〈BD〉「大会前サンチェスに球で叱られました(笑)」――3C『ニッカオープン』優勝、梅田竜二の談話

 

先週末の3C『ニッカオープン』で優勝した

梅田竜二プロの談話をお届けします。

 

長年日本のエースとして活躍し、

『全日本選手権』優勝3度、

『アジア大会』金メダル、

『世界選手権』優勝、などの

実績を誇る梅田プロ。

 

しかし、2017年〜2018年は

国内国外タイトルがなく、

日本ランキングも下降傾向でした。

 

今年は4月『アジア選手権』

(ベトナム)への参加を決め、

また高いモチベーションで

トーナメントに臨めている様子。

 

2016年のニッカオープン以来、

約3年ぶりの優勝を飾りました。

 

以下、試合直後の一問一答です。

 

先週来日していたスペインの友人であり、

ワールドトッププレイヤーである

ダニエル・サンチェスとの

エピソードも明かしてくれました。

 

…………

 

Ryuji Umeda

1968年10月22日生まれ

A型・天秤座・東京都出身&在住

1991年度JPBF入会

2006年『アジア大会』スリークッション金メダリスト

2007年『世界選手権』優勝

2006年、2009年、2015年『全日本選手権』優勝

『ニッカオープン』優勝9回

JPBFスリークッション年間ランキング1位/8回

他、優勝入賞多数

使用キューはADAM JAPAN

東京・小岩『ヤマニ』所属 

 

↓決勝戦試合映像

 

 

――ワンモアを当てた瞬間のお気持ちは?

 

「嬉しかった……ですけど、決勝戦がああいう感じで、(森)雄介が力を発揮できないような展開だったので、『なんかゴメンね』みたいな気持ちもありました。でも、やっぱり勝ちは勝ち。非常に嬉しいですね(笑)」

 

――2日間、どんなことを心掛けて撞いていましたか?

 

「優勝を意識していたというよりは、2月の『東京オープン』(3位)でまあまあ撞けていたので、あれより良いプレーをしたいなという気持ちだけで2日間戦えたかなと思います。会場のニッカさんのテーブルコンディションなら、低アベレージでは勝ち続けられないだろうし、ハイアベで行きたいということは思ってました。その上で、風が吹いた方が勝つんだろうな、と」

 

――勝因とは?

 

「ニッカ代表である真野正光プロ(2018年覇者)と当たらなかったことでしょうか(笑)。当たるとしたらベスト8でした。ニッカで真野プロとやると100%アウェーになるのもあり、その覚悟はしてましたけど、疲れますから(笑)。それはそれとして、特に2日目は展開的に重いゲーム、重い局面になることが結構あって、むしろそれは僕に有利に働いたかなと思います」

 

――特に決勝戦はそうだったように感じました。

 

「はい、こういうテーブルコンディションなら本当はもっと早いペースでたくさん当てて勝てるのが良いです。でも、決勝戦は、お互いにポジションが少しずつ悪くなっていき、思うように当てられず、重苦しさが漂うようになりました。それは僕向きの展開というか。我慢して撞いていた甲斐があったかなっていう(笑)」

 

――3Cプロランキングポイント対象試合での優勝は、2016年のニッカオープン以来です。勝てない苦しさ、焦りなど、ありましたか?

 

「丸2年以上優勝してないのはわかってましたが、そうですか、前の優勝は3年前のニッカでしたか。苦しかったかと言われれば、そうですね、海外の試合にもあまり行けてなかったですし……。もちろんそれでも国内の試合には全力で向かっていたつもりでしたけど、世界の最前線で撞き続けていなかったので、本当の意味での試合勘みたいなものは少し鈍っていたのかなと思いますね。今思えばですけど」

 

――そう思ったきっかけが何かあったのですか?

 

「ちょうど数日前、ダニエル・サンチェス(世界トップ選手であり梅田竜二プロの友人でもある。以前のインタビューはこちら)が日本に来ていて。一昨日の朝だったかな、お客さんのいない『ヤマニ』(梅田プロ所属店)で朝練で40点ゲームを2回やりました。まあ、彼は14キューと11キューで上がる訳ですよ。言葉じゃなく、球で叱られた感じでしたよね(笑)。自分も出来が悪かった訳ではないんですけど、倍当てられちゃって。彼は何も喋らないけど、『もっと頑張らないといけないんじゃないの?』と球が語っていました。でも、それが良かったですね。『そうだよな。勝つにはこうじゃないと』って感じましたから」

 

――世界キャロムシーン最前線の濃い空気に浸ったような?

 

「そうですね。結果が求められる場所にいつづけて、実際に出してきている人の球ってこれだよって。相手の隙を見逃さず、自分は隙を作らない。上手いとか下手とか運勢がどうとかじゃなくて、まずどれだけ当てるか、どれだけ勝てるのか。最前線で戦い続けることで撞けるようになる厳しい球っていうのがあります。僕も以前その場に身を置いていてやっていたことだし、海外に行く回数が減った今でも国内でそのつもりでいたけど、やっぱり最前線にずっといないと厳しくありつづけるのは難しいものなんだなと。これはきっとポケットの世界でも、どんなスポーツでも同じだと思います」

 

――今またそのスイッチを入れようとしている?

 

「はい。それを言葉にすると、『一つ一つのプレーをよりアグレッシブかつ丁寧に』になっちゃうんですけど、そういう意識で2日間プレー出来たかなと思います。あと、2月の『東京オープン』では甲斐譲ニプロが久しぶりに優勝されましたし、近年、新井達雄プロも島田暁夫プロも活躍しています。素晴らしいことですけど、先輩達(60代)が活躍しっぱなしなのもまずいなと(笑)。さらに雄介たち年下の世代も出て来ているので、このままでは僕ら40代50代の出る幕がなくなってしまう。だから、踏ん張りたかったというのもあります」

 

――その言葉通り、今大会で存在感を示しました。この先は?

 

「来月(4月)に『アジア選手権』(ベトナム)があり、帰国してすぐ『全日本選手権』(5月東京)もあるので、このまま高いモチベーションと良いコンディションを維持していきたいですね。そして出来るなら『世界選手権』にも出たいと思っています」

 

(了)

 

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