今年(2019年)4月から
ニュージーランド(NZ)に滞在している、
ビリヤード好きの京大生・岡﨑智也さん
(※現在は休学中)。
岡﨑さんが、NZの男女トップ選手、
Matt Edwards(マット・エドワーズ)と
Molrudee Kasemchaiyanan(モルルディー・カセンチャヤナン)に
インタビューをしてくれました。
2人の人柄とビリヤードストーリーが
よくわかる力作長編となっています。
前後編に分けてお届けします。
→※後編はこちら
…………
岡﨑智也・記:
みなさんこんにちは。
ニュージーランドの岡﨑です。
日本では猛暑のようですが、
夏バテなど大丈夫でしょうか。
こちらは冬ですが、
私の住んでいる場所は日本ほど寒くなく
過ごしやすくなっております。
夏はもういいという方、
ぜひNZにお越しください。
さて今回は、NZ不動の
ランキングNo.1男女にお話を伺いました。
プレイヤーとしての話、
ビリヤードという競技に思うことなど
様々な興味深いエピソードを
みなさんにお届けします。
…………
Matt Edwards
1987年11月17日生 NZ南島カイアポイ出身 NZ北島オークランド在住
『NZオープン9ボール』優勝4回(’15年、’16年、’18年、’19年)
『NZ10ボール選手権』優勝4回(’14年、’17年、’18年、’19年)
『NZ9ボール選手権』優勝4回(’15年、’16年、’17年、’19年)
『NZ8ボール選手権』優勝2回(’15年、’16年)
2011年『パリオープン9ボール選手権』3位
2012年『9ボール世界選手権』17位タイ
2016年『全日本選手権』9位タイ
2017年『ワールドゲームズ・ヴロツワフ大会』5位タイ
2017年『チャイナオープン』17位タイ
2019年『ワールドプールマスターズ』5位タイ
他、優勝・上位入賞多数
使用タップはKamui
スポンサー:Mezz Cues、Kamui Tip、Cyclop Ball、Excellence Billiards NZL, Pool & Blues
Molrudee Kasemchaiyanan
????年11月23日生 タイ出身 ドイツ育ち NZ北島オークランド在住
『NZオープン9ボール』優勝3回(’13年、’16年、’17年)
『NZ10ボール選手権』優勝5回(’12年、’13年、’14年、’16年、’17年)
『NZ9ボール選手権』優勝7回(’10年、’14年、’15年、’16年、’17年、’18年、’19年)
『NZ8ボール選手権』優勝6回(’12年、’13年、’15年、’16年、’17年、’18年)
『オセアニア9ボール選手権』優勝2回(’12年、’15年)
『オセアニア10ボール選手権』優勝5回(’13年、’15年、’16年、’17年、’19年)
2007年『ドイツ8ボール選手権』優勝
『全日本選手権』17位タイ4回(’15年、’16年、’17年、’18年)
他、優勝・上位入賞多数
使用タップはKamui
スポンサー:Mezz Cues、Kamui Tip、Cyclop Ball、Excellence Billiards NZL、Pool & Blues
…………
聞き手・翻訳/岡﨑智也
――じゃあプロフィールの生年月日から。マットが11月17日で、モルルディーが11月23日だよね。
Matt(マット):その通り。
――そして年齢だけど……。
MK(モルルディー):私は秘密ね。
Matt:女性はそういうの気にするからね(笑)。彼女の年はどこにも載ってないと思うよ。
MK:だってみんな自分のことを若いと思ってるから。
――(笑)じゃあ書かないでおくね。
Matt:それか「予想してね」「???」「秘密!」とか(笑)。
MK:(爆笑)
――マットは書いていいよね。
Matt:もちろん。1987年だ。
――ビリヤードを始めて今年で何年になるの。
Matt:たしか……12歳の時、ほとんど13歳になりかけだったけど、その時から始めてもうそろそろ32歳だから、19年かな。長いもんだよね。しかもその間にブランクは一度もないよ。
――それはすごい。
Matt:長いことやりすぎて少し疲れたね(笑)。
――どのゲームが好き?
