようにしたいなって思います。『短クッションまで引く』ブレイクは、『2番最後尾』が前提でした。ランダムラック採用が決まって、『大丈夫かなぁ』と不安になったけど、『関西オープン』と『関東オープン』を戦ってみた感じでは、『そこまで大きな違いはないかな』という印象でした。持っているパターンでなんとなく戦えたというか。でも、将来的には、2番の位置に合わせてより幅広い打ち方のバリエーションを持っておいた方がいいなと思ってます」
――このマスワリについても教えてください。配置を見てすぐ『行ける!』と思いましたか?
「おも…………った(笑)。思ったけど、そのままのテンションで行かず、一旦落としました」
――どういうことでしょうか?
「この日会場には、コーチ(鳴海大蔵プロ)とマネージャーだけじゃなくて、1月からお願いしているメンタルトレーナーさんもいたんです。そして、チーム内で2つ約束があったので、私はそれだけを守ることに集中しようと。たとえこの配置が取り切れたとしても、約束を貫けなかったら成長には繋がらないので」
――その約束事とは? 明かせる範囲でお願いします。
「『歩くスピード』と『深呼吸』ですね。自分を客観視して状況判断をした上で、自分で自分のリズムをコントロールするということ。それから、私は肩で浅い呼吸をしてしまうことがあるから、地に足の着いた呼吸が出来るようにすること。2つとも守れたと思いますけど、この時は、自分ではちょっとプレーが遅いというか、間が悪いところがあったなと感じてます。一歩間違ったら、失敗するリズムに乗ってたかな」
――そうでしたか。BDは別のところを見てました。ストロークパワーが上がったような……と感じて。
「あ、そうなんですよ。それは自分でも思います」
――で、このマスワリ、思った通りに組み立てられましたか?
「もう……全然(笑)。はじめの2から4は良く撞けてますけど、あとは厚め厚めに出てしまって……。どの球もしっかり撞いてよく入れられたとは思いますけど、フリがない球の連続で、きれいな取り切りではないですね(苦笑)。7から8は、ポケットが広かったから『穴フリ』が出来て、たまたま8番に真っ直ぐ出せて良かったという感じです」
――9番を撞く瞬間、笑顔になっていたような……。
「あぁ~(苦笑)。8番を入れた瞬間、『マスワリだ!』と思って、チョークを取った右手で軽くガッツポーズしてるんです。すぐ『あ、準決勝でガッツポーズしちゃった……』と思って自分で笑ってしまいました。あれはメンタルトレーナーさんにきつく怒られました。『絶対ダメ。最後まで気を緩めずやりきりなさい』と」
――決勝戦は相手(河原千尋プロ)の上がりマスワリ4連発を喰らって負けました。
「河原さんが素晴らしいプレーをしていたのは間違いないです。でも、やっぱり自分がミスをしてしまっているし、場の空気とか、間合いとかを自分で作れていなかったからああいう展開になったのかなって思います。そこも今後の課題ですね。ブレイクも研究中だし、メンタルトレーニングは始まったばっかりだし、学ばないといけないことがたくさんありますけど、もっともっと吸収して磨いていきたいと思います」
(了)
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Yuki Hiraguchi
JPBA50期生
1997年7月11日生(21歳)
北海道出身・在住
Vivapool(北海道)所属
ビリヤード歴は約14年
2013年『全日本ジュニア』
(JOCジュニアオリンピックカップ)優勝
2013年『世界ジュニア』(南アフリカ開催)準優勝
2014年『女流球聖戦』挑戦者(東日本代表)
2015年『アマナイン』優勝
2015年『アジア選手権』ジュニア女子の部3位
2016年『第8女流球聖戦』球聖位
2016年7月プロ入り
2016年『関東レディースオープン』優勝
2017年『ジャパンオープン』優勝
2018年『東海グランプリ』優勝
公式サイトは http://yuki-hiraguchi.jp/
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