先週末の
優勝した
平口結貴プロの談話をお届けします。
取材は試合当日の夜に行いました。
今大会の3日前まで
中国の温州市泰順県で行われた
自身初の3位入賞に輝いた平口プロ。
その中国プロツアーの話も聞いています。
…………
Yuki Hiraguchi
JPBA50期生
1997年7月11日生(21歳)
北海道出身・在住
Vivapool(北海道)所属
ビリヤード歴は約14年
2013年『全日本ジュニア』
(JOCジュニアオリンピックカップ)優勝
2013年『世界ジュニア』(南アフリカ開催)準優勝
2014年『女流球聖戦』挑戦者(東日本代表)
2015年『アマナイン』優勝
2015年『アジア選手権』ジュニア女子の部3位
2016年『第8女流球聖戦』球聖位
2016年7月プロ入り
2016年『関東レディースオープン』優勝
2017年『ジャパンオープン』優勝
2018年『東海グランプリ』優勝
2019年 中国『CBSAツアー 泰順戦』3位
使用グローブはOWL(近日、平口カラーを一般販売開始予定)
公式サイトは http://yuki-hiraguchi.jp/
…………
――2019シーズンの
女子プロ公式戦で1勝目です。
「今年、決勝戦を3回撞いて
全部準優勝だったので、
4回目で優勝出来て
やっぱりホッとしています(笑)。
それと今回は、
中国(温州市泰順県)に行って
『CBSAツアー 泰順戦』に出て
(自身初の海外大会3位)、
そのまま石川県に向かうという
長い日程でしたけど、
学ぶことがたくさんあった遠征でした。
この遠征を優勝という形で
締めくくることが出来たことも嬉しいです。
北海道に戻ったら
もっとホッと出来るかな(笑)」
――3回準優勝が続くと、
ネガティブな気持ちになったり?
「いえ、ネガティブではなかったですけど、
『自分には何が足りないんだろう』
『あと何が必要なんだろう』と、
繰り返し考えさせられる日々でした」
――考えた結果、見えてきたものとは?
「まだ私は自分のスタイルがしっかり
定まっているとは言えないんですけど、
CBSAツアーも今大会も、
『ぶれない』ことを目標にやっていました。
中国選手のストロークに惹かれて
真似したくなっちゃったりとか、
日本の先輩プロのスタイルを
採り入れてみたくなったりするんですけど、
それで自分の根本がぶれてしまったら
ビリヤードにならないから。
メンタルトレーナーや鳴海さん
(コーチを務める鳴海大蔵プロ)とも
話をして、『私には私のスタイルがある』
ということを確認しながら
やってきたというのはありますね」
――先に中国『CBSAツアー 泰順戦』の
ことをお聞きしますが、
世界の強豪が集まる大会で3位。
この成績をどう捉えていますか?
「結果だけを見ると、
『うーん……』ですかね。
準決勝は相手(中国の夏雨滢)が
ナイスだったというのもあるんですけど、
やっぱり『決勝戦、撞きたかったな』
と思います。
でも、この気持ちは優勝以外、
どの順位になっても同じでしょうね。
ベスト8だったら
『表彰台に上がりたかったな』、
準優勝だったら
『優勝したかったな』と思うでしょうから。
もちろん失敗して学ぶこともありますけど、
今回は大きなチャンスを逃してしまった
という感覚があって、自分の中では
ちょっとやりきれないというか、
『もしあのまま勝ち上がれたら……』
という気持ちがあります。
ありますけど、でも、試合は
そんなに簡単なものじゃないですから」
――あの準決勝は、おっしゃる通り、
相手の夏雨滢がナイスでした。
「夏選手は私の1つか2つ下で
(1999年5月4日生。大会時20歳)、
昨年(2018年)の
『全日本選手権』にも出てました。
以前、私はCBSAツアーで一度負けてます。
今回、私は1-6ビハインドから7つ取って
8-6にしたんです。でも、次のラックで
私が5番を外してしまって、そこから
1回もターンが回って来ずに終わりました
(8-11で敗戦)。
私は私で、
7ラック続けて取って行けるだけの力は
今までになかったものだし、
『ちょっとは成長出来ているのかな』
という安心感みたいなものを
その試合中に感じてしまってました。
そこは反省点だなと今は思っています。
結果的に夏選手に7つ続けて取られて
上がられてしまいましたから(苦笑)」
――その後の3位決定戦で、
世界女王3度の劉莎莎(中国)に
勝ちました。
「劉莎莎には今までに『世界選手権』の
ベスト32で2回負けているんですけど、