Matt:9ボールか10ボール。でもたぶん9ボールかな。一番長いことプレーしてる種目ってだけなんだけど。ビリヤードを一番最初にやった時に教わったのが9ボールなんだ。でも10ボールも好きだよ。9ボールと比べるとセーフティは少し増えるし、ブレイクは難しいけど……やっぱり、9ボールが好きかな。
――マスワリを重ねていくのが好きなの?
Matt:そうだね。スピーディーにマスワリするのは大好きだよ。
――なるほど。じゃあ最も尊敬しているプレイヤーは?
Matt:難しい質問だな。始めたての頃は尊敬する選手がたくさんいたんだ。エフレン・レイズとか呉珈慶、フランシスコ・ブスタマンテ……いろんな選手が好きだった。でもプロの世界でそういう選手と戦い始めたら、そういう気持ちを抱くのはやめるようにした。だって彼らと試合しないといけないからね。彼らは本当に良い選手だし、今でもリスペクトはしているよ。でも尊敬しすぎないようにしたんだ。単純に見るのが好きなのはたぶん呉珈慶とか、今だったらジョシュア・フィラーとか、そこらへんかな。強いて一人の名前を挙げるなら、みんなと同じくエフレン・レイズだ。
――「尊敬しているのは自分」って言ってもいいんだよ(笑)。
Matt:自分自身ね! たしかにそうかもしれない。自分のことを好きじゃなかったら試合で勝てるチャンスはないだろうね。
――その通りだね。じゃあ次。今の仕事は?
Matt:『Excellence Billiards NZL』の経営者で、ビリヤード台と道具を扱っている。だから自分の人生は全部ビリヤードだね。寝ている時にもビリヤードの夢を見るよ。
――それは本当?
Matt:いや、冗談(笑)。
――(笑)次ね。ビリヤード人生の中で思い出のタイトルは?
Matt:それは常に変わるね……僕は『NZ選手権』の優勝がたぶん12~13回くらいあるんだけど、それは誇れることだと思う。国際試合だと……まあまあの戦績はあるんだけどね。例えば、シェーン・バンボーニングとかコーリー・デュエルとかトップ選手もたくさん倒したことがある。だけど『世界選手権』とか『チャイナオープン』、『全日本選手権』の結果はきまってベスト16とかベスト32とか……。だから良い試合もあるけど、自分としてはもっと上の結果が欲しいかな。
あ、でも今年(2019年)の『ワールドプールマスターズ』ではベスト8、『ワールドゲームズ』(2017年)もベスト8だったね。うん、今年の『ワールドプールマスターズ』は良い思い出かな。あの大会はTV放送されるから、世界中の人が観る訳でしょ? ライブ配信で2000人が観るのと、世界中の2000万人だったら大きな違いがあるからね。
――しかもマスターズは招待選手だけ(2019年は24名)のトーナメントでしょ。
Matt:その通り。あれに参加することすら難しい選手だっているんだ。だから自分は本当に幸運だったし、TVテーブルで数試合勝って準々決勝に進めたのは素晴らしかった。だから自分にとってはあれが一番印象に残る国際試合かな。違う国のビリヤード場に行ったら、今じゃどこにでも自分のことを知っている人がいるんだ。「やあマット! マスターズでの君のプレー、TVで観たよ!」「君のプレーを見るのが好きだ」なんてね。だから自分にとってはすごく特別なことだね。
――有名人になったって訳だね!
Matt:マスターズのおかげでね。そう、だからあれが最近一番の思い出だな。これからももっと良い成績を残してもっと思い出を作りたいね。
――それじゃあ記憶に残っている試合は?
Matt:いくつかあるんだけど……
MK:2012年『世界選手権』のダレン・アプルトン戦は?
