令和最初のBD記事は、
「ギリギリ昭和で生まれ、
ギリギリ平成でプロになった」
この人を紹介します。
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先週閉幕した『新生USオープン』。
今年は9名のJPBAプロが
ラスベガスに向かいました
(さらに3名のアマ選手も参戦していました)。
その中には、今年1月に
プロになったばかりのルーキー、
小川立致プロの姿も(JPBA53期生)。
アメリカでの試合は初体験。
しかし、USオープンには以前から
憧れを抱いていて、ためらいなく
エントリーをしたとのこと。
帰国便の機上で
初USオープンの感想を聞いてみました。
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小川立致(おがわ りっちー)
Ritchie Ogawa
生年月日:1988年12月19日
(日本人の父とフィリピン人の母の間に生まれる)
出身:フィリピン(マニラ)生まれ・山口県山口市育ち
学歴:山口大学人文学部卒業(エアランゲン・ニュルンベルク大学留学1年含む)
プロ入り:2019年1月(JPBA53期生)
主な練習場所:『POOL LABO』(神奈川県横浜市)
アマ時代の主な戦績:2012年『九州オープン』優勝、
2009年ドイツ留学時代の20歳の時に『北バイエルン州9ボールトーナメント』(約200名参加)で優勝、他
…………
――USオープンのことをお聞きする前に、まず今年プロ入りしたのはどういう理由だったのでしょうか?
「今までビリヤードを19~20年ぐらい好きでやってきていましたが、一生に一度はプロとして、一番上のステージで真剣に撞いてみたいと思ったというのが理由です。これ以上遅くプロになるのも厳しいでしょうし、プロにならずにいつか人生を振り返ったときに後悔するのも嫌ですからね。30歳の今年が大きな節目だなと」
――すでに2019年シーズンはプロとして4試合プレーしています(※『全日本ローテ』は出ていない)。プロになった実感は?
「球の撞き方というか、自分のプレースタイルはアマ時代から特に変わってないですけど、精神的な面は変わったと思います。やっぱり周りは僕をプロとして見ていますし、応援してくれる人も増えてきていますので、自分の心構えが変わってきました。『プロとしてしっかりしなきゃ』というふうに、自分自身に対しての鼓舞の仕方は変わったと思います」
――今回、『USオープン』に出ようと思ったのは?
「もともと憧れていた試合でした。中学生ぐらいの頃に、2000年大会の奥村(健)プロ vs E・ストリックランドの決勝戦のビデオを見ていましたし、『いつか出たいな』と意識していました。高校・大学の頃に、そんな話を仲の良い(土方)隼斗ともしていたので、10年越しで一つの目標が達成できたような気持ちです。エントリー受付が始まって、僕らはだいぶ早く申し込んだと思います。エントリーフィーの1,000ドル(約11万円)には見間違いかなと驚きましたが(笑)、それはもう受け入れて。今はある程度、時間の自由もきくので、迷いなく出場を決めました」
――初のUSオープン。雰囲気や環境などはいかがでしたか?
「僕がこれまでに出てきたり見てきた大会とはまるで格が違うイベントでした。規模が大きくて、全てが整っていて、段取りも良くて、ショービジネスの街、ラスベガスっぽい魅せ方の上手さもあって……。『僕がビリヤードを続けてきたのはこういう場所で戦うためだ』と感じました。やっぱりあの様な舞台でプレーしていたいですね」
――試合結果は、負け―勝ち―負け、でした。
「今回はベスト16に入ることが目標だったので達成出来なかった悔しさはかなりあります。今回は特に手球(ポジション)が全然合わなかったです。僕は結局3試合全て『サイクロップ』ボールで撞いたのですが、全くサイクロップに慣れてなかった上にアジャストもうまくいかず、かなり苦しみました(※大会公式球のアラミス社『デュラミスボール』の準備が間に合わず、Day 1~Day 2前半にかけてサイクロップが使われた)。ブレイクもデュラミスで練習してきて、それなりに形が出来たと思っていたので本当に悔しいです……。例えば初戦の相手のM・ビスタボシュには序盤からマスワリ4連発を含めて0-5まで一気に走られたのですが、それに追い付こうとしてもこちらは乗り切れずに終わった印象です」
――2試合目や3試合目は? しっかり球を入れていた時間帯もあったと思いますが。
「その2試合も全く満足なプレーは出来ていません。ずっと手球の距離は合ってなかったので、フリだけ合わせて入れだけで勝負していこうと切り替えました。一番記憶に残っているミスは、3戦目(vs N・マライ)の終盤、僕が追い上げている時にやってしまった6番の立てキューでのミスですね。それと、ボールに合わせられなかったこと。この2点がすごく悔しいです」
――海外トップ達のプレーを見て感じたこととは?
「時間の使い方やルーティンはすごく参考になりました。例えば、優勝したJ・フィラーは判断に時間が必要そうな球だと、エクステンション(時間延長)を早めに申告して、カウントダウン音が鳴らないようにして、ゆとりを持ってショットに入って行ったりとか。逆に、遠い薄い球が回って来た時に、彼は10秒ぐらいでさっと撞いたりしていました。そういった速めのリズムとかあっさり感は、しっかりじわじわ系の僕にはあまりなかったものなんですけど、採り入れてみても良いかなと思いました。今思えば、関西オープンでA・リニングに勝った時は、シンプルに判断して早めに撞けていたなとも思いましたし、そこはより意識的にやってみても良いかなと」
――技術的なものは?
「自分も20年ぐらい撞いてきているので、全く初めて見るようなショットというのはなかったです。皆、僕の頭の中にあるもので勝負している。だから僕も自信をもってそれを安定して実現していけるようになりたいなと思いました。たぶんそこは時間の使い方やルーティンとも関わりもあるところだと思います」
――来年またUSオープンに挑みたいと思いますか?
「もちろんです。そして、USオープン以外にも出られる海外トーナメントには挑戦したいと思っています。近いところでは7月の後半にラスベガスで『10ボール世界選手権』があるので、フリーエントリーの予選があれば出たいですね。あとは『9ボール世界選手権』(例年カタール開催)とか。海外に出掛けて行ったり、英語などでコミュニケーションを取ったりするのは好きですし、こういうチャレンジがしたくてプロになったと言っても過言ではないので、たくさん出たいと思っています」
(了)
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