今回は準決勝から気持ちを切り替えて
試合に入れたことが良かったです。
CBSAツアーは3位と4位で賞金も違うし、
4位だと表彰式にも出られないので、
勝てて良かったなと思います(笑)」
――CBSAツアーと今回の
女子プロツアーの映像を見る限り、
以前よりも自信を持って
プレー出来ている印象があります。
「そうですね。
自分でもチョイスとショットスピードが
どんどん良くなってきていると思うので、
それが自信を持って撞けているように
見える理由なのかなと思います。
今までの私はセオリーを意識しすぎて
空回りすることもあったんですけど、
今はもっと自分のシュート力を信じて
取り方を決められるように
なってきたと思います。
なので、遠い球を撞いていることも
あると思うんですけど(笑)、
そういう選択も、後ろ向きな気持ちではなく
普通に使えるようになってきたと思います。
鳴海さんから、
『ちょっと遠いぐらいならお前は大丈夫だから』
と言われてきた意味も、
最近ちゃんとわかってきた気がします」
――そのおかげで判断のスピードも
早くなってきているように映りました。
「そうですね。
判断に迷っておかしくなる回数は
減ってきたと思います(笑)。
でも、今もおかしくなりそうに
なってる時はあります。
最近は、自分でそういう状態に
なってきてるなと気付けるように
なったので、それも成長だと思います」
――今回のプロツアーは
中国経由の強行軍となり、
疲労感はあったと思いますが、
体力や集中力は保ちましたか?
「はい、保ちました。
正しく出来ていたかどうかは
わからないですけど、
体力や集中力が途切れないように
ペース配分にも気を使って、
食べ物やドリンクの摂取のタイミングも
自分なりに考えながらやっていました」
――決勝戦は一気に6-0として
リーチをかけました。ご自身としても
良い試合運びだったでしょうか。
「はい、良い感じだったと思います。
でも、6-0にした後、
ブレイクスクラッチをした瞬間は、
CBSAツアーの準決勝のことが
頭をよぎってしまいました。
『またやってしまった』、
『こういうところから負けるんだよ』と。
ただ、『来たチャンスは逃さない
ようにしよう』という心構えだけは
ちゃんと出来てました。
だから、最後は取り切って
上がれたのかなと思います」
――最後は相手のブレイクスクラッチからの
取り切り。あの時は平常心でしたか?
「いや……平常心ではなかったけど、
そういう時にどうするかという
想定をしながらプレーしてきた
経験があったので
対応出来たんだと思います。
もっと言うと、この2日間、
あまり球が入ってなくて、
理想にはほど遠い状態で
プレーしてたんですけど、
そんな時はどうしたら良いかということが
考えられるようになっていますし、
自分の状態に合わせてチョイスを
変更出来るようになってきました。
今までは周りを気にして
上手くプレーしようと
していた時もあったんですが、
今はもう恥ずかしがらずに、
かっこつけないビリヤードを
選べるようになってきたなと。
今回はそのおかげで
勝ち進めたのかなと思いますし、
今までの自分ではこういう勝ち上がり方は
出来なかっただろうなと思います。
そこはちょっと自分の中でも
不思議な感覚があります」
――現実的なショットセレクションが
出来るようになったことで、
プレーレベルの上下の波の幅が
小さくなっているのかもしれませんね。
「CBSAツアーに出てモチベーションが
高まっていたというのもあると思うので、
一時的なものかもしれないですけどね(笑)。
根本からそういうふうに
なれてきているのかどうか。
そこは札幌に帰って練習したら
わかるかなと思います」
――1ヶ月後は『ジャパンオープン』。
どんな準備をしていきたいですか?
「今回の遠征でたくさんの手応えを得ました。
特にメンタル面とか、チョイスの仕方とか。
でも、まだまだ荒削りだと思っているので、
練習していきながら、
もっと整えていきたいと思います」
――最後に、応援してくれた方へ一言。
「今回も、会場で見てくださった方、
スポンサーの皆さん、ファンの方々、
北海道の皆さんの応援のおかげで力が出せました。
また、CBSAツアーでも、
たくさんの声援や励ましの言葉をいただき、
ありがとうございました。
来月にはジャパンオープンがあります。
また応援をよろしくお願いします」
(了)
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