約四半世紀前に誕生し、
世界中のプレイヤーを
あっと驚かせた『314シャフト』や、
2016年にデビューした
カーボンファイバー製の
『REVOシャフト』など、
革新的で高性能な
「ハイテクシャフト」を世に送り出し、
それらのシャフトを標準装備した
様々なプレーキューシリーズや、
ブレイクキュー、ジャンプキューも
リリースしているキューメーカー、
『PREDATOR』(プレデター)。
そのプレデター社の
セールス部門ディレクター、
ジェシカ・ワイズ(Jessica Wise)さんが
アメリカから来日。
インタビューの時間をいただきました。
プレデターが日本というマーケットを
どのように捉えているのか、
そして、25周年を迎えようとしている今、
プレデターの変わらないポリシーや
変わっていった部分など、
様々な質問にお答えいただいています。
※通訳は、日本総代理店である
((株)エンヴィジョンが運営)の
足立修治氏にお願いしました。
…………
語り手:Jessica Wise
(ジェシカワイズ。Director of Sales, PREDATOR GROUP)
聞き手:BD
――まず、自己紹介からお願いできますか?
「こんにちは、ジェシカ・ワイズです。プレデターのセールス部門のディレクターをやっています。オフィスはフロリダのジャクソンビルにあり、マーケティングとセールス、そしてマネージメントが主な仕事で、世界中の代理店やエンドユーザーともコミュニケーションを取っています。プレデターに入って今16年で、入った当初は受付業務やカスタマーサービスなどをやっていましたが、半年後にセールス部門に移りました」
――頻繁に出張をしているのでしょうか。
「はい、アメリカ国内はもちろん、ヨーロッパにもアジアにも行きます。プレデターは香港にもオフィスがあり、社長のカリム・ベルハジは普段そこにいるので、香港に行くことは多いですね」
――日本に来たのは何回目でしょうか? 日本の印象とは?
「7、8回目です。日本はアメリカとは全く異なる文化的背景を持つ国で、とても魅力的です。ご存知のようにアメリカは比較的新しい国で、『メルティングポット』のたとえ通り、色々な人種と文化が混ざり合っています。一方、日本は長い歴史を持つ国で、アメリカほどの多民族国家ではないため、雰囲気がまるで違うと感じています。だからこそ、日本で過ごすのはいつでも楽しいです。日本の食べ物も好きです」
――本題に入りますが、プレデター社は日本のマーケットをどのように捉えているのでしょうか?
「最も重視しているマーケットの一つです。それにはいくつかの理由があります。売上が良いというのももちろんありますが、『日本で成功する商品は、世界中でヒットする可能性が高い』ということが経験的にも数字的にもわかっています。日本のユーザーは商品の細かい所までよく見ているし、感覚的にも鋭敏だと感じています。テクノロジーや品質を見る目が厳しいのです。日本のマーケットはある種のベンチマークのような役割を果たしています」
――国や地域によって好まれるアイテムやデザインに違いはあるでしょうか?
「あります。わかりやすい例を挙げると、中国ではカラフルで派手なデザインが好まれる傾向がありますが、日本ではそういうものはあまり好まれず、木のナチュラルな色や風合いを活かしたものや、モノトーンカラーのものなど、落ち着いたデザインが好まれます。
アメリカとヨーロッパもどちらかと言えば日本寄りですね。色使いが派手ではなく、トラディショナルなデザインで、銘木を使ったものに価値を見出す人が多いです。それはマーケティングの見地からしても興味深いところです」
――2016年に発表されたカーボンファイバーシャフトの『REVO』は世界的に大ヒット商品になりました。想定通りのことでしたか? それとも想像以上のことでしたか?
