〈BD〉「初の特設、めっちゃ楽しかったです」――ジャパンオープン準優勝・小川徳郎の談話

Norio Ogawa
Norio Ogawa

 

大井直幸プロの初優勝で幕を閉じた

2019ジャパンオープン』。

 

その大井プロに決勝戦で敗れましたが、

プロ2年目、自身初の特設会場進出で

ファイナリストとなった、

小川徳郎プロの談話をお届けします。

 

大会の2日後に取材しました。

 

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◆優勝の大井直幸プロの談話はこちら

 

◆小川徳郎プロの職場にお邪魔して

Happyになった日はこちら

 

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Norio Ogawa

1990年3月19日生、神奈川県出身

国士舘大学卒業 JPBA52期生

現在は株式会社HAPPYで勤務 

アマ時代に

『第55期~57期名人戦・名人位』

(2015年~2017年)を始め、

『プレ国体』『マスターズ』

『アマローテ』『アマナイン』など、

アマチュア全国タイトルを多数獲得。

プロ1年目の2018年は、

『GPE-5』準優勝、『北陸オープン』3位。

2019年『全日本ローテーション』でプロ入り初優勝

2019年『ジャパンオープン』準優勝

使用キューは『ADAM JAPAN

ナビケータージャパン契約プロ

 

…………

 

 

――特設会場での初めてのプレーは楽しめましたか?

 

「めっちゃ楽しかったです(笑)。『本当にここでプレー出来るなんて』と思いながら撞いてました。やっぱりお客さんがいっぱいいる会場っていいもんだなと。ベスト16、8、準決勝と、僕のテーブルが一番最後まで試合をしてたので、ずっと注目してもらえたし、応援もしてもらえた。すごく良い経験をさせてもらえました」

 

――声援は耳に届いてましたか? 

 

「長年お世話になっている方々、例えば、根岸さん(小川プロが勤務する(株)HAPPY代表)、丸岡プロ(神奈川『アロウズ』代表)、竹村さん(親交のある大阪の竹村幸祐アマ)の声はわかりました。他は誰が誰というのはわかってなかったです。いい感じで球に集中出来てたんで、声や視線が気になったり、ギャラリーの方に意識が行くことはなかったですね」

 

――特設ならではの緊張感は?

 

「どうだろう……1試合目はまだ場に慣れてなくて緊張してたと思いますし、身体も硬くなってました。ベスト8からは場慣れ感が出てきてたんで、そういう意味での緊張はなかったかな」

 

――Facebookには「ステージ上で喋るのが緊張した」という投稿が。

 

「はい(笑)。石崎一気さん(大会メインMC)にいつ何を振られるか全くわかってなくて、マイクを向けられて頭が真っ白になりました。『慣れてないからやめてー』と思いながら(笑)」

 

――特設会場のテーブルには対応出来ましたか?

 

「見た感じ、穴幅はちっちゃいかなと思ったけど、それ以外は特別違和感を覚えるようなことはなかったです。いわゆる『特設の新(さら)ラシャのコンディション』という感じでした。僕は4試合とも違うテーブルでやったけど、大きな違いはなく、撞きやすかったですね」

 

――3日間9試合フルに戦った訳ですから、疲れただろうと思います。

 

「疲れましたね~。大会翌日にちょっと球を転がしたら腕がパンパンでした。ずっと緊張しながら撞いてたんだな、と(笑)。そんなふうになるのは初めてです」

 

↑ Day 2 ベスト32(vs コルテッザ)の上がりの4球

 

 

――特設まで行けた理由、そして決勝戦まで上がって行けた理由とは?

 

「全体的に展開に恵まれたところは多々ありました。それを一番感じたのはベスト32(vs L・V・コルテッザ)です。コルテッザがテーブルコンディションにだいぶ翻弄されておかしくなっていた感じがあって、僕が彼のミスを拾って行ったような展開でした。それとやっぱり、周囲からの応援はかなり力になりました。最後まで諦めず頑張れたのも応援のおかげです」

 

――何かプレー面でのテーマはありましたか?