Matt:ベスト32、10-11で僕が負けた試合だよね。
MK:競ったゲームだったわね。
Matt:しかもスタジアム内の人全員が観ていたね。結局その世界選手権はダレンが優勝したんだけど、大会後、彼は様々なメディアやインタビューで僕のことに触れてくれたんだ。「マットっていうニュージーランドから来たヤツが間違いなく一番タフな相手だった。彼を倒した時に初めて自分が世界チャンピオンになるってわかった」ってね。僕にとってそれは本当に特別なことだった。だって、世界チャンピオンが僕のことを一番きつい選手だって評価してくれた訳だからね。そう、あの年はシェーン・バンボーニングも倒したよ。途中まで1-5で負けてたんだけどそこからまくって9-7で倒したんだ。ベスト64で日本の選手、たしか栗林達も倒したよ。あれも良い試合だったね。そう考えると2012年の世界選手権も思い出いっぱいだね!(笑)
――よし。じゃあマットのビリヤード人生の最初の方について教えてほしいな。
Matt:手短にね。10代の頃、僕のご近所さんにとある人物がいて……すでに君も会っていて、君にビールをたくさん奢って酔わせた……
――ああ! マイクだね!(註:マイク・ボーウェン〈Mike Bowen〉。筆者は先月の『NZ10ボール選手権』にて知り合った。陽気でフレンドリー、試合後はともかく試合中もビール片手に楽しんでいるオジサマ。NZ南島在住。息子たちがビリヤード場『Bowey’s』を経営している)。
Matt:その通り。カイアポイ時代、マイクはご近所さんだったって訳。彼はあの通り面白い人で、いつも笑って子供たちに冗談を飛ばしてた。そんな彼がカイアポイで小さなビリヤード場をオープンしたんだ。もう20年も前の話だよ。マイクはいつも新聞とかメディアにハウストーナメントの広告を出していて、そのうちジュニアの大会も始めたんだ。それからというもの、学校では毎週その話題で持ちきりだった。「今週末は誰が優勝するかな?」ってね。優勝賞金は15ドル(1000円強)。12歳にしてみたら15ドルなんて「オーマイガー! すげえじゃねえか」ってもんだよ。
ただ、僕は少しシャイだから参加したくなかったんだ。たぶん少し怖かったんだろうね。その様子を見た僕の母がマイクに話をしたんだ。「ねえマイク、マットは本当にビリヤードが好きなの。でも少しシャイなところがあるから、ビリヤード場に連れて行ってくれない?」。そしたらある日マイクが家の前まで車で来て、「ビリヤード場に行こう」って誘って来たんだ。「おまえの母ちゃんと話はしたからな。今から行こうぜ」って。
それ以来、彼はいつも僕のことを気にかけてくれて、いろんな試合に連れて行ってくれたし、彼の息子のジョシュとダニエルとも親友になったんだよ。これが僕のビリヤード人生の始まりだよ。あれから20年経つけど、僕らがサポートを頼めば彼は未だにどんな試合にも一緒に来てくれる。そしていつもみんなにお酒を振る舞いたいと考えているんだよ。ビリヤードにのめりこんだ理由の一つが彼だと言っても過言ではないね。
――つまりマイクはNZのビリヤード史において素晴らしい役割を果たしたとも言えるね。
Matt:そうだね。彼は本当に親切だから、誰にでも声を掛ける。たぶん君が彼に初めて会った時も、すぐに話し掛けてきただろ? 彼はずっとあんな感じなんだ。彼は特別な人だよ。カイアポイの町でたくさんのジュニア選手や子供たちがビリヤードするのをサポートしたんだからね。ジュニアの大会は毎週50人くらい参加者がいた。人口1万の小さな町で50人のジュニアプレイヤーだよ! 子供たちの親もみんな彼のことが好きだから、安心して彼に子供を預けていたんだ。
でも何年も経つと、子供たちも成長してコンピューターゲームをやるようになったり、仕事に就いたり、恋人との交際に熱を上げたり……だから残ったのはそんなに多くはなかった。でも僕はマイクのもとでビリヤードを始めた第1世代の一人だし、彼の息子たちもそこまで真剣にではないけどまだビリヤードを続けてる。最近は『Pool & Blues』(マットのビリヤード場)で行われる試合に、ただ楽しむのと交流をするためだけにマイクと息子たちは来ているよ。
――素晴らしい人たちだね。
Matt:本当にね。
(前編ここまで)
→※後編はこちら
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※岡﨑智也さん寄稿その1:
※寄稿その2:
※寄稿その3:
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