「想像を大きく越えていました。まだカーボンファイバーシャフトのカテゴリー自体が存在していないところからのスタートだったので、どのぐらい受け入れられるのか全くわからなかったですし、過剰な期待はしていなかったです。ところが、いざ蓋を開けてみると予想以上の反響がありました。
REVOが出てから約3年が経ちますが、つい最近まで製造が追い付かない状況でした。全く新しいコンセプトのシャフトに対して、これだけ早く、これだけ良い反応が得られるとは……と我々も驚きました。その後、他のキューメーカーも続々とカーボンシャフトをリリースし始め、今は一つのカテゴリーとして確立されたと思います」
――「木ではないシャフト」という構想は以前からあったと聞いています。
「そうです。創業当時から20年以上研究が続けられてきました。アラン・マッカーティ(共同創業者)の時代から温められていたプロジェクトで、研究開発責任者のポール・コースティンが担当していました。『REVO』という形になるまでにはかなりの時間がかかりましたが、結果的にはパーフェクトなタイミングでリリース出来たと思います」
――REVOのような革新的な商品は、会議で生まれるのではなく、一人のリーダーから生まれるのでしょうか。
「ええ、多くの商品で、開発の指揮を取っているのはポールです。彼はもともとエンジニアで、航空機のパーツを作ったりしていた経歴を持ち、機械工学や繊維についても見識がありました。また、外部の誰にコンタクトを取ったら良いのか、誰に試打をしてもらってどんな風にフィードバックをもらえば良いのかなど、プロジェクトの進行やチームの編成にも長けています。REVOもそうですが、ポールがプレデターの研究開発のドライビングフォース(駆動力・推進力)と言って良いでしょう」
――ジェシカさんはエンドユーザーやプレイヤーとも接しているのですか?
「はい、アメリカで行われるビッグイベントやトップトーナメントには足を運ぶようにしています。例えば、『APA』『BCA』『Super Billiards Expo』(いずれもアマチュアリーグ戦の決勝大会が行われている)。それに、プロトーナメントなら『ダービークラシック』や『USオープン』などです。
会場でプレデターユーザーやプレデター契約プロなどとコミュニケーションを取り、彼らが欲しているものや、改良を臨んでいるもの、好きではないものなど、いろいろなことをヒアリングし、私が答えられることについては私が対応しています。質問や要望の中には、かなりテクニカルで専門的なこともあるので、そういったことはポールに伝えています。全ての声を貴重なフィードバックとして、製品作りや、営業活動に活かしています」
――今、新しく企画中の商品とは?
「いつでも何かが企画中で、何かが生まれています(笑)。基本的に、既存のシリーズは2年に一度はデザインや仕様を刷新したいと思っています。最近のものについて言えば、まず『新BLAKシリーズ』が出たばかりです(※国内5月頃販売予定)。『Urbainシリーズ』のキューケースはそろそろ日本でも出る頃でしょう(※国内5月末頃販売予定)。あと、近日『8Kシリーズ』を『9Kシリーズ』に改訂します(※国内5月末頃販売予定)。創業25周年も近いので、25thアニバーサリーキューをリリースする予定もあります」
――創業からもうすぐ25年。年を重ねても「変わらないもの」とは?
「『Desire to Innovate』(革新の意欲)の姿勢ですね。『314シャフトの会社』と言われた創業当時から変わらず、我々はそれを胸に前進し続けてきました。314シャフトも、縦割り10ピースの木材を張り合わせるという、それまでにない構造を持った新基軸の商品でした。そこを出発点として、我々は20数年間ずっとビリヤードアイテムのイノベーションを図ってきました。ブレイクキュー『BKシリーズ』や、プレーキューの『P2シリーズ』(※現在はP3シリーズ)などの各キューもそうですね。
そして、革新的な製品を送り出すとともに、カテゴリーそのものを新しく作ってきたという自負もあります。もちろん最新のテクノロジーを採り入れて、製作技術を高めてきたというところにも自信を持っていますが、何よりも『Desire to Innovate』の姿勢があったからこそ、ここまで会社が成長したのだと思います」
――たしかにプレデター社は新しいカテゴリー、新しい価値観を創出しました。
「まさにREVOがわかりやすい例ですが、我々が製品(REVO)を出し、カーボンファイバーシャフトの市場が生まれ、他メーカーが参入・追随してきている。それがビリヤード界全体の活性化にも繋がっていると思います。我々はビリヤード用品だけのイノベーターではなく、マーケットのイノベーターであり、業界全体のイノベーターでもあろうと心掛けてきました。
新しいイベントやトーナメントを我々自身で立ち上げたり、すでにあるイベントに支援・協賛したりしているのもそういう理由です。一言で言えば、プレイヤーやファンがビリヤードをもっと楽しめるようなインスピレーションを与えるアイテムや体験に力を注いできましたし、これからもそれは変わりません」
――反対に、この20数年で変わったこととは?