 

「いや、今回は特になかったです。一生懸命狙うだけでした。ただ、最近は真っ直ぐの球が入らなくて、どこ狙ってるんだかわからない状態が続いていて、それを不安要素として引きずったままジャパンオープンに入りました。だから、自分の状態からするとこの結果は出来すぎです。もちろんそれぞれの試合で力を出し切った感はあるんですけど、『また勝った。あ、また勝った』の連続で上に行った感覚はあります。結果的に決勝戦で負けてしまいましたけど、そんなに悔しいという感情はないですね」

 

――9試合しましたが、印象に残ってる試合は?

 

「準決勝(vs W・ジーリンスキ)かな。後半向こうがリードする形になって。僕は先に行かれてから追い掛けるのは下手なんですけど、諦めずに最後までやれたと思います」

 

↑ Day 3 準決勝(vs W・ジーリンスキ)、ヒルヒル(7-7)で迎えたラストラック

 

 

――準決勝、ヒルヒルに追い付いた後の小川プロのブレイクはノーイン。しかし、相手が1番をジャンプで入れて手球がスクラッチ。

 

「ああいう局面でブレイクスクラッチってよくあるパターンですよね。それは避けられた、と思ったらノーインか……という(笑)。でも、相手が1番でスクラッチをしてくれたのはまだツキがあったなと。最後の2番からの取り切りはだいぶプレッシャーがありました。『手球が言うこと聞いてないー』と思いながらやってました(笑)」

 

――続く決勝戦(vs 大井直幸)は2-8で負けました。この結果をどう捉えていますか?

 

「最近の自分の弱気な部分が全体的に出てしまったなという感じはありますね。例えば、2-0の時に大井さんが6番をミスしたけど、僕が真っ直ぐの6番を外しちゃった」

 

――あの6番は撞く前からイヤな雰囲気でしたか?

 

「でした。構えに入った時に気持ち悪くていやだなぁと。案の定外れてしまって、精神的なダメージもあった。あの球が決勝戦のキーだったと思います。僕があのラックを取って3-0にしていたら、8ラック先取だし、相手もプレッシャーを感じてくれたんじゃないかなと思います」

 

――もう一つ、第5ラックの5番サイドのミスは『おや?』と思った球でした。6番へのポジションを考えてスピードを落として撞く球だったので、的球がよれたんでしょうか?

 

「あれはどうだったんですかね。気持ち良く撞ける球じゃないけど、身体を動かさないで、ちゃんと最後まで目線を切らずに撞けた。……と思ったけど、自分の中のタッチの感覚からすると、キュー出しが少し足りてない感じはありました。もうちょっとキューを出したかったけど、身体が硬くなっていて右腕がちゃんと振れなかった。だから、的球がきれいに転がってくれなかったんだと思います」

 

――あの辺りから大井プロが主導権を握り続けていました。待っている間の心境は?

 

「『ワンチャンス欲しい。そこから一生懸命やるだけ』と思ってました。全く諦めてはいなかったですけど……」

 

 

――対戦相手として見た大井直幸プロとは?

 

「全体的にしっかりきれいに撞いてくるなと思いました。一番驚いたのは空クッションの精度。エグいぐらいに高くて(笑)。『この人からセーフティでファウルを取るのはツラいぞ』と。結構イヤな形を作れたと思っても、大井さんは確実に当てて来るし、クサく残してくる。そこまできっちりイメージして撞けてるんでしょうし、ちょっと面食らうぐらいすごいなと。

 

最近僕も自分なりに空クッションは成長してきたなと思ってたんですけど、僕が『主導権を渡さない空クッション』がなんとなく出来ている状態だとしたら、大井さんは『主導権を奪える空クッション』が出来る人だと思いました。そこは今回の対戦で一番印象に残ってます。また大井さんと試合で当たりたいですし、大井さんに『飼育』されなきゃと思いましたね(笑)」(※表彰式で大井プロは「後進の育成」と言うところで「飼育」と言ってしまい会場の大笑を誘った)

 

――プロ2年目の2019年。前半戦はオープン戦で優勝1度(全日本ローテーション)、準優勝1度(今大会)という結果でした。後半戦に向けて一言。

 

「また大きな大会で活躍出来たらと思ってます。やっぱり目標は『全日本選手権』(11月)。全日本選手権はジャパンオープンよりも外国人選手が増えるから、簡単には上に行けないだろうと思うけど、ちゃんとあの舞台で力が出せるように練習しておきたいですね」

 

(了)

 

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