「なんでしょう…………一つ挙げるとするなら、社内のことになりますが、多様化が進んだ20数年だと思います。創業時は、スタッフはほぼアメリカ人で、まずアメリカのマーケットに注力する、アメリカのキューメーカーとして始まりました。
時は流れて、現社長のカリムはモロッコ出身で、副社長のフィリップはフランス人で、サプライヤーは中国にあります。世界の様々な地域出身の人達がプレデターに集まり、チームを組んでいる。そして、世界の様々な地域でスタッフが働き、それぞれの地域からアイディアを吸い上げていて、それが商品作りにも、セールスにも活かされています。売上の比率を見ても、以前は約75%がアメリカ国内で、25%が国外でしたが、今はほぼ50%/50%になってきています。この多様性が今の我々の強みだと思います」
――2019年3月から、日本の総代理店は(株)エンヴィジョンのみとなりました。
「以前からエンヴィジョン代表のマサト(平岡正人氏)やシュウジ(足立修治氏)といった人達とは、彼らのブランド(KAMUI BRAND)を通して交流があり、エンヴィジョンが素晴らしいビリヤード企業であることは知っていました。エンヴィジョンのスタッフ達からは、『ビリヤード業界をもっと良くしたい』というパッションを常に感じていましたし、彼らが掲げている『Quest for Excellence』という理念は、プレデターの『製品を通してプレイヤーとファンにインスピレーションとイノベーションを与える』というブランドミッションと重なるところがあります。日本のことを安心して任せられるパートナーだと思っています」
――ありがとうございました。最後に日本のプレデターキューユーザーにメッセージを。
「どう言えば良いか上手くまとまらないですが(笑)、そうですね……、プレデターがここまで成長してこられたのは、日本のプレイヤーやファン、契約プロ、販売代理店、小売店の存在がとても大きかったことは間違いありません。私自身、約16年前にプレデターで働き始めた頃からずっとそう感じていましたし、今でも感謝しています。
そして、我々は今また日本に帰って来たという感覚があり、とてもエキサイトしています。これからプレデターと日本の関係はより密接なものになるでしょう。今まではビリヤードアイテムを介してのリレーションシップが主でしたが、今後は様々な形で、もっと皆さんの身近な存在になりたいと願っています。近年中にプレデターのビッグイベントを日本で開催する構想もありますし、日本のビリヤードシーンを拡大・開拓していけるような試みを始めたいと思います。冒頭でもお話ししたように、日本での成功は世界での成功に繋がります。この先、日本は我々にとってさらに重要なパートナーになるでしょう」
(了)
…………
PREDATOR関連記事↓
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※土師理恵子プロ
About REVO Shaft:
原口俊行プロが語る
プレデター各シャフト比較論:
※プレデタージャパンの公式サイトはこちら
※プレデタージャパンのFacebookページはこちら
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BD Official Partners :
世界に誇るMade in Japanのキューブランド。MEZZ / EXCEED
創造性と匠の技が光る伝統の国産キュー。ADAM JAPAN
ビリヤードアイテムの品揃え、国内最大級。NewArt
末永くビリヤード場とプレイヤーのそばに。ショールームMECCA
カスタムキュー、多数取り扱い中。UK Corporation
13都道府県で開催。アマチュアビリヤードリーグ。JPA
徹底した品質の追求。信頼できる道具をその手に。KAMUI BRAND
1月15日までビリヤード用品ウィンターセール開催! BAGUS
カーボン繊維構造REVOシャフト発売中。PREDATOR JAPAN
4/28 大田区産業プラザPiOで『vol.1』開催! PREMIER SEVEN
2018年4月大阪市淀川区西中島に移転リニューアルオープン。日勝亭
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